「ウクレレ好き100の質問」 #031~#040
ごあいさつ
どうも、麻生洋平です。
無事、30個の質問に答えることができました。
質問を送ってくれる、この文章を読んでくれるみなさんのおかげです。
ありがとうございます。
いろんな質問に答えるのは、とても楽しいことです。
まず質問してもらえるのが嬉しい。
どういった回答を書くと、この質問者さんの役に立つかな、あるいはクスッと笑うかな。
と想像しながら書いています。
30個の質問だと、小学校1クラスの人数分は答えられたのかな?
僕は小学生の時、学級新聞を書いていたのですが、
みんなのアンケートを取るのは一苦労だった覚えがあります。
30人全員に声をかけ、30個の回答を集める。
やんちゃな子はなかなか回答を返してくれないから、
大変でしたね。楽しい思い出。
何はともあれ30個の質問は達成しました。
今回は31から40までの質問です。
僕は今、「ウクレレ好き100の質問」と題して、TwitterやInstagramなど各種SNSにて、ウクレレや音楽にまつわる質問やご相談を受け付けています。
そちらで集めた質問をこのnoteでまとめていきたいと思います。
まだまだ大募集中です。よろしくお願いいたします。
ウクレレプレイヤー&講師のサイトウユウキさんにも助けてもらいながら、
楽しく回答できればと思います!
#031 2023/1/4
暗譜について
まみーちゃん、2度目まして!
ご質問ありがとうございます。
暗譜が必要なのは、譜面を見て演奏してはいけない時です。
そう行った機会がなければ、譜面を見て良いと思います。
僕もサポートやセッションホストの時にはバッチリ譜面を見ています。
譜面を見すぎて、キューを見失うことも多々あります。
とはいえ、「暗譜をしたほうが良いのか。」と問われると、
「もちろん暗譜したほうが良い。」と答えます。
理由はいろいろありますが、今回は1つだけ。
譜面を見ながら1000曲弾けるよりも、
譜面を見ずに1曲弾けるように、僕はなりたいから、です。
セッションホストで演奏すると、譜面を見ながらいろんな人の歌の伴奏をします。
知っている曲、知らない曲を1日、2、30曲。
曲がどんどん体の中を通り過ぎて行きます。
でも数日経つと、一体自分が何を演奏したのか覚えていません。
確かに自分は演奏した。だけどそこに何も残っていない。
そんな曲が数千曲あります。
なんだか幻を見ていたような気持ちになります。
ふと後ろを振り向くと、名前も覚えて居ない曲たちが朽ち果て、
その墓標がずらりと並んでいます。
なんだか申し訳ない気になります。
もうちょっとちゃんと、その曲たちと向き合いたかった。
往年のスターに目を向けると、紅白やディナーショーに出て、
必ず歌う歌があります。
何10年も歌い続けている名曲。
もしかしたら歌っている本人はとうに飽きているかもしれません。
でもそれを演奏するとみんなが「待ってました!」となるような代表曲です。
有名という意味ではなく、自分がその曲の隅々まで知っている、
譜面がなくてもすぐに弾ける、いつでもどこでも練習なしで弾ける、
そんな自分といえばこの1曲!
という代表曲があれば、プレイヤーとして十分なんじゃないかなと思っています。
その1曲があれば、「何か弾いて?」のオーダーにもすぐ対応できます。
楽器屋の試奏だってその曲でバッチリ。
いつも弾いているので、その曲を弾けば自分の体のコンディションもわかります。
その1曲を持って街に出れば、オープンマイクだってでれます。
さらに2、3曲あればミニライブができます。対バンライブもできます。
10曲あれば、もうプロミュージシャンです。ライブもできる、営業もできる。
音源だって作れる。
それで世界を回っているミュージシャンもいるくらいです。
そこまでやる必要はないかもしれませんが、
ぜひ1曲、演奏することを愛している曲、愛奏曲を持ってみてください。
麻生洋平
#032 2023/1/5
基礎練嫌いの基礎練
わっきぃさん、ご質問ありがとうございます!
基礎練習はお嫌いですか。
僕も実は好きではありません。
1回やりだすと楽しくはなってくるんですけどね。
筋トレと似たところがあります。
(僕は筋トレ続きません。)
さて、そもそもなのですが、基礎練習ってなんで必要なのでしょうか?
