『聖闘士星矢 TIME ODYSSEY』インプレッション2 & 『聖闘士星矢 海皇再起 RERISE OF POSEIDON』
チャンピオンRED 2022年11月も聖闘士星矢で盛りだくさんだったので新作2本のまとめです。
ネタバレがある箇所は今回も見出しに記載します。
それにしてもチャンピオンREDもいつのまにか20周年なんですね。
石川賢先生の『真説魔獣戦線』が載っていた最初のころが懐かしいです。
『聖闘士星矢 TIME ODYSSEY Vol.1 後編』
前回の記事はこちら。
前編もそうでしたが、なぜかフランスでの発売予定しか記載されていないうえにKindle版には付属していません。
◯◯◯◯◯◯◯◯◯配下の闘士について ※軽いネタバレあり
時の支配者クロノス配下の闘士について
闘士としての名称はなし
纏っているのは時空衣
階級は時刻に対応した、時 - 分 - 秒の三階級
Vol.1 後編には以下のセリフがあります。
ラケシスが時空衣のことを聖衣と言っていますが、これは彼女たちが聖衣を纏った聖闘士の一種というわけではなく、便宜的に身に纏うものの総称を聖衣としているのだと思います。
聖衣について原作では"鎧"や"プロテクター"といった表現がされておらず、聖闘士・海闘士・冥闘士に対する闘士のような総称が、聖衣・鱗衣・冥衣等には存在しないためでしょう。
Vol.1 前編を読んだ時点では、敵闘士の名前が"CHRONOSS"で纏っているのが"AURA"かなと思っていたのですが、前者は外れ、後者は当たりでした。
前編では巻末の分解装着図に"CHRONOSS HOURS"、"CHRONOSS LEPTAS"、"CHRONOSS STIGMAS"と表記があったので、CHRONOSSが闘士の名称かと思っていました。
後編の巻末には聖衣分解装着図が載っていて"ATHENAS BRONZE SAINT"と"勢力 階級 闘士"の順の表記形式になっていました。
この形式を念頭にCHRONOSS側の表記を見ると、SAINTに類する闘士の表記がないのでやはり闘士名は特にないようです。
また、“12人の最強の闘士が纏う”と言っていますが、分解装着図ではLEPTASとSTIGMAにもAURAの記載があるので時の闘士12人以外が纏うのも時空衣になるようです。
ちなみに日本人が『スティグマ』と聞くと“聖痕”を想像して「何故にスティグマで秒針?」となりますが、どうやら元来の"στίγμα"はギリシア語で奴隷や犯罪者につけた“印”や“刺青”を意味し、スティグマは“針・刺す”といった意味に関連があるようです。
謎の聖闘士・ギルティーの正体 ※軽いネタバレあり
一輝の師匠・ギルティーです。
原作だとただ「憎め!」と憎悪を煽ってくるだけのお面の人で、コスモスペシャルでは暗黒聖闘士をデスクィーン島に封印する代々の役目があるとされていました。
TIME ODYSSEYではギルティーの正体は聖闘士の座を捨てた男・ジョルジュとなっています。
ジョルジュはむしろ正義の側の聖闘士として教皇(に扮するサガ)と対峙するのですが、クロノスの指示を受けたサガに囚えられ、デスマスクに拷問されたうえで幻朧魔皇拳で洗脳されて面を被せられてしまいます。
サガの背後にクロノスがいたという設定はエピソードGでもありましたね。
元々これは車田先生が「もしかしたら背後に他の神がいてサガをそそのかしたのかも…」と語っていたアイディアで、その後、原作では運命を司る神ケールの仕業とされました。
その辺りを踏まえつつ、ギルティーが教皇に洗脳されてしまったTVシリーズのエピソードを発展させて絡めているのが上手いですね。
デスマスクが登場したのは面繋がりでしょうか。
ジョルジュについては他に、顔に不死鳥の痣があること、過去に憎しみの心で鳳凰星座の聖衣を纏った者が悲劇を起こしたと語っていること、一輝に“鳳凰白熱羽”という技を伝授した(一輝は憎むべき師の技として封印していた)こと等が描かれています。
TIME ODYSSEYの設定ではギルティーは先代フェニックス自身、あるいは先代フェニックスも鍛えた師匠となのかもしれませんね。
聖闘士の仮面師
シャイナさん達、女子聖闘士の仮面やギルティーの仮面を作った仮面師として、白銀聖闘士・彫刻座のロディンが登場します(聖衣未登場)。
※現代の星座には彫刻具座と彫刻室座はありますが彫刻座はありません。
鳳凰星座の聖衣の秘めた特別な力“◯◯◯◯◯◯◯◯” ※ネタバレあり
時の闘士・モイラ三姉妹に一度は粉々に砕かれた鳳凰星座の聖衣が発現させた力、それが“アシミレーション”です。
一輝がモイラ三姉妹に引きずり込まれたのは、夢と運命が交錯し、過去と現在と未来が絡み合うという“エレボスの地”でした。
エレボスは時が存在しない空間のために聖衣は生気を失って灰色に変色し、時空衣を纏う者以外は制約を受けることになります。
追い詰められた一輝でしたが、青い炎から鳳凰星座の聖衣が蘇るとモイラ三姉妹を圧倒します。
何でも同化することができるなら無限に強くなれるじゃん、となるところですが「アシミレーションは一時的なもの」と明言されています。
察するに、アシミレーションというのは自己修復に続く第二の能力というよりは、時に自己修復とともに装着者や周囲の影響で新生する鳳凰星座の聖衣が、聖衣として正統ではない要素を受けて新生することなのでしょう。
