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私は変態ではないが、アニメの小さいコドモには目がない

ようやく「ドラゴンボールDAIMA」をちゃんと見ました。
あまり世間の評判はよくないみたいだけど、私は嫌いじゃないわ。
あまりにも強くなりすぎた悟空たちに対し、この作品では主役級キャラを皆コドモ化させ、一旦強さのリセットを図ったわけだね。

うむ、これまでずっと止められなかった強さのインフレに、設定で歯止めをかけたということか。
・・そりゃ、視聴者に評判悪いのも致し方ないかも。
だって、主人公が弱体化したんだから。
でも、こういう形の「原点回帰」は悪くないと思うよ。
故・鳥山明先生のクレジットには「ストーリー原案」と表記されてるところを見るに、あるいはこれ、鳥山先生のアイデア?

いやいや、こうして皆小さくなって、かわいくなったのは嬉しいことじゃないか!


やっぱ、鳥山先生のデザインは「Dr.スランプ」や「SAND LAND」にしてもそうだが、主人公は小さくてナンボ。
悟空は如意棒を持ってこそナンボ。
もともと先生は「かわいいコドモ」を描くのが異様に巧い人だし、かつての「ドラゴンボールZ」で悟空が7頭身になってるの見て、少しモッタイナイとは思ってたのよ。
ようは、<バトル>か、<アドベンチャー>か、という選択だね。

正直、<バトル>なら7頭身のオトナの方が表現に適してるさ。
そりゃ体の部位の可動域が大きくなり、戦闘に迫力を出せるから。
でも、<アドベンチャー>でいくなら、むしろコドモだよ。
昔から冒険というものは、コドモたちの土俵である。
確か「ドラゴンボール」も、最初は<アドベンチャー>だったんだよね。

初期「ドラゴンボール」

だけど、この頃の「ドラゴンボール」は、ジャンプの読者アンケートで上位に届いてなかったそうだ。
よって「ジュブナイル」「ボーイミーツガール」「ロードムービー」路線を廃止、思い切って<バトル>路線に切り替えた途端、読者アンケートで1位独走状態になったという。

しかし鳥山先生の本音は、ずっと<アドベンチャー>の方をやりたかったんじゃないかなぁ?
「ジュブナイル」「ロードムービー」的なやつ。
「SAND LAND」見てて、何となくそんな気がしたわ。

「ドラゴンボールDAIMA」ヒロイン・パンジ(cvファイルーズあい)

そして、「ボーイミーツガール」ね。
今回、ちゃんとヒロインが設定されてたのは嬉しかった。
<バトル>路線に変更して以降、ブルマの存在感がどんどん薄れていったのは正直不満でしたよ。
初期ヒロインのブルマ、めっちゃイイ感じだったのに・・。
でも今回のパンジというヒロイン、どこか「初期ブルマ」を彷彿とさせる子で、なんかすごくイイわ。
「DAIMA」、個人的にすごく好きなタイプの物語設定である。

とはいえ、かつてのジャンプ読者アンケートが証明してるように、この物語のカタチを既存ファンはあまり好まないだろう。
チンタラ旅するのはもういいから、もっとバトルやれ、と。
・・多分、制作側は今回そういう層を切り捨てるつもりだと思うよ?
狙いは新規層獲得で、おそらくは「ポケモン」を好むような層を拾っていくつもりなんじゃないか、と。
だからこその、主人公コドモ化なんですよ。
多分、そのうち既存ファンも「・・あ、我々に向けたものじゃないんだ」とさすがに気付くだろうし、いずれ文句いう人もいなくなるだろうけど。

「名探偵コナン」

言ってみりゃ、「DAIMA」のやってることは「名探偵コナン」と同じ。
もし、「コナン」で工藤新一がコドモ化せず、高校生探偵のままでやってたら、ここまでのヒット作にはなってなかっただろう。
それほどに、コドモというのは最大級の金脈さ。
大体、女子高生ヒロインの毛利蘭より、コドモ化した灰原哀の方が人気あるじゃないか。
やっぱ、キャラとして7頭身より3頭身の方がカワイイ。

思えば、昔は「アニメの主人公はコドモ」がお約束だったのよ。
世界名作劇場」とかね。
それが、一体いつの頃からのことだろう。
いまや中学生、もしくは高校生といったところが、すっかり主人公の中軸になってしまっている。
「小学生ヒロイン」が絶対だった魔法少女モノですら、今では平気で中学生という設定にしてるし・・。
私の認識では「オンナノコは初潮を迎えると魔力を失う」というのがセカイの摂理だったというのに、もう最近は何でもありになってるっぽいな。

やっぱ、魔法を使うオンナノコの頭身はこのぐらいがベストバランスだと思う

ただ、傾向としては面白いもんで、「小学生ヒロイン」の減少に伴って、逆に「高校生(中学生)なのに小学生にしか見えないキャラ」、俗にいうロリキャラというやつが台頭することになってきたわけだ。
何だよ、みんな結局コドモ大好きじゃん?

