「パラサイト 半地下の家族」エンタテインメントだけでも一級品

アカデミー賞も受賞して記事も山のように書かれているのでやや出遅れた感あり、純粋に感想だけ書いておきます。

個人的に社会格差を描いた系統の作品あまり好きではなく、どんな立場でも主役は活躍してスカッとさせて欲しい、と思っているわけですが、そういう点でこの「パラサイト」は話が進んでいくと落ちぶれていた有能な一家がチャンスを掴み、それぞれが活きいきと活躍していくという点で非常に良かった。爽快なコンゲームものとして秀逸で、韓国の受験事情なども垣間見られて面白い。

これが中盤あたりで急に話の展開が変わり、底辺家族の対決、みたいな様相になっていく。つまり金持ちの家族に寄生するのはどちらか、という対決になっていくわけです。寄生生活は永久に続かないのは明らかなので、どこかでボロが出るのか、宿主の方が崩壊するのか、それともウルトラCで両方うまいこと幸せになってしまうのか? みたいなことを考えてみていたら見事に裏切られました。これは想像しなかった。そこからはもう泥沼対決で、宿主と底辺二家族がもつれあいながら崩壊していくわけです。この構図が出来てからはそんなに意外性はなくなし崩し的に収束していく。この収束の仕方については若干不満で、やや安直ではないかという感想。しかしそれまでに積み上げてきたものを一気に壊す、というところが重要で手段はもう様式美ということで良いのかな、と思わないでもない。

タイトルにも書いたが、この映画の好きなところはエンタテインメントとして面白く作ってくれているところ。主人公家族の関係やとんとん拍子にうまくいく店舗の良さ、有能な人間が活躍する楽しさ、そういうところ。映画のエンタテイメントとしての力をとてもうまく使った、アカデミー賞よりも何よりも、このテーマの映画を世界中の多くの人に楽しめるように作った、というところが何よりすごい。

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