階の九 「美術館のモモ」
あたしこんなところにいるはずじゃないのよ
ほんとはもっとステキなところにいるはずなのよ
なんてったってあたしがいちばんステキなんだから
真っ赤なおべべが目立っているわ 目立ちすぎているのだわ
まわりの絵なんか目じゃないわ こいつら生きちゃあいないもの
平べったくって 仰々しくって やってられないわ
澄ましたようで 苦々しい表情も 見ちゃいらんないわ
そんなに鼻を近づけて 食い入るように見つめるもの?
あたしのことを見なさいな 吐息がかかるほど近づいて
風に揺れる髪のリズムを