孤高の存在。
私はBMWが好きだ。
ありがたいことに仕事柄、リースやカンパニーカーを含めて、年間100を超えるほどのあらゆる新型車に乗らせてもらっているが、これまで自分で購入・所有して乗ってきたクルマはBMWが多いことに気づく。
他にも好きなクルマはあるが、とりわけBMWには子供の頃から憧れてきたイメージ、それこそE34の5シリーズなどを意味もなく強烈にカッコいいと思った気持ちがまだ色濃く残っているのだろう。
今でも鮮明に記憶に残っているが、私がまだ幼かった頃、強烈に惹かれたクルマは当時E34型BMW5シリーズとトヨタ・ソアラだった。ソアラは父が所有していたから、という理由もあったかも知れない。
ということで、そんなBMW好きの私でも、それなりの地位に就くまで、めったに触れることすら出来なかった存在がある。アルピナだ。
BMWのディーラーマンでも、触れたことすらない人が多いと聞く。アルピナはBMWをベースとしているのは周知のとおりだが、実のところBMWとはまったく別の独立した自動車メーカーとして存在しており、販売網も限られている。ほかに同様のメーカーと言えば・・・マニアックだが、ポルシェのRUFくらいだろうか。
アルピナは年間生産台数1500台程度。それでも昔より多くなったが、目にする機会も少ないはずである。しかし、驚くことに実はその4割近くが日本に入ってきている。たった1社で担っている正規輸入代理店の力も大きく、東京モーターショー2019では、BMWが出展を見送っているのに、アルピナだけ出展していて驚いた記憶がある。
さて、希少価値の高いアルピナ、どんなクルマなのか。詳しいスペックや仕様はここではお伝えするつもりはない。とにかくアルピナは孤高の存在である。このようなクルマをじっくりドライブできることが、今、私の関わる仕事の醍醐味かも知れない、とさえ感じる。とてつもなくハイパワーで途方もない速さを持つのに、一切それを感じさせないくらいの落ち着きと懐の深さを持っている。何なら、やんちゃな走り方などする気にもならない。よく「羊の皮を被った狼」という表現を聞くが、それは近年のBMW「M」の方であろう。アルピナは狼などでなく、もはや全く別次元のクルマであることが乗ればすぐに分かる。さらに驚くのは、その別次元がガソリンエンジンのB5Sは当然のこと、ディーゼルエンジンのD5Sでも実現できていることだ。まさにアルピナ・マジックとはこのことである。
BMWが通常のハイブランドスーツなら、アルピナはフルオーダーメイドで仕上げるスーツみたいなもの。そこには最新BMWに準じたグラフィックデザインのメーターパネルは少し違和感があるが、それもきっと見慣れてくるのだろう。とにかく、乗るなら大人のオトコを演出する必要がある。短パンとサンダルでは乗らない方がいい。(そもそも安全面でも良くない)
購入価格のことなど書くつもりはないが、最新のD5Sで1400万円くらい。もちろんオプション等の具合にもよるけれど。それで得られる特別感や大人の余裕はとてつもなく大きい。ルートを開拓すれば、首都圏ならディーラーで試乗なども出来る。逆に地方では、担当BMWディーラーにもよるが、なかなかタイミングが難しいかも知れない。
孤高の存在、アルピナ。じっくりとその魅力を味わいたい。
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