#19 『奇蹟/ミラクル』 Review
考察、本当の奇蹟とは?
香港映画『奇蹟/ミラクル』(1989年|香港|127分)
監督&主演:ジャッキー・チェン
※本記事にはネタバレがあります。
ジャッキー・チェン〈4K〉映画祭、公開初日に鑑賞! 新宿ピカデリーでの『奇蹟/ミラクル』の上映は、5月10日初日の公開はなく、翌日に上映だったので、あえて公開初日と記載させていただきます。
10時25分という午前の回でした。夜勤の訪問介護の直後、電車を乗り継ぎ映画館に急行しました。上映中に寝るようなことはなく、最後までもちろん起きていました。
まず映画館に着くと2003年のJCファンクラブ香港ツアー以来のお付き合いとなった兄貴に再会。「来てるかな〜」と思ったら、やっぱり来ていた!たぶん5年ぶりの再会です。他にもJCファンクラブの方々が10名ほど来られており兄貴に紹介されて、あれやこれやとジャッキートークに花が咲きました。映画館は《再会》というステキな場所になるんですね♪
もう映画を観る前からテンションがMax超えだから、10回以上は観ている『奇蹟/ミラクル』もまるで初見のようにドキドキしながら鑑賞。まずは大きなスクリーンに映しだされるゴールデン・ハーベスト社のデン、デン、デン、デン、デデデデーン♪という懐かしいロゴ部分から感動。なぜなら映画館に来たのは『君たちはどう生きるか』を観た10ヶ月ぶりなので、暗い独特の雰囲気に酔いしれていたのでしょう。日々、育児や家事、介護だったから、こういう自分時間は大切。心が解放されました。
予告編
あらためて観ると贅沢な映画です。冒頭から友情出演のジャッキー・チュンにユン・ピョウ! そしてタイポにマースも健在。他にも「あれ?この人 香港映画で見たことある」っていう俳優が勢ぞろい。
部下役には『霊幻道士3/キョンシーの七不思議』のイカサマコンビ、ルイ・フォンが登場。
『ポリス・ストーリー』シリーズなどでお馴染みトン・ピョウもいるし、『霊幻道士』のリッキー・ホイも発見。アニタ・ムイの存在感はジャッキーを食い気味だし、珍しくサモハン一家のビリー・チョウが本作ではラスボス級のポジションでジャッキーとバトルを繰り広げます。(個人的には『フィスト・オブ・レジェンド/精武英雄』でジェット・リーとの闘いがビリーは最強!!)
クライマックスのアクションシーン
今回の鑑賞で初めて気づいたのは、最後ジャッキーがリチャード・ンに「マフィアの抗争は誤解なんだ」と告げに行くとき横にいた警官が『プロジェクトA』の海賊ロー親分こと、ディック・ウェイだった!(間違いないよね?) 『大福星』では謎の学ラン姿だったし、『七福星』ではタンクトップ姿で。『ファースト・ミッション』でも闘っているし、出番が多い定番の悪役です。
あとファンには嬉しいアパおじさんことベニー・ライが前年製作『九龍の眼/クーロンズ・アイ』から引き続き登場! しかも台詞は「アパアパ」のみ。劇場のあちこちから笑い声が。みんな知っていて笑ってるんですね。わたしも爆笑してしまいました。なんでアパアパやねーん、ってツッコミたくなります。格闘シーンこそないけれど、愛嬌があっていい役なんです。
映画雑誌『スクリーン』の人気投票でいつも1位か2位でした。(『ロードショー』だったかな?)上位の定番はジョディ・フォスターかリー・トンプソン、フィービー・ケイツでしたよね。たまにマギー・チャンも^ ^
新作『ライド・オン』のキャッチコピーに《集大成》というワードが入っているけど、ある意味『奇蹟/ミラクル』が既に集大成な感じもしました。豪華な出演者たち、見事なカメラワークと編集、キレッキレのアクション、感動のストーリー! ジャッキー自身も『奇蹟/ミラクル』が監督作として1番好きな作品と公言しています。
今回の4K映画祭で上映されているのは、株取引のシーンがあるロングバージョンでした。127分という長尺を感じさせない展開は名監督ジャッキーの才能です。ラストのエンディングを見れば演出している様子もあり、その姿がまたかっこいい!
貴重な撮影風景
さて、一気に鑑賞直後マニアック全開で書きましたがここで余談。実家の熊本には1989年公開当時の新聞広告の切抜きが何種類か保存してあったはず。(お見せしたかった)なかには確かセントラルシネマで同時上映された『霊幻道士・完結編/最後の霊戦』の方が面白く、『奇蹟/ミラクル』はジャッキー作品にしては子どもたちにあまり内容が伝わらず、面白くないのではないか。というような厳しい記事もありました。
確かに小学5年生で広東語の字幕版を見たから、少し内容が難しい印象があったかもしれません。それまでは主にテレビで放送されていた石丸博也さんバージョンに慣れ親しんでいたから。ストーリーも悪役がいて倒しにいくシンプルなものが多かった。
でも、とにかく初めて大きなスクリーンで見るジャッキーですから、いろんな感動があったと記憶しています。物語どうこうよりも、かっこよく動くジャッキーに興奮し憧れたことを覚えています。鑑賞後に熱が出たんじゃないかな。そのくらいジャッキー作品の迫力に圧倒されました。
吹替版は映像に集中できる。
ちなみに『奇蹟/ミラクル』以降のジャッキー作品は、『デッドヒート』『ラスト・ソルジャー』を除いたらすべて劇場で鑑賞しています。そのうち『ナイスガイ』『メダリオン』は香港で鑑賞。『シャンハイ・ナイト』はニューヨークで観ました。
そんなわけで、しばらくは部屋にポスターを貼ろうと、押入れから筒を取り出してハイこのとおり!(妻に手伝ってもらいました)なんだか本当に奇蹟が起きそうです。タイトルの書体かっこいい。
メルカリで検索すると下敷やラミネカードがありました。他にもパンフレットには載っていないバッジもあったりコンプリートしたい。グッズは見ているだけで幸せな気分になります♪
『霊幻道士・完結編/最後の霊戦』ではラム・チェンインに代わって、とぼけた道士役を演じていました。記者の相棒役はケニー・ビーです。サモハン・キンポーとジョイ・ウォンと共演した『サモ&ケニー/人質に気をつけろ!』をDVD or Blu-ray化してくれないかな? ツインさん是非よろしくお願いします。
アラン・タムとは香港のバーで偶然お会いしてサインを頂きました。「『サンダーアーム/龍兄虎弟』のビデオを何回も見ました。我好鐘意你(あなたのことが好きです)」と言ったら「多謝(ありがとう)」と笑って言ってくれました!
