一年前は見れなかったドラマ「きのう何食べた?」をやっと見れた話
最近「きのう何食べた?」のドラマを見終えました。ドラマ自体の魅力もさることながら、一話一話の尺も短めでテンポよく見れるのもあって、正月スペシャル版までほぼノンストップの一気見。
このドラマの面白さはもう既にたくさんの方がご存知だと思いますし、今更僕なんかの感想を語るのもなんだかな〜と言う感じですので、今回はこのドラマにまつわる僕のちょっとした思い出を語らせていただけたらなと、思います。
一年前の僕は見れなかった。
冒頭で見終えましたとは言いましたが、正しくは"やっと見終えれた"という表現の方が正しいかもしれません。実は僕、以前このドラマは一度途中まで見ていたんですが、3話を後に見るのをやめてしまったんです。
こんなに面白いドラマなのに、それは何故かーーー面白くなかったから?忙しくなって時間がなくなったから?
いいえ。ドラマ自体は本当に面白くてすぐにでも続きを見たいくらい好みだったし、ドラマを見る時間もないくらい忙しくなったことなんて人生で数える程しかありません。
自身がゲイということもあって(?)「監督はここ力入れてんだろな〜」ってこだわりの表現を感じられるのが楽しかったし、特に賢二役の内野聖陽さんの細かい役作りには感心をも超えてもはや恐怖を感じてしまってましたし、3話だけでもどハマりしていたくらい…面白くなくなんてないし、たとえ時間がなかったとしても時間を作ってでも見たくなるような、僕にとってはそんなドラマで、
じゃあ何で?……そう、ドラマを見始めた時、僕は、ガンを宣告されて間もなかった頃なんです。
ガンを意識してしまう物は、少しでも近づけたくなかった
このドラマを見始めた時、僕は入院をしていました。しかもその病室は、他の病棟から隔離されたところにあった。そして、看護師さんは防護服を着ていた。そう、一年前の9月…僕はガンを宣告されたと同時に今大流行しているウイルス検査の陽性をも発覚してしまい、ガンに対する不安で混乱しまくっていた最中に、別の病気で入院するハメになってしまったのです。
ガンを宣告されたと同時にコ/ロ/ナ陽性?と驚く方もいらっしゃるかもしれませんが、この話は結構長くなりますので…YouTubeで語っている動画を見てもらえると嬉しいです↓
さて、宣伝はさておき本題へ戻ります。笑
そんな2つの病に侵されてしまって死の恐怖をも感じながらも、いつ終わるのか分からない入院生活のために、僕は入院準備として数々のドラマや映画をダウンロードしておきました。(今思うとそういうことを考えられるくらいの余裕はあったんだなと、自分で自分に突っ込みたくなります)
それらの中のひとつが、つい最近見終えたドラマ「きのう何食べた?」だったんです。ドラマの雰囲気もほのぼのとしてそうだし、前からパートナーにもオススメされていたことを思い出したのもあり、何気なく見始めたらこりゃ面白いぞと。1話を見終えた後すぐに2話、3話と見続けました。
しかし3話のラスト、とあるシーンがやってきた瞬間に「あ、だめだ見れない。」と思い。それ以降、しばらくは意図的に見るのをやめてしまっていました。(確か3話のラストシーンだったと記憶してるんですが間違えてたらすみません)
それは主人公のひとりである史朗の父親に、ガンが見つかったと判明するシーンでした。もしかすると健康な方にはなんてことない、少し心を痛めて流せるような何気ないシーンだったかもしれません。
それでも当時の僕は初めて経験する大きな病と、世界中を混乱させている未知の病に心が参ってしまい、少しでもガンを、そして死を連想させるものを近づけることができない状態だったんです。
そんな僕が今こうやって、あの時遠ざけていたものをなんの引っかかりもなく、ほぼノンストップで一気見することができている。たったのワンシーンで見ることを拒絶した同じ作品なのに、今では声をあげて大笑いしながら見終えることができた。
ドラマ「きのう何食べた?」を見終えた後、ドラマの面白さに対する満足感と同時に、そんな一年前と今との違いに感慨深くしみじみとしてしまいました。僕が目を逸らしてしまったあのシーンも、恐らくガンを宣告される前の僕だったら普通にスルーしていたでしょう。
他の人にとっては何気ないことだとしても、苦難を乗り越え違った視点からその表現を楽しめるようになったことは、僕にとって自分の成長を感じられる出来事だったのでこうやって記録として書かせていただきました。
余談ですが、このドラマをパートナーと一緒に穏やかな気持ちで見られるこの時間が、とても幸せだなぁとも思います。シロさんと賢二の他の物語も気になるから漫画も読もうかな。映画も絶対見に行きます!楽しみ!
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