こんなんでよかったら
「へ?髪切った?」
タモリさんどうしてるんだろ…
ねえ、ロバ・・・じゃない。
この場を借りまして昨日のnoteを読んで頂いた皆様、ありがとうございます。実はたった1日でこんなに観てもらえたのが初めてで、ワタナベアニさんによる他力本願は100も承知で浮足立っています。おかげで新しい出会いもできました。次こそは「自力本願」で。読まれたくなる、読まずにいられなくなるものを届けるべく。日々。
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今季一番の寒気であろう今日、私は自転車でグーグルマップが教えてくれなかった坂道と、耳がキンッキンに痛くなるほどの向かい風にやられながら、予約した美容院にたどり着いた。さぶい。さぶすぎる。いや…今までが暖か過ぎたのかあ。
「いらっしゃいませー。」
「あの…予約していた者です…」
「あ、ヘアドネーションの。ありがとうございますー。少しかけてお待ちくださいねー。」
体格の良い朗らかな店主に言われるまま、私は案内されたソファーに腰掛けた。
「簡単でいいので、こちらをご記入くださいねー。」
初めての美容院で必ずあるカルテ作り。名前と住所、今日のオーダーに〇を付けテーブルに置いた。
店主は既にいたお客さんの髪を乾かしながら、雑談に花が咲く。
美容院は店主の好きなハワイアン調。北風が吹きすさぶ外とは裏腹な店の雰囲気に、私は鼻を赤らめながらガラス窓から差し込む日光と共に暖をとった。
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ワゴンに並ぶハサミを見て一瞬冷や汗が出た。
が、ロバートがニヤつかせてくれた。大丈夫。
2年前体調を崩してから、人に髪を触れられたり、刃物に限らずスプーンやフォークなど、金属を近づけられることが恐怖だった。
前髪は自分で切ることはできたが、後ろは特に何もせず伸び放題だった。
重たい。めっちゃシャンプーとトリートメントがいる。乾くのに時間かかりずぎ。ヨシヨシだってされない。うう。
ともかく非効率極まりないこの髪をなんとかしたかった。
やっと髪を切りたい気持ちが湧いて、
「そうだ、ヘアドネーションをしよう。」と思い立った。
イントネーショーンはJRのCMと同じ。京都の風景は浮かばなかった。
美容院を探していた時にNPO法人である「ジャーダック」の加盟店がある事を知って、「こんなんでよかったら」という気持ちで予約した。「長さ31センチ以上」という条件に当てはまっていたのと、施術料が10%OFFなんて、やらない手はないでしょう。純粋なボランティア活動。
金はないけど髪はあるぜ。
ん?見る人が見れば芸能人の売名行為みたいになるんだろうか。それでもいい。リンクを観てもらえれば、悪い事ではないので。
店主に最終的なスタイリングをリクエストして、店主は髪をある程度の量に束ね、スケールで31センチを測り、位置を決める。
束ねられた髪を店主は手際よく切り落としていく。みるみるうちに肩が軽くなり、1.2倍くらい首が長くなったような感覚に襲われた。余程重たかったんだな…。
最後に美容院へ行った時に、サイドだけ短くした分は31センチに満たなかったが、後ろは31センチをクリアしている。
「31センチの条件を満たす部分は、小児がんや白血病など、病気で髪を失った18歳未満のウィッグに使われます。ここの団体は『アデランス』さんで作ってますね。」
「短いのはどうなるんですか?」
「白髪染めなどの染毛剤メーカーで有名な『hoyu(ホーユー)』さんに行きます。染毛剤の開発で、テスト用に様々なタイプの人毛がいるそうですよ。31センチ以下は一時期余ってしまって停止していましたけど、最近またはじまったかなあ。」
「ウィッグは知ってましたけど…染毛剤かあ…なるほどー。」
経験から学ぶことが多い日々。
その後パーマもかけて完成。マッサージもしてもらい、気持ちも肩もスッキリしました。
「凝ってますねー肩!」
「普段パソコンばっかりなんで…いやーでも軽い!ありがとうございます。」
「お似合いですよー。ボリュームもいい感じで。」
「美容院でスタイリングしてもらうと綺麗なんですよねー。でも自転車だし…」「ああ、今日は外に出た瞬間…」
「ぐっちゃぐちゃですよね!」
店主と私で笑った。
久しぶりに人に髪洗ってもらったな。気持ちよかったー。
ヘッドスパ出来るくらい稼ごう。うん。
今日訪れたお店はこちら。ヘアドネーションをお考えの方はこちらからも全国の加盟店が探せます。先程掲載した写真は店主がインスタグラム用に撮影したもので、快くデータをくれました。
はーさぶかった。気持ちはあったまったけど。
切った髪も、誰かの笑顔になるといいな。
(こんなんでよかったら-Fin-)
読んでいただきありがとうございました。これをご縁に、あなたのところへも逢いに行きたいです。導かれるように。