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何でもこなせると、何者にもなれない

自分は比較的何でも卒なくできる方だと思う。

選手育成系のゲーム(パワプロ君とか)で言うところの、1つや2つ「B」や「D」はあるにしても限りなく「オールC」に近い、そんな選手だ。

経験のないことでも、少しのインプットでそこそこできる。

ただ、“そこそこ”しかできない。

よく言えば、バランスの取れているタイプであり、かっこ良く言えばジェネラリストだが、何かに秀でているわけではなく、スペシャリストと言うには程遠い。


昔から、何でもそこそこできていた。

高校も大学も偏差値60程度の学校へ進学できるほどの学力があり、県大会で数回勝てるほどのスポーツの才能があり、人間関係で困ったこともない。

社会人と呼ばれるようになってからも、1つの職種に留まらず、クリエイティビティが求められる職種から、泥臭く足で稼ぐような職種まで幅広く経験した。

どんな職種も卒なく、大きな問題を起こすこともなくできていたと思う。

いや、「卒なくできていた」というより「卒なくこなせていた」と表現する方が正しいかもしれない。

結局、どんな職種でも期待されていた成果を出すことはできなかった。

成果を出せた状態が100とするなら、65くらい。

もちろん、自分以外の人間だったら50にも満たない成果だったところを、自分が関わったことで65にできた可能性もある。

けれど、いわゆるスペシャリストと呼ばれる人以上の成果はきっと出せていないだろう。

それだけの成果が出せるスキルやセンス、のめり込める集中力や好奇心、全てがそこそこだったから。

さらに、自分で言うのはおこがましいけれど、何でも卒なくできる人の使いどころは難しい(と思っている)。

冒頭のパワプロ君を例に挙げると、育成が進み選手層が厚くなってくると、パワーに特化した選手、走力に特化した選手と、それぞれ秀でた強みを持つ選手のバラエティに富んでくる。

そうなると、1番バッターに起用する選手は、オールCの選手よりも「パワーはFだが走力はA」の選手を起用する可能性が高くなり、オールCの選手の使いどころは、弱点の穴埋めになるだろう。

しかし、その弱点を埋める選手をまた育成・獲得できれば、オールCの選手はスタメンから外れてしまうかもしれない(この例では、能力しか考慮していなく、実際は実績や人望も考慮されると思うが)。

何でも卒なくできる人は組織やプロジェクトの黎明期には重宝されるけれど、拡大に伴いチームが細分化していくと、スペシャリストと呼ばれる人たちが増え、肩身が狭くなってくる。

もちろん、そのような負の面だけでなく、何でも卒なくできる人が先陣を切って最低限の形を作ったからこそ、後に続くことができるのだ、という考え方もできる。

現時点では、何でも卒なくできる人の生存戦略はこれかなと、自分は思っている。

誰もがやりたがらないこと・経験者がいないこと、先陣を切ってこれらに取り組み、まず形にする。そしてスペシャリスト、その道に秀でた人に引き継いでいく。

要するに、何かに秀でようとするのではなく、何でも卒なくできる領域やその質を大きくしようということだ。何でも卒なくできることも、一つの能力に過ぎない。

何でも卒なくできる人は、その器用さを羨ましがられる。

ただ、器用貧乏とも言えるその性質は、時として自分自身を苦しめる。

この先どんなキャリアを歩んでいこうか、今いるチームの中でどのようにバリューを発揮できるのだろうか、この先も自分の居場所はあるのだろうか。

そのような葛藤を抱えながら、何かに秀でた人間を羨ましく、妬ましく思う。

そしてこう思うのだ。

何でも卒なくできるということは、何もできないのと同じなのだ、と。

普段noteでは、プロフィールにも書いている通り、フィクションとノンフィクションを織り交ぜながら人生のあらゆる葛藤について書いている。

たいてい、葛藤する誰か一人を思い浮かべながら、その人にできるだけ寄り添おうと書いているけれど、今回は“ぼく自身”の思うところについて書いてみた。

決して自己嫌悪や自己否定ではなく、何でも卒なくできる故の葛藤を自覚したうえで、前に進むためにはどうすればいいかを前向きに考えたい、とのメッセージ性を込めている。

ちなみに、最近の自分自身はというと、公私ともにできる限り何でもやってみるようにしている。

「あいつって結局何の人かよく分からないよね」と言われるのがオチかもしれないが、何の人かよく分からないというラベルを貼られることも、ある意味「何者かになれた」ということだと思う。

自分は、生存戦略を語れるほどの経験も知名度も人望もない。

それに、「卒なくできる」の基準も人それぞれだから、何でも卒なくできることで悩んでいる人は、もしかしたら自分だけかもしれない。

それもこれも記事を公開してみないと分からないので、ずっと非公開にしていたこの記事を公開することにした。

もし、何でも卒なくできる人がこの記事を読んでいたら、コメントやスキで知らせてくれると嬉しいです。

あなたの生存戦略を、ぜひ聞かせてください。

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おがたのよはく
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