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女のいない島(少子化対策実験ラボ)#15

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〜3月11日 21:00

#フィクション #長編小説 #登場人物少なめ  # #190000文字 #出産マシーン
#政府による実証実験 #少子化対策 #監禁 #児童虐待 #強制労働 #売春斡旋   #異父姉弟 #国民負担率50 %超

【15】ファーストジェネレーションの男の子 孝一 近親相姦の事実を知る
(コンテナに入ってからどれくらい経ったのだろう?)
僕はバッグに懐中電灯を入れてこなかったことを悔やんだ。残念ながら僕のしている腕時計はクオーツ式で光がないところでは全く見えない。コンテナに入り扉を閉めて手探りでダンボール箱の影に座りこんだ。そのあと30分ほどで果樹園からトラックに載せられ、恐らく港で降ろされたことを感じた。その後、揺れが続いてるので船に積み込まれたことまでは感覚で判った。もちろん、これまで船には乗ったことがなかったが、教科書で海の波どんなものかは判っていた。船が動き出してからは緊張が続いていたせいで、いつのまにか疲れて眠ってしまった。しばらくして目が覚めると、まだ船は動いているようだった。
(葉月は大丈夫だろうか?心細いだろうな)
葉月と別々のコンテナに乗ったことを後悔した。父の考えでは一緒に乗ると不安からついしゃべってしまい、話し声で発見されることを回避する為だった。
(もうしばらくしたら不安で発狂して声を出しそうになるな)
人間は光のないところに閉じ込められると、感覚が狂って頭がおかしくなると授業で教わったことを思い出した。
【コンコン…コン】と、僕のいるコンテナの壁を叩く音がした。2回叩き間を空けて1回叩くのは、父と僕との家へ帰ってきたときの合図だった。
【コンコン…コン】
僕も手の届くコンテナの壁を同じように叩いた。しばらくしてコンテナの扉が開き、光が差し込んできた。船倉の暗い光なのに、夏の太陽のようにまぶしく感じた。
「大丈夫だったか?」
父は僕の姿を確認するとそう言った。僕は眩しさでまだ目がよく見えておらず、声だけで父と判断した。目が慣れると僕はコンテナの扉に向かって歩き、父と握手した。
「すまんな、探すのに手間取ってしまって。」
父は小さな声で言った。当初の予定ではコンテナにペンキで書いてある番号で難なく探せるはずだったが、果樹園にいた典子という女性に見付かってしまい二人が乗ったコンテナの番号を見る余裕がなかったとのことだった。
「彼女の入ったコンテナの番号は?」
父は僕に訊いた。
「C4247のコンテナに乗ったはず。」
僕はそう言って腕時計を確認した。時計は朝5時前で出航してから恐らく3時間ほどしか経ってなかった。
「よし探そう。」
僕達は二人で葉月の乗ったコンテナの番号を薄暗い船倉で探した。コンテナは船倉一杯に100基近くあった。
「ところでさぁ、僕を見つけるまでに何回合図をしたの?」
僕は父に訊いた。
「ん、70回目位かな。寝てるかそれとも見付かってしまったのかと思っていたよ。」
「父さんもクジ運悪いんだね。」
僕は良太に交換した【花場】の女性が外れだと言われたことを思い出した。

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