4Kにちなんで4本公開してほしかった。個人的には90年代のハリウッド本格進出前の『レッド・ブロンクス』や『WHO AM I ?』が観たい。今回は80年代に絞っているから、また別のアプローチで映画祭を開催してほしいな。日本語吹替版の特集上映もいいと思う。親子割引とかいろんな特典があったら面白い♪
今回は締切り間近の童話執筆のため、他の2作品は見送ります。やはり1番最初に映画館で観たジャッキー作品を父親になった今、あらためて観たかったんです。この熱い思いは子どもに伝染するか分かりませんが(笑)これからもジャッキーを応援しつつ、自分も新しい《作家の道》を切り拓いていきます。
童話の締切りが5月31日で、その日にジャッキーの新作『ライド・オン』が公開なので、しばらくジャッキー漬けですね。童心に戻りながら児童向けの物語を書いていきます。
最後に今回あらためて、という表現が続きますがグロリア・イップ御一行を船着場に迎えに行くシーンで、1人のマフィアの行動に驚きました。確か『プロジェクトA2/史上最大の標的』にも出ていた悪役の人です。(名前がワカラナイ…)
橋桁を駆けてくるグロリアがお母さんと早く会えるように、他の迎えに来ている人たちを両手で押さえて通りやすいようにしていたのです。マフィアのボスがジャッキーに代わって、どんどん手下がいい人になっていきます。その後も画面後方で「会えて良かったね」みたいな表情をするから妙にいい。人間は環境に左右される生き物なんだと思いました。
観るたび映画には発見があります。次々に公開される新作を観るより、自分の大好きな映画をじっくり何度でも観た方が深掘りできて面白いかもしれません。映画は観る年齢や経験値によって、だいぶ印象が変わります。
例えば『奇蹟/ミラクル』では、その後の展開としてグロリアの出産があり、里帰りは当然あるでしょう。その度にまたホテル暮らしを装うのか? それとも別の作戦で富豪感を作り騙すのか? そんなことをして果たして幸せでしょうか? マダム・ローズ(クェイ・アルイ)が最後に「本当は私たち、、、」と正直にクー(ティン・フォン)たちに告白しそうになります。実はあのまま全てを話した方が、これからの人生は楽になったのではないでしょうか?
いつまで嘘を嘘で重ねていくのか。初めから正直に打ち明けてはいけなかったのか。文化の違いから細かいことまでは分かりませんが、この奇蹟が生涯続くはずがありません。それはジャッキーの最後の台詞にも集約されています。「また遊びに来てね」一度「え!?」
小学生の頃は、そこで笑ったり大変だなぁみたいな印象で終わっていました。しかし、大人になり結婚し(再婚もして)父親になってみると、結婚は当人同士のことだけでは済まされないことを知ります。両家のことなど様々な観点から考え現実味が増してくるからです。最初に大嘘なんてついていたら信用を失い後悔します。
今のわたしが観ると、マダム・ローズが真実を話してクーたちが「それでも結婚を認めます。本当のことを話してくれてありがとう」みたいな感じで嘘がバレても2人の結婚が成立することが、本当の奇蹟のように思います。みなさんはどう感じましたか?
まとめ。アニタ・ムイ、ウー・マ、リチャード・ンは先に天国へ旅立たれています。映画はその人の1番美しい一瞬を記録する媒体なんだと感じました。そして私たち観客・ファンは記憶する。スクリーンの中では今も輝くスターたち。そんなことを思ったら涙が止まらなくなりました。途中から後ろポケットに入れておいたハンカチを取りだして手放せなくなりました。
小学生のときに観た『奇蹟/ミラクル』を約35年ぶりに映画館でまた観ている奇蹟。そんなことが起こるなんて考えもしませんでした。自分の人生に重ねると感慨深いものがありました。本当はこの世界は奇蹟でできている。そのことに気づくか気づかないか。奇蹟を起こすためには何が必要か? 人に親切にすることですよね。
銃や戦車は必要なのか? それより相手を理解し承認するコミュニケーションがあれば戦争はなくなると思う。多様性からの世界平和。これは私の創作の根底にあるメッセージです。
Music Video
壮大なエンターテイメントの総合芸術、映画。そのなかでジャッキー作品は元気と勇気を与え続けてくれます。命を懸けて。
その気持ちを受け取り、次の世代へジャッキーの偉大さを語り継いでいきましょう!
夢をありがとう、成龍大哥。
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