【FOMC+雇用統計+為替介入を受けた今後のマーケット展望】
先週はFOMCと雇用統計という大きなイベントが2つありました。
また政府日銀の円買い介入も(多分)あり、ドル円は大きく上下に触れました。
そこで今回は、FOMCと雇用統計を受けた今後のマーケット展望をお伝えします。
まずはFOMCと雇用統計の2大イベントを簡単に振り返ります。
<FOMC>
・政策金利は5.25%-5.50%で6会合連続での据え置き(予想通り)
・米国債の保有資産縮小ペース減速が決定(市場予想を上回ると解釈され、米金利低下と米ドル安で市場は反応)
→6月から月間でMBSの償還上限を350億ドルで維持
→米国債は600億ドルから250億ドルへ引き下げた
・パウエルFRB議長の記者会見では「利上げの可能性は低い」と利上げを否定
→一方で利下げを急がないことも明示
一言で言えば「無難」なFOMCでした。
続いて4月雇用統計についてです。
<4月雇用統計>
・非農業部門の就業者数は前月比+17.5万人(市場予想+24万人)で弱い結果に
・2月分は+27万人が+23.6万人に、3月分は+30.3万人が+31.5万人にそれぞれ修正された
・失業率は3.9%(市場予想3.8%)で弱い結果に
・過熱の象徴だった求人件数は3月分が848.8万件と前月比-3.7%
→コロナ禍前より100万件程度多いが、ピークだった2022年3月より3割少ない
・平均時給の前月比は+0.2%(市場予想+0.3%)で弱い結果に
・平均時給の前年同月比は+3.9%(市場予想+4.1%)で弱い結果に
一言で言えば「弱かった」4月雇用統計でした。
これらの結果を受けて、FRBの利下げは「9月開始で年内2回」がコンセンサスとなり、
①株高(金融緩和期待)
②金利低下(=債券価格上昇)
③ドル安円高(米利下げの確度UP+政府円買い介入への警戒感)
で反応しています。
では今後はどうなっていくのか?
正解は神様にしか分かりませんが、個人的には先週のイベント(特に雇用統計)による「早期の利下げ期待」は楽観的過ぎると感じます。
失業率は3.9%に上昇しましたが、この1年近く3%後半で推移しており、十分にレンジ範囲内です。
また米国ではパートタイマーの人数が急増しており、4月時点では446.9万人(前月比+16.1万人)です。
一方でパートタイマーが増えているのに、労働参加率は60%前半で頭打ちしています(4月は62.7%)。
これはおそらくベビーブーマー世代が続々と引退しているためでして、向こう5年〜10年はこのトレンドが続く可能性が高いでしょう。
そのため、空前の人手不足(=賃金の高止まり)は今後も継続しそうです。
「もしトラ」で移民制限がかかったら、ベビーブーマー世代引退との均衡が崩れて、ますますの賃金インフレを招くかもしれません。
高金利を維持している弊害は、小さな金融機関の破綻や、低所得者の節約志向の高まりなど、局所的に見られなくはないですが、
今のところ大きな問題になっているかというと、そういうわけではありません。
結論として、FRBの高金利政策は今後も長く続く可能性が高く、「FRBの利下げは9月開始で年内2回」というコンセンサスは楽観的過ぎると感じます。
米国金利の高止まりが続くことによって、
<株価>
日米共にダラダラした展開
→米国企業は基礎体力があり、日本企業には円安の追い風があるので、緩やかには上がっていくかも
<債券>
米国10年債利回りは4%前半のレンジで横ばい
→速やかな金利低下による債券のキャピタルゲインは難しい(TMFなどはやめたほうが良い)
→ただ債券はクーポンがもらえる分、横ばいであれば早く買ったほうが有利
<為替>
1ドル=150円〜160円のレンジで推移
→財務省が160円を明確な防衛ラインに置いている(ように見える)なか、そこをブレイクしていく材料には乏しい
→とはいえ米国金利が高止まりするなら、急激に円高になる要因も見つからない(よってレンジ推移)
と見ています。
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