【美術展レポ】キース・ヘリング展 アートはみんなのために
先日、六本木の森アーツセンターギャラリーで開催されている、キース・ヘリング展に家族で行ってきました。
キース・ヘリングはカラフルでポップな絵を描くことで知られています。彼の作品は、文房具や小物のイラストにもよく見かけますが、実はあまり作者自身のことを私は知らないかもしれない……そんな好奇心にワクワクしながら会場に入りました。
東京会場は今週末までですが、4月から神戸へ、その後福岡・名古屋・静岡・水戸・と巡回するようですね。
本記事では、私が展覧会を見て興味を持った点を中心に書いています。
地下鉄の広告板にドローイング
活動初期のヘリングは、地下鉄の空いている広告板にチョークで絵を描いていました。1980年代は現代のようなSNSがない時代です。誰でも目にすることができて、多くの人に自身のアートを伝える手段として、公共空間を選んだようですね。
どんな人にも作品をみてもらう手段としては素晴らしいのですが、ん?許可のもと?かはわかりませんが、ヘリングの「アートはみんなのもの」という心が伝わりますね。
そんなサブウェイドローイングが5点展示されていました。
当時の絵を広告版からそのまま剥がしているという状態なのでしょうか。端っこがギザギザで当時の様子が目に浮かびました。
ポップアートの時代をつくったヘリング
私のイメージするヘリングの作品は、このポップアートです。黒い太い線で描かれていて、赤や青や黄色などの原色がとても鮮やかですね。
ポスターで発信
ヘリングは、ポスターを通して、核放棄の廃絶や人種差別撤廃、エイズ予防、性的マイノリティの権利などの社会問題に対して、自身のメッセージを伝えました。また、子どもたち向けのポスターもたくさん制作したそうです。
アートはみんなのために
「赤と青の物語」シリーズは、子どもたちにもわかりやすい絵ばかりでした。次女はひたすら写真をとっていましたね。
どの作品もかわいくて、大人もクスっと笑顔になる作品たちです。
子どもはワークシートで楽しめる
最近の美術展では、子供たちにパンフレットを配ってくれることが多いです。こちらはキース・ヘリングの展示会で配布されたものです。
小2の次女は、どこにこの絵があるかなと必死に探しては写真を撮って、楽しんでいましたね。赤と青の物語コーナーでは、絵をみながら、なにか物語を想像していたのでしょうか。
まとめ
今の時代では、誰もが自分の考えを多くの人に拡散することができます。SNSがなかった時代では、どれだけ多くの人に自分の作品を見てもらえるか、とても重要であったことが、ヘリングの活動からわかりました。
彼は、美術館のように入場料を払って鑑賞するような特別な場所だけでなく、「アートはみんなのものである」という信念のもと、広く公共の場でアートを展開し続けました。命を削りながら、メッセージを伝え続けていた彼の姿には尊敬の念を抱きます。
今の時代であれば、ヘリングはどのような活動をしていたのでしょうか。SNSがある今でも、彼は実際の目で見ることができる公共の場での制作を選んでいたのでしょうか。
エイズにより31歳という若さでこの世を去ってから30年が経った今も、世界中の人がヘリングの絵を愛していることから、ヘリングの「アートはみんなのもの」という願いは、しっかりと伝わっていると思いました。
最後の展覧会のために制作したこの大作は、じっくりと見入ってしまいました。写真では質感や大きさが伝わりませんが、生と死の間で揺れながら精力的に活動していた様子がとても伝わる作品でした。
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ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
家族で月イチで美術展に行くことを「2024年のやりたい10のこと」のひとつに挙げました。部活や習い事で家族がそろう休日も少なくなりましたが、半日でも予定が合えば勢いで出かけるようにしています。
こうして、noteであらためて鑑賞を振り返ると、作品や作者について深く理解することができ、とても楽しいです。
次はどの美術展に行こうか、こちらの雑誌を眺めて考えています。
ヘリングは、ユニクロのTシャツにもありますね。