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美味陶記1.『麩菓子に花を生ける』

食べ物ではないのに美味しそうなもの、ありますよね。お菓子みたいな鉱物と鉱物みたいなお菓子の取り合わせなんかも好きなんですけれども、陶芸家なのでね、美味しそうな陶芸作品を紹介してみたいと思います。

写真をご覧ください。

出典:サントリー美術館 名品ギャラリー

https://www.suntory.co.jp/sma/collection/gallery/detail?id=185

いかがでしょう。
そう、麩菓子ですね。
この写真がちょっとあれなのかな、実物はどうかな。

間近で見たらより黒糖でした。
これは『日本美術の裏の裏』展で私が撮った写真です。ボケてる上にアングルもひどいですね。
ここの、口元の見た目がたまらなくて!!
こんな写真しかありませんでした。

焼きしめでこれですよ⁉︎
釉薬かかってないんですよ⁉︎
土と自然釉でこの色と艶!!!

あぁ、黒蜜がたっぷりかかったかりんとうかなぁ、形が斬新だけどむしろありだわ。
端っこ割ってかけらを口に含みたい。
どんなふうに割れるんだろう。
パキッとかなぁ、ホロッとかなぁ。
舌に乗せたら黒糖がじゅわっと溶け出しそうですー!

いやいや割ってはいけません。
この作品は「旅枕花入」という名品です。
この作品を所蔵しているサントリー美術館では以下のように紹介されています。

「15世紀後半に侘び茶が発展してくると、信楽や備前では本格的に茶陶の生産を始める。本作は中国の青磁筒花生を原型とし、旅寝に用いる枕を連想させるため「旅枕」と称されるが、この種の初期のものとして貴重である。」
(『サントリー美術館プレミアム・セレクション 新たなる美を求めて』サントリー美術館、2018年)

https://www.suntory.co.jp/sma/collection/gallery/detail?id=185

貴重であるって。
割るのはもちろん舐めることも叶いません。
本来の使い方としてこの器に草花を生けるなら、和菓子に合う笹とか桔梗とかいっそのことサトウキビとか…?
そろそろ誰かに怒られそう。
今回はこの辺でやめておきましょうね。


このように、気になった名品について基本情報を織り交ぜながら勝手な視点で紹介していきたいと思います。
美味しそうな陶芸作品に心当たりのある方はぜひ情報をお寄せください。
それではまた。

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