曲の中で弾けない箇所があって、それをどうにか弾けるようにするためですよね。
弾けるようにするための考え方は2種類あります。
1つはアイデアや思考で乗り越える方法。
使う指を変えたり、コードの音を減らしたり。
考えるだけで演奏が良くなります。
2つ目は基礎練習です。
考えただけでは、自分の体がその通りに動かない。
そういったときに体の動きをよくするために基礎練習をします。
もともと自分の体ができなかった動きを強制するので、
無理のある動きになりますね。
ですのでクロマチック基礎練をしていると、手首が痛くなる、
というのはフォームの問題もありますが、
そもそも基礎練は体に無理を強いるので、痛みや怪我が出やすい危ない練習です。
オススメはきちんとしたトレーナーに見てもらうことですが、
それもなかなか難しい。
質問は「私にあった基礎練を教えてください」とのことでした。
今から2つ教えます。どれも怪我しない練習です。基礎練とは言わないかもしれません。
いうならば頭と感覚の練習です。
1つは頭の基礎練「考える練習」です。
曲を弾いているときにミスが起きたら、立ち止まって、なぜそれが起きたのかを考える。
そして理由を見つけて仮定を作り、それを改善する。
1番のオススメは自分の演奏を撮影して見ることです。
僕はコロナ禍でオンライン動画をやり取りするレッスンを始めたのですが、
生徒さんは自分の演奏を動画に撮って僕に送らなければならなくなりました。
(もちろん強制はしていないのですが。)
そうするとメキメキと生徒さんたちが上達して行きました。
自分の演奏を撮る→悪いところをチェックする→どうすれば良くなるのかを考える→その場所を直す→また撮る
の繰り返しでどんどん上手くなったのだと思います。
あまりにみんな上手くなりすぎて、その演奏をSNSで見た人たちが、
麻生さんのところは上級者向けだ、と恐れおののいています。
初心者がレッスンにこなくなってしまいました。
初心者こそ、最初が一番肝心なので、考え方を教えたいんですけどね。
ウクレレだけに限らず、
なんで空は青いんだろう、キリンの首はなぜ長いの?
など幼稚園生が考えそうな質問をインターネットに頼らず考えると、考える癖がついて良いと思います。
2つ目は「感覚を鍛える練習」です。
必要なのはペン1本。
クロマチック練習で鍛えたいことはいろいろありますが、
左手の押弦がその目的の一つです。
左手を指先で、フレットの際を押さえる。
でもほとんどの人は指先が一体どこなのか、わかっていません。
なんとなくこの辺とぼんやりした範囲で理解して居ます。
そして「面」で弦を押さえてしまい、どんなに練習してもなかなかコードが押さえられません。
そこでペンで、弦を押さえるべき、ただ「1点」にちょんとマークします。
そこをペンで触って、
「ここで弦を押さえる」という感覚を指先に作ります。
そのまま実際ウクレレを触っても構いません。
しっかり先ほどマークした「指先」押さえられているでしょうか。
最初は難しいと思いますし、やらなくなるとすぐに忘れてしまいます。
でも指先の感覚が強くなると弦を「面」ではなく「点」で押さえる、ということが理解できます。
クロマチック練習を繰り返さなくても、左手の押弦に関しては、
完璧に押さえられるようになります。
この文章も指先の「点」を意識して、タイピングしています。
どこでもできる練習です。
取り入れて見てください。
麻生洋平
#033 2023/1/6
弦のバランスについて
Kakoさん、ご質問ありがとうございます!
