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角ゼミ特別編:第50回衆議院議員総選挙について、私たちは何を考え、どう議論したか。

今年の2-6月に4回に分けて、西洋政治思想史のゼミを行いました。
そこに集まったメンバーと共に、実践編として、今回の衆院選の地元選挙区候補者、ならびに各政党の見解をまとめてみました。

10月6日 向ヶ丘遊園駅前・白いハコに集まった皆さんに、以下の点をご説明。
・民主主義が成立するまで(西洋政治思想史の振り返り)
・国会って?衆議院って?
・権力分立
・日本の衆議院議員総選挙の投票の仕組み
・多数制、比例制、混合制の良し悪し
・政党の存在意義
・国政と地方政治の区別
・今回の選挙が「急」な理由
・報道機関のあり方とそれに対する批判

地元の選挙区候補者に確認したいこと

その上で、皆さんから興味関心のあるテーマを合計10個出していただいた。
・【子育て教育政策】特に学校以外の場所をどう作るか、学費の無償化への賛否。大人が学ぶ場をどう作るか。
・【公衆衛生】レプリコンワクチンなぜ認可されたと思う?問題視するか
・【議員制度】「族議員」と呼ばれる業界利益誘導型の議員は認められるか。
・【新自由主義】あらゆる活動で市場競争を重視し、敗者の自己責任を問う「新自由主義」を認めるか。
・【日米安保・公害】PFAS /PFOS問題。多摩エリアの米軍基地周辺住民の血液検査を国の負担で実施するよう動くか。
・【税について】消費税減税に賛成するか。消費税の使途は。インボイス制度の賛否
・【環境・資源】農業・エネルギー産業など生活を支える産業や仕組みについて、興味関心を持つため国ができる施策はないか。
・【公約達成度】これまでの公約を・幾つ・どの程度達成できたか。

当日は、前半の説明に時間を要し、各候補者の見解をまとめるには至らず、googleスプレッドシート上で後日穴埋めすることとなりました。


各政党はどんなことを言っている?

併せて、比例代表の政党の見解も調べるためにまとめ役の角山が気になる点を10個あげて、調査することとしました。

【経済】アベノミクスについての総括と賛否 自民党はその他公約達成度合い
【社会保障】我々の世代と子供達が安心して老後を迎えるための財産形成のための施策や、救貧政策はどのようなものを考えているか。
【地方分権】感染症対策としての国の権限を強める地方自治法改正がされた。賛否は。そもそも地方分権を進めるべきか。
【防災・救命】自然災害大国で、今後どのような防災政策を考えているか。その予算や財源は。能登で救援活動の初動が遅れたが、体制の見直しが必要ではないか。
【原発賛否】地震大国で耐震基準未満の原発を今後も利用することに賛成か。
【エネルギー・GX】再生可能エネルギーを2030年までに国内発電の何%まで引き上げるか。
【日米安保】アメリカとの安保・構造協議による連携は維持するか。自主独立路線を模索しないか。
【政治資金規正法】
「見える化」するデジタルデータ作成を義務付ける改正に賛成するか。
【報道の自由】
記者会見をフリー記者向けにもオープンにするか

この後、調べ始めて実感したことですが、各政党Webサイトを見るとわかるとおり、論点は多いです。
例えば日本共産党は100のテーマについて自分たちの政策を発表している。
これらを網羅して、自分の見解との適合度合いを図るのは無理かもしれません。

そこで実感したことですが、
・自分が気になるテーマ、思いつくいくつかのテーマをあげて、それについて調べるだけでも十分意味がある
・あまりにも考えなきゃいけないことが多い場合、どういう論点をチョイスするかで、その人の個性・生き方が出る

私たちは、今まで学校などの教育課程で、満点をとることを求められすぎてきたように思います。
網羅的に検討することが望ましい態度とされ、自分の興味関心よりも、与えられたカリキュラムや仕組みに順応することのトレーニングを優先してきたように思います。

それに対して、政治的な意見を持つことは、まず自分やその周囲の人の生き方を踏まえて、何を重視するか、どんな観点を持っているかから始まる気がします。問いは既に自分が持っているし、そのことに気づくことが重要だと感じました。

そのようにして、探り当てた視点をベースに穴埋めをやってみました。

今回は、投票まで時間がないので、あくまで各政党の基本政策と衆院選重点課題としてピックされたテキスト資料の中から抽出することとしました。
演説や動画は参考程度に確認。
結果を何らかの方法で公開したかったのですが、細かく記載しすぎたスプレッドシートを一枚絵で画像にするのが困難で今回は諦めます。
ただ、特定の論点に絞りましたが、調べてみると、結構各候補者・政党の特徴が際立ってくるので十分比較できます。

それを元に私なりに政党の傾向を4象限にまとめてみました。

文責は角山にあります。誤りがあればご指摘ください。

このような整理をした上で、
投票日前々日の10月25日の夜に、ビデオチャットで任意の参加者の皆さん向けにまとめシートを説明しました。
当日は、リスニングだけされる方が多く、殆ど自分のラジオ放送のようになってしまったが、それが結構いいという声もいくつかいただきました。休憩の時に曲でもかければ良かった。

説明を終えて、参加された方から、以下のような反応をいただきました。
・こんなにちゃんと読み込んで候補者と政党を選ぶの初めてだった
・投票に関して、なんとなくこうだろうなという感覚が、理由として明確になって良かった
・何かを変えてくれる人・政党かも大事ですが、何をやらないか(守ってくれるか)という視点もすごく大事かと思います。
・ひとりひとり人間で、何でもできるような人はいない。議員も自分も。当たり前なのに、誰かに全部やってほしいと思っていないだろうか?と思ったりします。
・知識がある上で、迷えるのはぜいたく

そのほか、まとめシートをベースにご家族と議論をされたという方もおられ、自分の行動が誰かの次の行動や習慣のきっかけになっていることが確認でき、やりがいを感じました。

私自身は、ここまで、特に「民主主義」をテーマにゼミを開催してきたこともあり、まとめシートのベースになる価値観として、民主主義という制度や、それについての有権者の実践を支えてくれる候補者・政党かという点を重視しているように感じます。

経済の安定や景気対策はもちろん重要なのですが、それに必要な法制度を作る集団が、我々の代表として認められるような人たちでないと、元も子もないという気がしています。そういう私たちに政治参加を求める政党や政策はたくさん用意されていることも今回の調査でだいぶよく理解できました。それに対し私たちがどう呼応するかが大事ではないかなと思いました。その意味でボールは私たちの方にある気がします。

参考に、ゼミで使用したプレゼン資料を添付します。

さて、明日、皆さんはどんな投票をされますか?


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