独学研究のススメ(大韓民国新聞アーカイブという巨大な知の迷宮)

「대한민국 신문 아카이브(大韓民国新聞アーカイブ)」

タイトルがハングルで「???」になっていますが、その字の通り、韓国のデータベースです。

さすがはデジタル国家・韓国だけあって、力の入れようがすさまじいです。その規模の大きさ・深さは「知の迷宮」と言っても過言ではないでしょう。

戦前の新聞が中心とはいえ、日本統治下の日本人向けの新聞からハングルの新聞、地下で行われていた新聞まで数十紙をまとめてデジタルアーカイブにしてしまう点はすごい。

 日本は今なお、新聞データベースが遅々として進まず、あったとしても「一社契約」(契約金を払って一紙のデータベースを借りる)という不便性を見ると、ほぼ無料で見る事の出来る韓国新聞データベースの太っ腹さには舌を巻きます。

運営や思想の是非はどうであれ、「一堂に会して見ることができる」というのは研究においてもっとも大切な事です。一堂に会した資料を見られる事は(大系然り全集然り)余計な労力を割かずに済むからです。

もし、この世から世の中の語彙や事象をまとめた百科事典や、その人の作品や業績をまとめた全集が消えたらどうなるでしょうか。本当に簡単な語彙一つ確認するのにもすさまじい手間や労力をかける事になってしまいます。

全体像を見る事が出来るのは、「万能ではないけどもある程度の流れを把握する」という面において、力を発揮します。

このアーカイブはある意味で百科事典的な一面を持つ存在と言えるでしょう。

とにかく、そのデータの量といい、質といい、国会図書館デジタルコレクションをも凌駕するほどの一面を持っています。日本の新聞資料よりも余程手軽に調べられるのは、皮肉というより他はありません。

と、まあ散々褒めちぎりましたが、一応のデメリットはあります。そんなデメリットをあげると以下の点があります。

・国産じゃない
・韓国語で構成されている
・ダウンロードしなければならない
・時折バグる

「国産じゃない」。これは複雑な問題です。日韓問題が色々ある手前、筆者は余計な事を述べられません。下手にどちらかを攻撃しようものならたちまちこの連載は戦場と化してしまいそうです。

「主要のパソコンで入れるのには躊躇する……」っていう人は、中古のパソコンなりなんなり、うまくなんかやって下さい。
 
それでも信用できない人はやらないことを勧めます。昨今の他国の情報戦を訝しむのはまあ分からなくないのですが、そこまで嫌悪感を示すようならそもそもやらないのが得策です。
 
個人的には、便利なものは享受しておくべきと思います。対人関係なら兎も角、誰にでも使えるデータベースを下手な意地を張って研究が進まなくなるのは、アホらしいことです。

国会図書館でも一応のお墨付きとして紹介しておりますし、信頼の度合いは高いです。
 
そもそも、不祥事や何とかは我々の責任ではありません。国家や企業が悪いのです。その理屈をつけはじめると、LINEもtiktokもfacebookも使えなくなってしまいます。
 
そして、「国産じゃないものを頼らざるを得ない」状態になっているのは一にも二にも日本国家の学術的姿勢や行政・官庁・企業がクソだからです。韓国は大金を投じてプロジェクトにしたからこれだけのものを成し遂げたわけです。

日本はそれをやっていない。「国産データベース作れよ」「もっと金を注げよ。金だけやって適当なアーカイブ作んな」とデモを起こしたくなる気持ちもあります。

このアーカイブに限らず、「外国産に頼らざるを得ない」という問題は、兎に角根深い日本の学術の闇の一つと数えてもいいかもしれません。
 
これを解消しない限りは学術国家とはいえないでしょう。
 
随分と規模の大きな愚痴を吐いてしまいましたが、閑話休題。個人的な話に戻りましょう。
 
第二の「韓国語で構成されている」。もうこれは仕方ない事です。これは他の国のユーザーが日本のデータベースやなんやらみる際、「何で日本語なんだ~!?」という苛立ちに陥る感覚の裏返しと言えるでしょう。
 
ただ、Google翻訳が機能している場合はその限りではありません。一応日本語に翻訳してくれます。その訳文が必ずしも正確――とはいいがたく時折「???」みたいな語訳はあるのですが、大体の目安が付けられるだけでも十分ありです。
 
一応翻訳を照らし合わせながらやればそこまで迷う事はないと思います。日本語そのものの検索には一応対応しているため、ハングルの検索欄に日本語を入れても引っかかります。

故にデメリットではありますが、すさまじい欠点とは言いがたいのではないでしょうか。
 
それ以上の欠点は「ダウンロードしなければならない」点にあると思います。このダウンロードの手順が少し厄介なので、語学が苦手な人は苦戦する事でしょう。
 
次回はそのダウンロード方法と長所・短所の続きを述べたいと思います。

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