
最近見た映画の感想 2021.08-11
ツイートまとめ+補足。ネタバレなしめ。
イチオシは『アイの歌声を聴かせて』です。映画としてもAI題材としてもいい出来でした。
アイの歌声を聴かせて
オリジナルアニメ映画。
TLでかなり名前が流れてくるようになったので見に行ってきました。
少女型のAI搭載ロボットが高校に転校してきて、コミュニケーションに問題を抱えた主人公とその周囲にトラブルを巻き起こしやがて大事件に……?と書くと、はいはいよくあるオリジナルのアニメ映画ねって感じがしますが、事前に想像してたよりAIが題材としてしっかり描写されていて満足度が高かったです。
『アイの歌声を聴かせて』の9.1ch版が今日までなので見てきた。
— よごくす (@yogox) November 18, 2021
序盤ちょっと乗り切れないけど中盤の舞踏会から盛り上がってよかったなあ。「序盤の要素でパズルして展開予想したいならどうぞ?」とばかりにアニメで殴りかかってくるスタイルだった。
序盤はそれこそよくある学生主人公のアニメ映画みたいでちょっと盛り上がりに欠ける感じなのですがそれだけでもなく。
なぜ『アイの歌声を聴かせて』の序盤が乗り切れないかといえば、みんな感情がネガティブだしシオンがトラブルを引き起こしてばかりだからというだけでなく。
— よごくす (@yogox) November 18, 2021
シオンをAI少女によくある平坦クールとか無垢で天真爛漫でなく、演技にちょっと不気味の谷を設定してるのも大きい。
デザイン的にも、AI少女ってアニメでも実写でもわかりやすく美少女なことが多いのですが、シオンは微妙に美少女から外れてる感じがしました。
あとはシオンの行動が一々、「なんで歌?」みたいな感じで入力と出力の間が理解不能なブラックボックスぽく見えるのがなかなかにAIの描写らしい。
— よごくす (@yogox) November 18, 2021
そこら辺の乗り切れない序盤が後々にキッチリ回収されていて、映画の脚本としてよい構成だった。
このAI特有の気持ち悪さが『アイの歌声を聴かせて』の肝ですね。
多分、シオンってストーリーを通じて特に性質が変化してないんですよね。ずっと気持ち悪い行動を取っているまま。
よくあるAIと言いつつ演算が超速くて痛覚がないだけの異種族が主人公との交流を通じて心を獲得し…みたいな展開には全然ならない。
では主人公(と観客)にシオンがなぜ気持ち悪く見えなくなっていくかといえば物語が付与されたから。
我々がAIの側に歩み寄って人間に近いものとして見るようになったわけです。
加えて、シオンの成り立ちに触れることで、どういう入力データから学習してそのような行動を出力するようになったのかを感覚的に理解したから。
逆に主人公達と敵対することになる人々は(もちろん利害の不一致もありますが)物語や入力を共有してないからシオン=AIが不気味な存在に見えている。
これはAIに対してなかなかリアルな捉え方だと思いました。
自動運転なんかも将来、本格的に運用しようと思ったらどういうデータを使用して学習させたかみたいなエヴィデンスを明示しないと納得しない人達は一定数いるのではないかと思います。
脚本の大河内一楼さんは、ルパン三世 PART5でもハッキング・SNS・AIといったIT要素を上手く作品に落とし込んでルパン三世をアップデートしていたので、アニメ脚本にしゃしゃり出てくる下手なSF作家の先生なんぞよりよっぽど技術に対するリサーチがしっかりしているのかもしれません。
この序盤の乗れなさ・気持ち悪さが中盤以降一気にひっくり返っていく構成は多分TVシリーズでは難しくて、映画ならではの構成に感じました。
それ以外だと始まりと終わりの構成もかなり映画っぽいですね。
最近はTVシリーズの延長戦やスペシャル版のような劇場版アニメが多い中で、しっかりアニメ映画している作品でした。
興味がある人は映画館で見ることをおすすめします。
DUNE/デューン 砂の惑星 (Dune: Part One)
逆にDUNEはある意味では映画らしくない作品でしたね。
予告編で「これ絶対見る!!」って決めて楽しみにしていた作品だったのですが。
DUNEは予告編を見た時の「これSWの新作スピンオフかなめっちゃ雰囲気いいじゃんえっこれデューンのリメイクなの!?」みたいな盛り上がりからするとちと本編は物足りなかったね。
— よごくす (@yogox) October 21, 2021
もちろんビジュアルやサウンドは期待していた以上のクオリティで、そういう意味では映画らしい作品なのですが、やはり脚本の構成が……。
映画館でdune観てきた。
— よごくす (@yogox) October 21, 2021
主演俳優めっちゃ雰囲気あるし、ビジュアルの強度高いし、サウンドも重厚でIMAX映えしてた。これは映画館で観るべき作品。
