入道雲と仏
9回裏2アウト満塁。1点差で負けている場面。勝てば甲子園。
私は3年間、毎日、この場面で打席に立つイメージをしていた。
1ストライク3ボール、相手がタイムを使う。
すべてがイメージどおりの展開。次は、ストレートのド真ん中だが、これに手を出すと、セカンドフライでアウトになることを知っている。
立っているだけで、フォアボールで同点になることも知っている。
追い込まれているのは相手のピッチャーだ。
試合が再開して、ストレートのド真ん中、2ストライク3ボール
イメージ通り
いや、おかしい。
これまで甲子園の舞台をイメージできなかったのはなぜなのか。
透かさずタイムを使う。
私がタイムを使う展開はイメージしたことがなかった。
ゆっくり素振りをしながら、
三振でゲームセットになることを悟った。
空を見上げると入道雲が綺麗だった。
少し仏様に近づいた気がした。
呼吸は整っている。
まだ終わっていない。
よし行こう。
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