4つの弦の音をバランス良く出す。
メロディーだけ音を立たせる。
結構難しいですよね。
今回は2つの方法を紹介します。
1つは技術的な話、もう1つは簡単ですぐ効果が出る話です。
まず1つ目。
メロディーを際立たせたい場合があるということはソロウクレレを弾いているのかと思いますが、ソロで練習する前に、まず伴奏で全ての弦が均一な音量で鳴ることを目指します。
Cのコードならそのコードだけで十分です。
まずは親指でストロークしてみましょう。
なるべく全ての弦が同じ音量で鳴るように心がけます。
コードを弾く場合は弦の上をやさしく撫でるイメージです。
その弾き方で1本ずつ弾いて、全ての弦の音量が同じくらいか確かめてみましょう。
意外と均一に弾けてないことがわかると思います。
特にダウンストロークの時は3、4弦の音が大きくなりやすいです。
最初に指が当たる弦が大きく出る傾向にあります。
それができたら、次は1つの弦だけ大きく音を出す方法を試します。
先ほどの弦を撫でる奏法をアルアイレと言います。
音を大きく出したいときはアポヤンド奏法で弾きます。
やり方はしっかり親指を弦にかけて、指が抜けたら次の弦に触れて、指を止めます。
4弦を弾いたら、親指は3弦に触れています。3弦を弾くと、2弦に触れている。
2弦を弾くと、1弦に触れている。最後の1弦の場合は弾き終わりにボディに触れて指を止めましょう。
このアルアイレとアポヤンドになれたらそれを混ぜます。
Cのコードを押さえて、4、3、2弦はアルアイレ、1弦だけアポヤンドで弾きます。
そうすると1弦だけ音がくっきり、それ以外の音は小さく聞こえるはずです。
イメージとしては、ミキシングです。
レコーディングスタジオに大きなミキサーという機材があります。
よくエンジニアがつまみ(フェーダー)を上下している映像を見るのではないでしょうか。
あれはボーカルの音量やピアノ、ギター、ベース、ドラムの音量を変更できる機材です。
自分がエンジニアになった気持ちで、ボーカル(メロディーの音)を大きくしたいな、と思えばそこはアポヤンドで、ピアノやギターのコードを小さい音量にしたい場合はアルアイレで弾く力をさらに軽くしましょう。ベースを聴かせたければ低音を大きく鳴らせば良いですし、ドラムを聴かせたい場合はウクレレを叩いたり、ストロークのジャキジャキした音を増やしましょう。
まるで自分がミキサー卓に座っているエンジニアになった気持ちで演奏の音量を調整することができると、すごく聞きやすい音楽を作ることができます。
最後に2つ目の簡単な方法。
それはメロディーを意識して演奏することです。
頭の中でメロディーを鳴らして弾く。
あるいは実際に口に出して弾く。
ただそれだけで、嘘みたいですけど、メロディーが際立って聞こえるようになります。
ぜひトライしてみてください。
あと最後に一つだけ、優しい曲、静かな曲だからといって、音量を小さくする必要があるのかどうか。ぜひ考えてみてください。
麻生洋平
#034 2023/1/6
サステインについて
セーラさん、あけましておめでとうございます!
ご質問ありがとうございます。
ウクレレの弦の伸びる音、サステインのことですね。
カマカウクレレ、良いウクレレをお持ちですね!
おそらくウクレレのせいではなく、考え方で直るので説明します。
3つ覚えてください。
まずサステインとは音が始まってから途切れるまでの長さのことです。
難しい漢字が出てきて申し訳ないですが、
バイオリンのような擦弦楽器(弦をこすって音を鳴らす)はサステインが長く、
ウクレレやギターのような撥弦楽器(弦を弾いて音を出す)はサステインが短いです。
まず弦を弾いて音を出す、それからゆっくり音が小さくなって消えていきます。
これを減衰と言います。
1つ目、そもそもウクレレはサステインが短い。と覚えてください。
2つめは低音の方が高音より、音が大きく長い、です。
部屋の中にいるとしましょう。
外から聞こえてくる音は高音よりも低音の方が聞こえると思います。
どしん、という揺れや、空調設備の「ごおお」という音。
実は低い音の方が、減衰が高音より少ないです。
ジャイアンの歌が騒音なのは、低い声でさらに音痴だから、
減衰しにくくみんなに届いてしまうんですね。
なんという迷惑。
2つ目、低音は高音より減衰しない。と覚えてください。
3つめは音の鳴る順番です。
弦を指で弾きます。それがネックを伝わって、ボディで増幅され、音が出ていきます。
まず弾いた時に音が出て、増幅した時に一番大きな音、ピークがきます。
その後ゆっくり減衰していく。
音量でいうと山なりのカーブになります。
3つ目、ウクレレの音はピークがきて減衰していく。と覚えてください。
ここまできたら答え合わせです。
1弦より3弦の方が音が長い。
これは2つ目の答えで解決します。
低い方が音が長い。実は自然の摂理なんですね。
さあ、ここからはそれを直していきましょう。
まず1弦の音の伸びが悪い理由、それは弾く力が強すぎるからです。
(3つ目の答えを参考にしましょう。)
ウクレレは弾いた後にまずピークがきて、音は減衰していく。
この時ピークの音が強すぎると、人間の耳は相対的なので、
減衰した音が小さく聞こえすぎて、サステインが短い、と感じてしまいます。
ですので、あまり強く弾きすぎず、ピークを抑えめにして弾いてみてください。
優しく弾いて、音の余韻を感じましょう。
音の終わりを意識して弾くと、何も考えずに弾いている時より、サステインが長く感じるはずです。
そして3弦(もしくは2弦などの今弾いている弦より低い音が出る弦)は、
1弦より少ない力で軽く弾きましょう。
そもそも低音は他の弦より音も大きく長く聞こえやすいので、
右手で音量をコントロールしましょう。
全ての音がバランスよく聞こえるように弾いてあげます。
そうすれば今よりもっと美しい音で鳴ってくれるはずです。
自分のウクレレを信じてみてください。
麻生洋平
#035 2023/1/7
演奏動画の撮影について
まみーちゃんさん、ご質問ありがとうございます!
