前回は、大量消費社会と循環型社会について少し学んでみました。
今回は、サーキュラーエコノミーについて学んでいければと思っています。
サーキュラーエコノミー(循環経済)
サーキュラーエコノミーとは、従来の「大量生産・大量消費・大量廃棄」のリニアな経済(線形経済)に代わる、 製品と資源の価値を可能な限り長く保全・維持し、廃棄物の発生を最小化した経済のことを指しています。*24
前述の循環型社会と似たような意味合いを帯びていますが、循環型社会の中にサーキュラーエコノミーが位置づいているような印象です。
日本では、2004年のG8サミットで、「3Rイニシアティブ」を提案しており、これは、リデュース(発生抑制)、リユース(再使用)、リサイクル(再生利用)の3つのR を推進しようとする取り組みになります。*25
その後、ヨーロッパで2015年に「Euro2020」が表明され、その中の一つとしてRE政策があげられました。*26 また、サーキュラーエコノミーパッケージとしてCE政策も表明され、サーキュラーエコノミーの概念が広まって行くことに繋がっています。*27,28
上図の経済産業省のスライドにも書いてある、REの基本目的である「デカップリング」とは、通常、経済成長していくと環境負荷も拡大していきますが、資源の利用量や環境負荷を比例拡大させず、デカップル(切り離し)していくということです。
これは、ジョンエルキントン氏が、1994年に持続的な経営のためには、経済的側面・環境的側面・社会的側面の3つの軸で評価をすることとして、トリプルボトムラインを提唱されていることにもつながっています。この3つの視点は、経済的利益(Profit)、地球環境(Planet)、人々の幸福(People)の3Pとして言われることも多いです。*29
また、このスライドからは、RE政策とは、今までの「3Rイニシアティブ」だけでなく、シェアリングやIoTまで拡大して解釈していくことにも触れられています。廃棄という観点からの3R だけではなく、利用者目線でのそもそも所有せずにシェアするなどの近年の考え方が拡充されているものと思います。
Accentureのレポートでは、シェリングサービスの普及の現状に触れられています。*30 シェアハウスやレンタカーなど、単価の高いもののシェアから徐々に広がっており、身の回り品まで浸透してきている現状が見られています。
また、同レポートでは、サーキュラーエコノミーの5つのビジネスモデルについても挙げられております。*30
この5つの視点は、今までの供給視点中心ではなく、利用視点中心に構築されているビジネスモデルということなのかと思います。
また、とは言っても急に今までとは違う取り組みに対応していくのは難しいかと思います。PwCコンサルティング合同会社では、エネルギーセクターに関してではありますが、サーキュラリティ向上のための6つのステップを挙げてくれております。*31
まずは、現状の理解と自分達が取り組むべきサーキュラリティの特定とビジョンのすり合わせ、そして、先進的に動いていくことでルールメイキングをしていくことが重要になるのかと思います。
また、産業ごととしましては、ファッション業界で大きな取り組みが起きております。*32
2022年3月にEUROPEAN COMMISSIONでは、ファストファッションを時代遅れとし、「持続可能な循環型繊維製品戦略」で以下のような対策を提言しております。*33
また、その後具体的なアクションプランについて、8つの領域に分けて50項目を公表しています。*34
以下直訳で一旦メモがわりとして載せておりますが少し長いです。
直訳であったり、EU独自のものもありそうなので、わかりにくい部分も多いですが、個人的に気になった部分は、デジタル化の利用、ジェンダーレス、また戦争の文脈も盛り込まれていることでした。
特にデジタル製品パスポートは、労働搾取を抑制するための透明性向上やサーキュラリティ向上のためにもなり、以前のブログで触れたヘルスケアジャーニーと通じる部分もあるように感じました。製品が生まれたところから廃棄されるところまでをトレースしていくことで、廃棄されるものを削減していくということなのでしょう。
今回、サーキュラーエコノミーについて、自分なりに調べさせていただきました。これら学べたことから次回、当初の目的であるポリファーマシーについて何か参考になる部分などないかをアナロジー的に考えていけたらと思います。
ヘッダー画像:generated by DALL-E
【参考資料】
*24:経済産業省.2020年5月18日.サーキュラー・エコノミー及びプラスチック資源循環分野の 取組について(2024年2月22日参照)
*25:環境省.平成16年度循環型社会の形成の状況(2024年2月24日参照)
*26:JETRO.欧州 2020(EU の 2020 年までの戦略)の概要(2024年2月24日参照)
*27:EUROPEAN COMMISSION.2.12.2015.Closing the loop - An EU action plan for the Circular Economy
*28:経済産業省.資源効率・循環経済政策に関する動向と 今後の政策展開(2024年2月24日参照)
*29:Wikipedia.トリプルボトムライン(2024年2月25日参照)
*30:Accenture.サーキュラー・ エコノミー(2024年2月23日参照)
*31:PwCコンサルティング合同会社.サーキュラーエコノミーの台頭 エネルギートランジションの未来を考える(2024年2月23日参照)
*32:NewsPicks.2024/1/14.【教養】ファッションを「捨てない」時代がやってくる(2024年2月23日参照)
*33:JETRO.2022年04月04日.欧州委、持続可能な繊維戦略を発表、ファストファッションは時代遅れと批判(2024年2月23日参照)
*34:European Commission, Directorate-General for Internal Market, Industry, Entrepreneurship and SMEs, Transition pathway for the textiles ecosystem, Publications Office of the European Union, 2023, https://data.europa.eu/doi/10.2873/86186より引用・日本語訳(2024年2月23日参照)