実際、通常は聖衣が新生すると曲線化・鋭角化する傾向にあるところを、アシミレーションした鳳凰星座の聖衣は初期聖衣からアンバランスな変形をしています。
ベースカラーは(生気を失った)灰色のまま
各パーツに青いライン(小宇宙の燃焼で赤く発光)
肩・ベルト(バックル部分)は初期聖衣と新生聖衣の中間的な形状
頭・腕・脚・ベルト(サイド部分)は最終聖衣に近い形状
胸は初期聖衣をさらに平坦にして横にスリットを入れたような形状
尾羽根は4本(最終聖衣・神聖衣は3本)
分解装着図では、青銅聖衣の初期版が"TYPE1"、新生した天馬星座と龍星座が"TYPE2" "REGENERATED"と表記されているところを、アシミレーションした鳳凰星座は"TYPE UNKNOWN"となっています。
◯◯◯◯◯◯◯◯◯の野望 ※ネタバレあり
前編では「一輝ハーデスが聖戦に勝利して地上と天界を闇で閉ざす未来を阻止し、その功績をもってオリンポス十二神入りする」という時の支配者クロノスの野望が語られました。
後編では一輝抹殺のために実行された具体的な計画が明かされます。
クロノスが一輝の運命に干渉したのは2回。
一輝をデスクィーン島に送り込むために瞬の運命を変えた
一輝を星矢たちに倒させるために、ギルティーの運命を変えて一輝を憎しみで鍛えさせた
(おそらくは)ハーデスとしての運命が強すぎて星矢たちと戦うことは変えられないので、それ以外の出来事に干渉して一輝を抹殺するというのがクロノスの計画でした。
その計画を超えて星矢たちの味方として蘇り、エレボスの地でモイラ三姉妹を倒した一輝ですが、“オリハルコンの糸”によってついに運命を改変されてしまいます。
オリハルコンの糸はクロノスが鍛冶の神ヘパイストスから譲り受けた神器で、人間の過去の特定の瞬間を変える事ができる力を持っています。
その力で“ハーデスの肉体に選ばれた”という瞬間を瞬の過去に変えることで、現在と未来は(原作と同じ流れに)再構築され、ハーデス一輝によるグレイテストエクリップスはなくなりました。
ところがゼウスは言いがかりをつけて、クロノスがオリンポス十二神入りするという約束は反故になってしまいます。
これに激怒したクロノスはオリンポス十二神を讃えるのを止め、究極兵器“アポカリプス時計”を完成させて神々を打ち砕くという、新たな野望の実現に向けて動き始めます。
ローカライズがイマイチでなんだかMagic: The Gatheringのアーティファクトみたいなネーミングのアポカリプス時計ですが、無難に訳せば“終末の時計”といったところでしょうか。
アポカリプス時計の文字盤はモイラ三姉妹に対応するⅠ、Ⅴ、Ⅺが赤くなっているので、完成には時の闘士12人の死が必要と予想しています。
『聖闘士星矢 海皇再起 RERISE OF POSEIDON』
作品概要
作者は須田綱鑑先生。
絵柄は原作から身長を縮めて顔を丸くした感じ。
やり取りや演出は原作を意識したものになっていますが、移動シーン等、ところどころアニメ風になっている部分もあります。
時系列はハーデス編後
より正確にはハーデス編とNEXT DIMENSIONの間の、アテナや星矢たちが地上に帰還する前の話になります。
主役はポセイドン軍 ※軽いネタバレあり
作品タイトルのとおり、主役は海王ポセイドンと配下の海闘士です。
とはいえハーデス編の時点で生存している海闘士は海魔女のソレントのみ。
構成としては、異変を探りにきたシャイナ&貴鬼に、同じく異変を探りにきたソレントが合流し、さらに弱体化したハーデスによって封印を解かれたポセイドンと、同じくハーデスに新たな生命を与えられた七将軍の残り六名が合流する形となります。
ハーデスが蘇らせた六名は、もちろん冥衣を纏っての参戦。
これは絶対に聖闘士聖衣神話で発売されるやつ。
でもカノンが海竜の冥衣を纏っているのは、正直かなり燃える展開です。
敵は◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯ ※ネタバレあり
敵は義憤と神罰を司る神ネメシス。
翼の生えた女神です。
本拠地はギリシアのアッティカ半島北部ラムヌス遺跡に紀元前に存在したというネメシスの聖域。
現代に目覚めた理由は、三柱(タナトス、ヒュプノス、ハーデス)もの神を殺めるという大罪を犯した人間に対して神罰を執行するため。
ネメシスの神罰は、世界各地に隕石を落とし(ここの演出がポセイドン編の水害風)、最後はネメシスの分身・小惑星アドラステアを地球に接近させ、砕いた破片を降り注がせて地上を消滅させるというもの。
ネメシスの配下は数名が確認されているものの、その中の一名の名前がカドモスであること以外、神なのか闘士なのか、何を纏っているかも不明です。
ただ、アドラステア接近のタイムリミットまで十時間なので十名の配下が揃っていると予想されます。
また、ネメシス軍の雑兵として武器を持った骸骨姿の竜牙兵が登場します。
竜牙兵はファンタジーによく登場するモンスターですが、出典はギリシア神話の『アルゴ号の冒険』です。
海皇再起もなかなか面白そうで、チャンピオンREDの聖闘士星矢スピンオフはいい作品が揃いましたね。
できれば東映アニメーションも黄金聖闘士の立ち絵を12枚出して豪華イラスト扱いするだけでなく、何か気合の入った企画をしてほしいです。
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