自分自身の演奏動画を撮ること、素晴らしいですね!
動画を撮ってSNSで発表したり、友達に見せたりして、他人に評価されることは、自分のレベルアップになりますね。
何より自分の演奏を何度も見返すことによって、課題や直すべきポイントが見つかり、どんどん上達する良いサイクルを作ることができます。
ただ完璧主義になってしまうと、求める演奏の質が高いためにテイクを重ねすぎて、だんだん撮るのが億劫になってしまいます。悪い場合はそのまま演奏を撮ることをやめてしまうことも。
僕は完璧を求めて時間をかけるよりも、まずとにかく完成させることを重要視しています。
ですので、まず最後まで通して弾ける最初の1テイクを目指します。
そもそも完奏テイクが10も20もあると、多すぎて一体どの演奏が良いのかわからなくなります。
例えば電気屋さんに掃除機を買いに行きます。
掃除機コーナーには何10種類と新商品が並んでいます。
その光景を見ると、僕は混乱してしまいます。
多すぎて選べません。
店員さんの話を聞いてもちんぷんかんぷんです。
謎の新機能は入りません。
僕が欲しいのは「ゴミをしっかり吸い込んでくれる力の強いシンプルな掃除機」なんです。
でも店員さんは頑張って色々説明してくれる。
僕はだんだん頭が痛くなり、そのまま買わずに家に帰ります。
もう掃除機はいいや。雑巾で床を拭こう。
選択肢が多すぎると、選ぶのに苦労します。
ですので演奏を撮る場合は、まず最初の1回。(この1回で終わることもあります。)
その演奏を見て気になるポイントがあれば、もう1回だけ完奏テイクを撮ります。
そしてその2つを比べて、良い方を選びます。
3回目を撮ることは稀です。
そしてアップする。
その演奏に不満があったとしても、それは僕が弾いたテイク。
その演奏が今日の僕のベストです。
もし気に入らないなら、また別の日にそのベストを更新する演奏をすれば良い。
完璧な1本よりも、小さな完成を何度も繰り返していく。
そっちのほうが、結局は高い山に到達するんじゃないかな、と思っています。
麻生洋平
#036 2023/1/7
譜面が読めない
Madokaさん、ご質問ありがとうございます!
