読書録:起業家(藤田晋)
主張を一言で:起業家とは自社のサービスや未来に対して「熱狂」する人のことである。
評価(1~5):3
おすすめする人:ベンチャーで働く人。
<要約メモ>
本書はサーバーエージェントの上場後、社長の藤田氏が経験した出来事や苦悩が日記帳で赤裸々に書かれている。
物語は藤田氏が、サイバーエージェントを買収されそうになる局面から始まる。サイバーエージェントの買収騒動の後に、敵対関係にあった村上氏・usenの宇野氏・GMOの熊谷氏などが集結した和解会があった。当時の藤田氏は経営用語もさほどわからず苦汁をなめたそう。
サイバーは「メディアの会社」として上場したものの、利益の大半が広告代理店事業。営業利益率も5%と低く、目標とする営業利益率10%を目指すにはメディア事業を成功させなければならなかった。
200億円以上資金があり人材もいる中でメディアがなかなか成功しなかった理由は、
・社長が長期のビジョンに自信がなかったこと
・サイトの価値を見抜ける人がいなかったこと
・採用の前面に集客力の高いメディア事業を出していたこと
・オフィスをわけてしまったこと
当時重視していたことは、終身雇用を約束し社員を大切にすること。
社内の活性化。派手な表彰や名前付きバルーン、飲み会+翌日の半休など。
福利厚生。新規で採用するより長く働いてもらえる方が安上がり
買収はせず一から育てる。社内の競争力が高まる
・一年半で黒字化しなければ撤退
・赤字の下限を決める
新規事業を常にうち続けるが、自分で試しに書いてみたブログでブログ事業の規模をする(匿名で書き時始めたブログがすぐにdaily5万アクセスされる)。事業で使っていた「アメーバ」ブランドを使ってアメーバブログを立ち上げる。
親しく親交していたライブドアの堀江氏の逮捕。CAと同じくメディア事業を重視しておりメディアの知名度を大切さを痛感していた同志だった。(当時二人で立ち上げたメディアはyahooの知名度の前にあっけなく負けてしまった。)フジテレビ買収騒動や衆議院選出馬などで知名度をあげて行った堀江氏はマスコミのかっこうの的になり家宅捜査・逮捕をへて叩かれることになる。その影響を受けIT業界の株価が低迷。当時藤田氏は「今後5年はベンチャーが日の目を見ることはない」と語っている。
「サイバーはアメーバしかやらなければいい会社なのに」と揶揄されるほど期待されていなかったが、経営陣だけがアメーバの心中を決めていた。当時の本部長を全員更迭し自分が事業責任者となり「2年間で目標達成ができなければ自分も会社をやめる」と宣言してアメーバに注力する。株主総会でもアメーバ以外の部門の質問に関しては「自分はアメーバに専念してるのでわかりません」と語っていた。アメブロを使いこみ利益度外視でひたすらにユーザーにとっていいブログを作成して行った。芸能人ブログの開設も金銭による起用ではなくコメントを監視し悪評を削除するサポートにより起用した。結果100億PVを達成し株主や社員がもっとも注目する根幹事業となった。