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TMG Guitar Co.

僕が愛用しているカスタムメイドのギターを紹介します。



TMG Guitar Co.
TMGギター・カンパニーと読みます。
主にストラト、テレキャス、ジャズマスター等を模したギターを作ります。フェンダー・コピーモデル系のメーカーはこの世に数多ありますが、TMGは持った瞬間に違いを感じる様なクオリティーの高いギターを作る事が出来るメーカーです。

元々TMGはTaylor McGrath Guitarsの略なので、省略無しで読むとテイラー・マクグラス・ギターズ・ギター・カンパニーと、何とも奇妙なブランド名なのですが、これにはいきさつがあります。

元々はテイラーとマクグラスと言う苗字の二人の経営者によって始まったこのギターメーカー。
細かい内容はここでは触れませんが、実はかなり経営上のトラブルを起こしていた様です。英語で書かれていますが、その内情に触れたサイトがいくつかあるので、よほど興味ある方は自分で調べてみて下さい。

ただ、トラブルは起こしていた物の、実際に作られるギターは非常に高く評価されていて、一部のプロギタリスト達にも愛用されていました。
元々カリフォルニア州にあったTMGの経営がいよいよ怪しくなってきた時に、このブランドを買収し新たに立て直したのが、オレゴン州で楽器屋を経営していた現在のオーナーです。
なのでTaylor McGrath Guitarsと言う名前はもう名乗れず、略してTMGとして現在のTMG Guitar Co. と言う名前になった訳です。

経営者だけでなく、実際にギターを作っていた人達も全て入れ替わったので、前と現在のTMGは全く別のギターメーカーと考えて良いでしょう。
旧経営と現経営のTMGの見分け方はヘッドの裏にあります。
古い方は工房の所在地であった Fullerton,CA (カリフォルニア州フラートン)、新しい方は Bend, OR (オレゴン州ベンド)と彫ってあります。
現在の経営の元で作られるギターも、旧経営時代の物とは細かい作りが違いますが、そのクオリティーは非常に素晴らしいです。

ちなみに僕は旧経営時代も、現経営になってからもそれぞれ一本ずつギターを作ってもらっています。色から細かい仕様までカスタムオーダーした愛着あるギターで、今まで数々の現場で使用して来ました。


これは旧経営時代に作られたストラト・タイプのギターです。当然ストラトはフェンダーの商品名で使えないので、Doverと呼ばれています。ストラトでDoverと聞くと、エリック・ジョンソンのCliff Of Doverを連想しますね。おそらくそこから取った名前かと思います。

このギターはオーダーから完成まで半年ほどかかり、受け取ったのは2014年でした。本当はしばらく使い慣らしてから現場で使おうと思ってたのですが、あまりにもしっくりくる出来だったので、そのまま受け取り直後のスティービー・ワンダーのヨーロッパツアーに持って行きました。それ以来愛用しているギターです。

ボディーの塗装はMary Kaye Blonde(メアリー・ケイ・ブロンド)と呼ばれる色で、木目が透けて見えるシースルー・ホワイトです。実際に手に取って見ないとわかりづらいですが、TMGの特徴である質の高いレリック加工が施してあります。傷の度合いの他にウェザー・チェッキングと言われる塗装の割れ具合も、ライト、ミディアム、ヘビーから選べます。とてもリアリティーのあるレリック加工で、まるで本物のビンテージギターのようです。

ストラトのボディー材はアルダーの方が一般的かもしれませんが、これはアッシュを使っています。これは僕のこだわりではなく、オーダー時に前オーナーのTaylorさんと電話で話した時に、特に指定がなければ全てアッシュを使っていると言っていたので、敢えてそれに乗っかってアッシュで作ってもらう事にしました。やはりアッシュなので、音の立ち上がりが早く、高音域の抜けが良い特徴があります。

ピックアップはオーストラリアのSlider’s製。高音域の粒立ちの良さを前面に出しつつ、粘りの強い中音域でそれをしっかり支えると言った印象の、木材の特色をうまく拾ってくれるピックアップです。

ネックはスリムなメイプルネックで、非常に握りやすいです。ストラトの指板は個人的にはローズウッドの方が好みなのですが、すでにローズ指板のストラトは持っていて、違うキャラクターのサウンドが欲しかったので、メイプル指板にしました。

続いて現経営元で作られたギターです。

こちらはテレキャスタイプ。商品名はGattonです。間違いなくDanny Gattonから付けられた名前ですね。

これもボディー材はアッシュですが、工房にある一番軽いアッシュで作って欲しいと指定しました。

ネックとボディーの重量バランスが悪くて、持った時にネックが下に下がってしまう様なギターは駄目ですが、僕は基本的に軽いボディーのギターが好きです。重い方が音もずっしりする、と言う人もいますが、僕はそうとも限らないと思います。
木が良く鳴って、弦の振動がボディーとネックを伝ってお腹や手にビリビリ伝わってくる感覚が好きです。このギターはそんなギターです。

このギターには僕のちょっとしたこだわりがあって、指板のインレイはドットではなくブロック型、ネックにはボディーの色に合わせて黒のバインディングが施してあります。そしてフレットは22あります。トラディショナルなフェンダー・テレキャスには無い仕様です。
僕は奇をてらったデザインのギターはあまり好きではなくて、トラディショナルな見た目の中で、細部にちょこっとだけ違いを出すのが好きです。

このバリバリのトラ目、カッコよくて痺れます。5Aフレイムメープルです。フレイムやバーズアイのメープルも和牛の様にグレードがあるのですね。このフレイムメープルは和牛で例えるならサシ入りまくりの神戸牛と言った所でしょうか。
ネックは旧経営時代のDoverと比べると、肉厚でかなりガッチリ太い感じです。ネック幅も若干広いです。でも慣れると、これはこれでとても弾きやすいし、木材自体が非常に良く鳴っているのが左手を伝ってわかります。

ピックアップもDoverと同じくSlider’s製。低音域も中音域もしっかり拾ってくれますが、高音域の立ち上がりがとても良いです。
ネック側のピックアップはガッツリ骨太サウンド、ブリッジ側はギャンギャンのテレキャスらしいアグレッシブなサウンドです。
この表現がどれだけの人に伝わるかわからないけれど、僕の思う良いエレキの音ってソリッドボディーでも、どこかちょっとホローボディーと似てると言うか、空気を含んだ様な抜けとレスポンスのある音なんです。

クオリティー的にはフェンダー・カスタムショップにも引けを取らないTMGですが、値段はその半分くらいです。全部自分好みでカスタムオーダーするのも楽しいですが、すでに出来上がった物も市場にいくつも出ています。
日本でも、東京のTC楽器
大阪のBrush Eight に置いてあるようなので、興味ある方はぜひ試奏してみてはどうでしょうか。

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