譜面を読む、書く。
全くできない、でも素晴らしいプロミュージシャンもたくさんいます。
でも自分の経験を振り返ると、譜面を読む、書くことは、
音楽の能力をアップさせることに凄く役に立ちました。
振り返って、特に役に立ったな、と思うのは、リズム譜読みです。
リズム譜を読めるようになり、自分の中の音楽の解像度がグッと上がりました。
これまでは草原の中に音楽が風のように流れて、捉えどころがなかったことが、リズム譜を読めるようになり、リズムの枠の中で音楽を認識できるようになりました。
例えるなら、真っ白の紙に無目的に文字を書いていたところ、400字詰め原稿用紙にかっちり文字を書くようになった感じです。そのおかげでしっかり文字を正しい位置に置けるようになりました。
リズムの譜面を読む。
最初はそれをお勧めします。
お手元にある譜面を見てみてください。そこにあるお玉杓子は、
音の高低を表すとともに、リズムを表しています。
リズム譜面読みは音の高低は無視して、リズムだけを読む練習です。
4拍子で4分音符が並んでいれば、
「アーメーリーカー」
8分音符なら
「アメリカアメリカ」
4分と8分が混ざれば、
「ターイーアメリカ」
慣れないうちは音符の上にそんなふうに言葉を並べて、譜割を読む練習をしました。
譜面にぜひ書き入れてみてください。
1人だと難しい場合は譜面に詳しい友達に手伝ってもらいましょう。
そうすると
「まーだつかぬ、とーいとちぎ(まーだ着かぬ、遠い栃木)」
(これはIsn’t She Lovelyのリズムです。)
なんて言いながら練習できる用になります。
インドのタブラ奏者は弟子入りしても何年も太鼓を叩かせてもらえず、
そのかわり口でリズムを言う練習をするそうです。
しっかりしたリズムを捉えるために一番良い練習の手順だと思います。
そういった練習をやっていくと、音楽を聴いているときにリズムのグリッドが見えるようになります。(まるで400字詰め原稿用紙のように)
そうすればリズムよく音楽を感じ、そして演奏できるようになります。
最後に、リズムが感じられるようになったら、ぜひマイケル・ジャクソンを聞いてみてください。
歌の合間に、「アオ!」「ポウ!」など合いの手が入っていると思いますが、しっかりリズムのグリッドに入っていることが分かるようになっていると思います。
その段階に来たら、自分も歌を歌うときに、歌詞の合間にリズムの合いの手を入れるようにしましょう。
洋楽邦楽、どんな歌でも、なんちゃってマイケル・ジャクソンになれるはずです。それができれば1人で歌っているのにも関わらず抜群のリズム感で歌えていると思います。
周りから見ると、ちょっと変な人ですが。
ちなみにマイケル・ジャクソンが大好きで、いろんな曲をアカペラでもしっかり歌える友達がいました。
CDに合わせて言葉をピッタリ歌えるように練習したそうです。英語の意味はわかっていないそうですが。
彼はミュージシャンでもないのに抜群のリズム感でした。
マイケル・ジャクソンの歌を完コピをするだけでも、譜読みをやったと同じ効果はあるかもしれません。
ぜひ試してみてください。
麻生洋平
#037 2023/1/8
重音のコツ
emi-rinさん、ご質問ありがとうございます!
重音の弾き方、難しいですよね。
コツは最初に当たる弦の方を軽めに弾くことです。
そして次に当たる弦の方を、ちょっとだけ強めに当てる。
両方の弦の音がバランス良く鳴っているかどうかをチェックしてみてください。
以前、#033、4つの弦のバランスの質問の時に、
アルアイレとアポヤンドの弾き方を回答しましたので、
そちらも参考にしてみてください。
技術的な話はそちらで読んでもらうことにして、
今回は重音や複数の弦を弾いている時に、
僕が持っているイメージについて話したいと思います。
シンデレラの意地悪な姉妹が、部屋の窓枠の埃を人差しでサッと払い、
「埃が残っているわ。」と掃除をシンデレラに押し付けるシーン。あの指でサッと埃を祓うような動きのイメージです。
窓枠の表面を、触れるか触れないかの距離でサッと撫でる。
ええ、確かに良いシーンではないです。
あるいはカーテンから溢れる白い光あふれる午後、
毛足の長い高級な絨毯の上に寝転んで、
その表面を指でサッと撫でる。
ふわふわの柔らかい絨毯の表面が、ふわりと揺れる。
こちらは綺麗なイメージですね。
重音を弾く時はこのようなイメージを持って、弦に触れる時もあります。
もちろん曲によってガッツリ弾くこともありますが。
ぜひ弦を弾く時にイメージを持って弾いてみてください。
あるミュージシャンにインタビュアーが尋ねました。
「先ほどの曲は何をイメージして弾いたのか?」
ミュージシャンは答えました。
「ずっと最新鋭の消防車をイメージして弾いていた。」
いろんなイメージを持つ人がいるものです。
その人の持つイメージが、その人の演奏の個性を産んでいる気がします
麻生洋平
#038 2023/1/8
もしもウクレレカフェを開くなら
mamiさん、ご質問ありがとうございます!
