ハルマゲドン考察1 の中で「メギドに関する聖書そのものの記述を見る限り、目立って注目するほどの出来事が記述されていると言える部分があるとは思えない。
「メギド」が神との戦争という未曾有の出来事が行われる舞台として選ばれる理由と思えるものは聖書中に見いだされません。」という文章を書きました。
このシリーズ第3弾では、そもそも、この「ハルマゲドン」がメギドの山を指すという解説が本当に正しいのかという聖書的な疑問、論点について述べたいと思います。
先ず、ヨハネは「ハルマゲドン」はへブライ語であると断っていますが、大文字で始まるこの単語はいわゆる「固有名詞」として扱われています。
音訳してギリシャ文字で記したものと言う事でしよう。
ハルマゲドン Ἁρμαγεδδών (Harmageddon)
※語頭の[']はh音を表します
そして、一般に解説されているのは、これはヘブライ語で「メギドの山(Har-Megiddo)という意味であるとされています。
音訳や造語だったとしても、メギドは固有名詞ですから、頭は大文字で記されるはずでは無ぃかと考えられます。
例えばhar-Mageddon もしくは Har-Mageddon
しかしギリシャ語原文は Ἁρμαγεδδών (Harmageddon)となっています。普通名詞の「山(Ar)」が大文字で、地名(固有名詞)の「メギド(margeddon)」が小文字と言うことは普通 あり得なぃでしよう。
ちなみにそのすぐ前の単語「へブライ語で」という部分は当然、頭が大文字の Ἑβραϊστὶ(Hebrai)となっています。
どうも何らかの間違いが生じている臭いがします。
これから、この語「ハルマゲドン」の綴りが誤写の可能性があるという聖書的な根拠を考察してみたいと思います。前代未聞の試みですが、ご批判は全て読んでからにして下さぃ。
先ず、次の聖句をお読みください。とりわけ「シオン」という語に注目して下さい。
(※「アリエル」はエルサレムを指すと言われています。この聖句ではアリエル=シオンの山という同意語として扱われてぃます。)
「シオンの山に群がり、戦ぃを挑んだ国は、粗殼のように突如吹き払われる」とぃうような内容になつています。
「エルサレムから残った者、シオンの山から難を免れた者」とは正に7年の患難期の迫害を生き残った者という意味でしよう。
これらの聖句と、次の黙示録の記述を比べて見て下さい。
特に19:15-16はハルマゲドンに集まった王たちを裁く時の記述です。
キリストはメギドで王として登場するのではなく「シオン」で即位させられます。
そこでシオンに集合した「地を治める者」に対して最後通知として「諭しを受け入れ」神によって立てられた王キリストに対して「畏れ敬い」和解の表明として「子に口づけするようにと諭されています。
そして、そうしない者に対しては「主の怒りが瞬く間に燃え上がる」と警告しています。
この「天が巻物のように巻き上がられる」という記述と次のハルマゲドンと同じ第6のラッパの時に生じる次の描写と比べて見て下さい。
万軍の主は、メギドではなくシオンの山に降りて戦われます。
その日人々は神を退け続け、偶像を礼拝していたが、それを退け、立ち返るように勧告され ています。
またその時、人間のものではない剣によって敵を滅ぼすと言われています。
これらの聖句と、ハルマゲドンに関する次の黙示録の記録を比較して下さい。
この記述はハルマゲドンと同じ第6のラッパの時に生じる出来事です。」
いかがでしようか。焦点とされる地は「シオン」です。
龍、獣、偽預言者が王たちを集めるのは目的があるからです。
神に戦いを挑もうとするのは、手放したくないものがあるからです。
それは他ならぬ「支配権」「主権」です。
では主権者なる主の支配はどこから発せられるでしようか。
その答えは「シオン」以外にはありません。
支配権を巡る戦いの舞台として聖書全体がスポットを当てている場所は「シオン」であり、これは圧倒的であり終始一貫しています。
決して「メギド」ではありません。
それで、推測も含めて色々調査してみたのですが、元々は恐らく「ハルマゲドン」ではなく、へブライ語で、「ハル-モアド-シオン」 「シオンの集合の山」だったのではないだろうかと推測します。
イザヤの中に「会合(集合)の山」というフレーズがあります。
これは、バビロンに王なぞらえて龍であるサタンに言及したものと捉えられているものです。
この集合の山をヘブライ語で発音すると「ハルモアド」であり、「シオンの集合の山」は恐らく「ハル・モアド・シオン」となるはずだろうと思います。
これが「ハルマゲドン」の原型なのではないでしようか。
結論ですが、ハルマゲドンという綴りはやはり、どこかで誤写(写本上の誤り)があったとしか考えられません。
出来事の内容から言って、絶対に「メギド」はあり得ないからです。
私には古い聖書写本を参照できるような状況はありませんので、断言はできませんが、恐らく「シオンの集合の山」というようなへブライ語からの音訳が綴られていたのでは無いかと考えます。