しかし2時間35分フルにのめりこめたかと言われると前半がちょっと眠かった…。
duneがストーリー的にちょっと退屈な理由を考えてたんだけど、これゲームオブスローンズのs1と同じでpart1は導入パートに過ぎなくて後半になって話が動き出してからが本当の始まりだからの気がする。
— よごくす (@yogox) October 21, 2021
ゲームオブスローンズのシーズン1は飽きてきたら見るのやめたり他のことしながら見ればいいけど、DUNEは映画館で見たら座って見続けるしかないですからね……。
そういう意味だとスターウォーズの第一作がいきなり面白いところから入るのはかなり優れた構成だと再認識しました。
まあduneの勢力はアトレイデス家とハルコンネン家と皇帝とフレメンしかいないうえに各勢力の主要人物が少ないから、ゲームオブスローンズよりは遥かに設定を把握しやすいんだけどね。
— よごくす (@yogox) October 21, 2021
ぶっちゃけ人名は主人公の名前だけ覚えておけばいいし。
個人的にはもっとサクサクと前半を進めてくれてもよかったのにな〜と感じます。
何にせよビジュアルとサウンドは凄いので、これも映画館で見るべき作品ですね。
パート2が楽しみです。
プリンセス・プリンシパル Crown Handler 第2章
同名のTVシリーズからの続きです。
ちょっとスチームパンク入った架空の19世紀イギリスを舞台にしたスパイアクションです。
第1章も映画館で見ています。
第2章が上映中と気づいた時にはもう終了間近で、慌ててDUNEと同日に見て来ました。
女の子が可愛いし今更紹介パート等もなく、DUNEの後だったので素直に楽しめました。
『Gのレコンギスタ Ⅲ』「宇宙からの遺産」
7末に見たけど区切り的に。
同名TVシリーズの再編集版ですが、元々がロードムービー的要素を持っていることもあってかなり映画的に仕上がっていました。
『Gのレコンギスタ Ⅲ』「宇宙からの遺産」を見てきた。
— よごくす (@yogox) July 30, 2021
まるで一昔前のRPGのように行動範囲が急激に広がっていくGレコの、まさに宇宙に上がってからトワサンガを経由してビーナス・グロゥブに出発するまでの急展開が描かれていて物凄いテンポ感が楽しい。
GレコⅢはその分だけ登場する勢力も多くて、どの国も一枚岩でないうえにさっきはあいつと協力したのに今度は敵対して、おまけにみんな共同してデブリを掃除し始めたりと、Gレコの難解と言われるが所以も遺憾なく発揮されてる。
— よごくす (@yogox) July 30, 2021
でも自分はこの(エネルギーのためとはいえ)戦争してた多勢力が共同してデブリの掃除に当たる世界観はTVシリーズで見た時に明るくていいと思ったし、それがあるからGレコは難解でも楽しい作品になってると思うんだよなあ。
— よごくす (@yogox) July 30, 2021
そうやって行動範囲的にも勢力図的にも複雑なうえにベルリとアイーダのドラマまで盛り込んであるからもうとにかくこのGレコⅢは全ての密度が高い。
— よごくす (@yogox) July 30, 2021
これTVシリーズ未見の人は一回で理解できないんじゃなるまいか。
たしかストーリー的にもちょうど中盤あたりにレイハントン家のイベントを持って来ていて、その点も映画として上手く盛り上がっていた覚えがあります。
富野監督もその辺は強く意識したとインタビューで言ってたような。
でもそのレイハントン家の話をTVシリーズではちょうどこの1話だけ見逃してしまってて、次の話の冒頭あらすじを聞いて「なんかすっごい人間関係が変わってる…」と驚いた覚えがある。
— よごくす (@yogox) July 30, 2021
あらためて見れてよかった。
Gレコはとにかく勢力図が複雑なことで有名ですが、基本的に登場人物がみんな明るいので見てて重苦しい感じにはならないのがよいですね。
あとGレコも中盤になると、出たがりダメ女だった姫様は指導者として凛々しくなってくるし、ラライアはチュチュミーモードを脱するし、ダメな子二号のロックパイも出てくるし、とにかく登場人物がみんなカワイイんだよ。
— よごくす (@yogox) July 30, 2021
でも個人的にはマスクの副官のバララが見た目も性格も好き。
あとTVシリーズを五部作に再編したことで、前述の通り多勢力が入り乱れるこのGレコⅢではマスク先輩がやたらと「マスクという通り名です」と自己紹介をしまくってるのが地味にジワジワくる。
— よごくす (@yogox) July 30, 2021
本人も横で聞いてるバララも絶対めんどくなってる。
三連続で続きものの映画を見て、その後少し間が空いてしまったからそろそろ何か見たいな、というタイミングでちょうど『アイの歌声を聴かせて』の情報が入って来たのは幸運でした。 ■