そういや、私は最近「機動戦士ガンダム」の劇場版を久しぶりに見たんだけど、そこでやはり目についたのがこの子たちですよ↓↓

ホワイトベースのマスコット的存在、カツ・レツ・キッカ

あの硬派な富野由悠季&安彦良和ですら、ちゃんとこういうキャラの重要性を分かってたんだね。
特に安彦さんが作ったキッカのキャラデザの秀逸さは、後世にも大きな影響を与えたと思うよ。

キッカのオマージュと思われるアニメキャラの数々

そして何より、コドモを描かせたら無双なのが巨匠・宮崎駿である!

ホント、巨匠の描くコドモはカワイイ!
私、「ポニョ」とか見てるだけで、ごはん3杯おかわりできますね。

さて、やたら前置きが長くなってしまったが、今回ご紹介したい作品はコレです↓↓

劇場版「若おかみは小学生!」(2018年)

監督・高坂希太郎

まぁ、名作中の名作だから知らん人の方が少ないだろうが、ポイントは監督の高坂希太郎さんである。
彼は元ジブリの人で

・もののけ姫
・千と千尋の神隠し
・ハウルの動く城
・風立ちぬ

といった数々の宮崎作品で作画監督を務めてきた人物である。
基本、宮崎駿は作監の複数体制をとるんだが、「風立ちぬ」では高坂さんの単独作監体制をとっており、つまり相当信頼されていたんだろう。
それだけに、巨匠の偏執的な小児性愛を正統に受け継いだ巨匠のコドモをかわいらしく描くという熱い情熱を正統に受け継いだアニメーターといっていいのかと。
その高坂さんが「若おかみは小学生!」ですから、こりゃもう正統なコドモLOVE映画ですよ。

・・ただねぇ、新米女将の奮闘記というやつは、これの何年か前に「花咲くいろは」で既にやられちゃってるんだよね。
あと付け加えると、この映画と同時期にTVアニメ「若おかみは小学生!」をやっていて、これをTVアニメの総集編だと勘違いしてスルーした人は絶対に多かったと思う。

TVアニメ版「若おかみは小学生!」(2018年)

実際、TVアニメの放送期間中に映画が公開されるという完全なバッティング状態だったんだ。
制作は両方ともマッドハウスだし、TVアニメと劇場版が全くの別物だと認識してる人の方が少なかっただろう。
どうやら企画段階でゴタゴタしてしまって、たまたまこういうことになってしまったらしく、決してマッドハウスも狙ってやったわけではない感じだけど。
ただ、構図としては

劇場版/脚本・吉田玲子
vs
TV版/脚本・横手美智子


というシャレにならないオンナの対決になっちゃったみたいで・・(笑)。
で、結論をいうと、これがもう圧倒的に劇場版の方のクオリティが上なんですよ。
・・あ、決して横手さんの脚本の問題じゃないからね?
これはもう、純粋に劇場版の監督・高坂さんの手腕を誉めるべきだろう。
というか、劇場版の方を見て泣かない人間なんておらんって・・。

もうねぇ、画の作り方からして「さすがはジブリ仕込み!」と感服せざるを得ない。
「良いアニメ」と「普通のアニメ」の違いというものは、やはり同じ原作のアニメを見比べてみてこそ、はっきりした形で見えてくるもんだよ。
私がお薦めしたいのはあくまで劇場版の方だけど、でも時間的余裕があるという人には<TVアニメ版⇒劇場版>という順序で見ることをお薦めしたい。
TVアニメの方も1話10分だし、さほど見るのに負担にはならないはず。
で、演出の違い等をひとつひとつチェックしてみてほしい。
良いアニメとは何か?」を学ぶのに、これほど優れた教材もないだろう。

そういや、あの新海誠がこの映画を評してこういう発言をしてるんだわ。

「巧みで自然な演出で、幾度も笑わされ、何度か泣かされた。
アニメーションとしても技術的に見所だらけで、物語としても素敵だった。
    

まだ終わってほしくない、もっとこの主人公を見ていたいと思った」

新海誠

「まだ終わってほしくない、もっとこの主人公を見ていたい」

・・なるほど、

やっぱりあなたも、かなりのコドモ好きですね?


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