良い質問ですね。
考えるのもウキウキします。
僕がウクレレカフェを開くなら。
海沿いのカフェで、夏の始まるか始まらないかの季節。
木の板を白く塗ったオープンテラスは、潮風にさらされ、
ところどころペンキが抜け落ちています。
背の低い水色のテーブルと、白く塗られた木の椅子。
頭上には朱色のオーニングテントから太陽が透けてみえます。
テラス席だと、汗が滲んでしまう季節です。
店内は高い天井に、背の低い茶のテーブルに、色とりどりのソファ。
どれも世界中から集めた年季の入ったソファたちです。
前は誰が使っていたんだろう。そんな想像が働きます。
壁には壊れたウクレレやリュートがかかっています。
それらはもう弾かれなくなった楽器たちです。
いつか自分で修理しよう、と店主である僕は思っています。
でもそう思ってもう10年以上経ってしまった。
壁には小さな本棚。
店主が今読んでいる本、音楽、興味のある小物が少し置かれています。
店主はコーヒーを飲みながら、ポール・オースターの新刊を読んでいます。
そこにお客さんがやってきます。
どこかで噂を聞いてやってきたお客さんです。
雑誌やネットにも出ていないカフェなので、常連以外のお客さんが来ることは稀です。
そのお客さんは、お勧めは?と聞いてきます。
店主は「冷たいレモネードです。」と言います。
裏の畑で育てているレモンをとり、水で洗い、半分に切り、片方は輪切りにします。
はちみつを入れ、レモンを絞り、氷を入れ、ソーダで割ります。
ソーダはゆっくり炭酸の抜けないように注意しながら注ぎます。
最後に輪切りのレモンと、ミントを添えます。
お客さんはレモネードを飲みながら、ソワソワしてます。
ある時思い立って店主に聞きます。
「ウクレレに関する悩みを持ってきているのですが。」
とお客さんは言います。
店主は話を聞きはじめます。
外から潮風が吹き、波の音と、木々の葉を揺らす音、風の音が聞こえます。
遠くで鳥が鳴きます。
店内に音楽はかかっていません。
お客さんが壁にかかっている楽器を手に取り、自分の悩みを店主に説明しようとしています。お客さんは弾き始めます。
ウクレレの木の音が店を満たします。
夏の始まる直前の海岸沿い。
そんなカフェをやりたいですね。
麻生洋平
#039 2023/1/9
演奏前と後のルーティン
AOさん、ご質問ありがとうございます!
弾き始めや終わりのルーティン、僕も考えたことあります。
今現在は特に何も考えず、1つキーを選んだら、それに対して即興で弾きます。
その運指の中で、左手と右手の感覚を感じながら、いつもと同じようにして行きます。
これはPat Methenyというギタリストがやっているウォーミングアップを参考にしています。
即興は急にできるようなことではないので、
今回は昔していたウォーミングアップの方法を紹介しますね。
まずウォーミングアップをする目的は、
体が思った通りに動くようにする。
そして怪我をしないようにするためです。
起き抜けに演奏すると、いつもと体の動きが違ってうまく演奏できないのではないでしょうか。
それは意識と体がまだコネクトしていないからですね。
ですので僕はいつも弾いている簡単な曲を演奏していました。
ある時期はソロアレンジをコピーしていたので、
YouTubeを開いて、コピー元の演奏をかけながら、それに合わして弾いていました。
昔、習字の先生だった祖母が、毎朝写経をしていました。
毎日毎日お手本を見ながら同じ漢字の並びをずっと書いていく。
お手本に体を合わせていく作業です。
それをすることにより、1日の初めに体の動きを正しくしていく。
硯に墨をすり、集中して字を書く。
綺麗な文字が並んでいくその様は、子供の僕には魔法のように見えました。
コピー元の演奏を聴きながら、それに合わせて演奏するのはそれと同じ。
写して演奏する。さながら「写奏」ですね。
なるべく尊敬する、こうなりたい、と思うプレイヤーの「写奏」をするのがオススメです。
音とリズム、音量やタッチも、お手本の演奏に近づけていく。
集中して音楽に向き合う。
いきなり早いテンポだと体がびっくりするので、ゆっくりのテンポで弾くのをお勧めします。
毎日繰り返すと、お手本のプレイヤーの演奏の癖がうつってきます。
そのプレイヤーのDNAが入ってくる感覚ですね。
終わりのルーティンはストレッチです。
右手の指を左手で持って、ゆっくりいろんな角度に伸ばします。
この時に痛みがあると、やりすぎの合図なので、練習を控えるようにします。
自分の体の状態を知るためのストレッチですね。
怪我しないように、安全に。
それが一番重要ですね!
