僕らがアートから遠ざかる理由
こんにちは。
遅い時間に昼ごはんを食べた日に、夜ご飯が早い時間だとどこか損した気分になる夜ふかしアート展館長です。(空腹でご飯を食べないとなんかイヤ)
今日は「人生においてアートが嫌いになる過程」について、お話しできればと思います。
アートに苦手意識のある人ほど見てほしい内容です。夜ふかしアート展の話とは少し脱線しますが、アートが好きな人も嫌いな人にも面白いと思ってもらえる内容だと思います。
館長自身、今はアートに対してとても興味を持っていますが、転職して今の企画(夜ふかしアート展)を担当するまではアートについてはどこか苦手意識がありました。
自分に絵のセンスがないこともありますが、どうやらそれだけでもなさそう。アートや芸術の話になると、基本的にはアウェーにいる気分。
でも思い返せば小さい頃はそこまで苦手意識はありませんでした。どこで苦手意識を持ったんだろうと振り帰ると、なるほどなと思うことがあったので、ここで共有させて頂ければと思います。
独断と偏見の内容ですが、共感してくださる人も多いと思います。
お絵かきは褒めてもらえるコミュニケーションツール
多くの人がまずアートに触れるのは保育園/幼稚園時代のお絵かきの時間だと思います。
館長自身、この頃の正確な記憶はないですが、思うがままにクレヨンや色鉛筆を走らせて、上手も下手もなく、表現できることに喜びがありました。考えてみればこの頃はまだうまく言葉を話せなくて、自分の気持ちや好きなモノ、興味のあるものを伝えられない時期です。
そんな時に役に立っていたのが「お絵かき」でした。
「〇〇ちゃん、絵がうまいねー」
「○○ちゃん、××が好きなのー」
お絵かきは親や保育園の先生とのコミュニケーションツールになっていたのかもしれません。絵をかけばそれを観て大人が話しかけてくれる、そして描いた絵をほめてくれる。ここに楽しさがあったのかもしれません。
表現が無条件に肯定される時期です。
授業で広がる表現の幅
小学校に進むと、「お絵かき」という時間が「図工」という教科に変わり、デッサンや版画、水彩画等の表現の幅が広がりました。クレヨンと色鉛筆しかなかった園児から大きな進歩です。
しかし、高学年になる頃から、図工は成績という評価軸で数値化されるようになります。今まで無条件に褒められていた絵にしっかり〇×がつけられるようになりました。
あんなに楽しい表現方法だった絵はある種の正解に向かって制限されてしまう。。
ただ小学校まではあまり成績をシビアに見られることはないので、まだ図工は楽しい当たり授業のイメージがありますね。
センスが問われだす中学生、高校生
中学生になれば、「図工」が「美術」に変わり、よりセンスを問われるような教科になってきます。
当時の美術の正解はいかに写真のようなリアルな絵が描けるか。リアルに描くという正解に向かってみんなが絵を描いていました。上手い人はもてはやされ、苦手な人は描いた絵を人に見せるのも億劫になる。。
ここで一気に苦手意識は強まり、自分と美術は関係ないものと割り切るようになると思います。さらに追い打ちをかけるように座学としての美術史が始まります。
ここで美術(アート)は自分の住む世界ではないと離脱した人も多いはずです。
そしていきなりのルールチェンジ
幼児~高校生まではいかにリアルに描くか、丁寧に描くかが求められてきて、みんな個性を殺してそれに向かっていました。
しかし、いざ大人になって個展や美術館に行ってアートを観てみると、急なルールチェンジを目の当たりにします。それはリアルな作品よりも抽象画に評価が集まっているから。
ここで完全な混乱が起きます。今まで学んできたものは何だったのか。アートとは何なのか。学んできたリアル画と社会で評価される抽象画のダブルスタンダード。
今までは絵に対して感想は「上手(リアル)に描けてるねー!」の一軸でよかったものが、抽象画を目の前にすると急に感想が難しくなります。
変な感想を言っちゃうと、アートが分かってないと言われそう。
そうやって僕たちはアートを語るのをやめてしまいます。
アートに再び向き合う為には
このように幼児期の「お絵かき」から小学生「図工」、中学高校「美術」、社会「芸術(アート)」の時期でアートに対する価値観はグラグラさせられ、多くの人はついて行けなくなるのはないかという結論に至りました。
ではここからアートが再び好きになるにキッカケ、イベントはあるかというとなかなかないように思います。
アートを理解できなければ生きていけないというわけでもないので、それは優先順位の低い課題なのかもしれません。
そのような中で私が再びアート分野に興味を持ち始めたのは「アートに正解はない」という概念を知ってから。
それを念頭に置くだけでアート鑑賞はプレッシャーから開放され、かなり気が楽になります。
と盛り上がって来たところではありますが、話が長くなってきたので館長流アートの向き合い方はまた次回に。
【夜ふかしアート展概要】
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