ぜひ試して見てください。
麻生洋平
#040 2023/1/9
知るべき音楽理論
ドラゴンズ馬鹿日本一のドラキチ社長さん、さて何度目でしょうか(笑)
ご質問ありがとうございます!
僕は音楽理論は後から知った方が良い、と思っている派の人間です。
色々弾けるようになって、後から意味がわかる。
自分がすでにできることに、理論という名前がついてくる。
理論書で言葉を知った時にすでに弾けていると、
「ああ、僕はメジャーペンタトニックを弾いていたんだ!」
「あれってリハーモニゼーションって言うんだ!」
とこれまで体験が理解につながります。
なんでそう思うのかと言うと、
僕は先に理論を知ってしまった人間だからです。
先に理論を知っているので、頭でっかちになり、
全てを生わかりしてしまいました。
「アッパーストラクチャートライアドね。あの本で読んだ。」
「オルタードスケールね。知ってる知ってる。」
自分では弾けないのに、理解している気でいました。
そのギャップを埋めるのに3年はかかった気がします。
でもそれも山の入り口をどこから登るか、の話だけなのかもしれません。
どの入り口を通っても、たどり着きたい場所は頂上です。
先に理論を知ろうが、何も知らなくても演奏できようが、
最終目指すのは同じ素晴らしい音楽家です。
ですので今回は3つの役に立つ理論を紹介しますね。
まず最初はメジャースケールとインポジション。
メジャースケールはドレミの音階ですね。
インポジションはそれをウクレレの指板上で、どう楽に弾くかの考えです。
あまり指を伸ばさずに弾くための考えられた運指ですので、
それを覚えるとウクレレの指板上でドレミをいろんな場所で弾くことができます。
2つ目は度数とダイアトニックコードです。
音をドレミではなく数字の積み重ねで覚える。
音楽を数値化します。
そうすることで、C、Dm、Fdom7といったコード名で覚えず、
メジャー、マイナー、ドミナント7thなどの構造だけで覚えられるようになります。
GMaj7(13th)のような難しいテンションコードも、コード名を見るだけで意味がわかるようになります。
難しそうに聞こえますが、中学1年生レベルの数学で覚えられます。
これがわかれば、押さえたことのないコードでも、
コード名を見ただけで自分で押さえられるようになります。
度数でコードの積み重ねの方法がわかれば、
ドレミのメジャースケールでのコードの積み重ねも覚えます。
それがダイアトニックコードです。
ドレミファソラシドは7音しかないので、そこからできるコードは7つしか存在しません。
種類は3和音なら3つ、4和音なら4つだけです。
掛け算覚えるよりも簡単です。
それを覚えたら、音楽を数値化します。
そうすると全てのキーのコードを覚えることができます。
(数値化すればその都度割り出せるので、実は覚える必要もありません)
またいろんな曲の構造が見えるようになるので、違う曲同士で違うキーでも、
実は構造はほぼ一緒だと言うことに気づき、
曲を覚えるスピードが格段に早くなります。
3つ目はソルフェージュです。
音をドレミで歌います。
相対音感で歌うので、キーが変わっても、そのキーのルートがドになります。
これを覚えれば、キーが変わっても、音の並びは一緒なんだな、
と言うことがわかるようになります。
大きな違いは大まかに言って、メジャーかマイナーか、だけです。
最近の難しい曲も転調は繰り返しますが、
とどのつまりは違うキーのメジャーかマイナーに行っているだけのことが多いです。
上記3つが理解できるだけで、音楽の習得は相当楽になると思います。
最後に、プレイヤーは結局演奏できないと意味ないので、
知識と実践のバランスに気をつけて、取り入れてみてください。
麻生洋平
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