ゲンロン大森望SF創作講座第四期:第9回梗概感想(感想会の対象作品)
2/16のSF創作講座有志による感想会のためのメモです。
第9回課題「「20世紀までに作られた絵画・美術作品」のうちから一点を選び、文字で描写し、そのシーンをラストとして書いてください。」
https://school.genron.co.jp/works/sf/2019/subjects/9/
全員分の感想ではなく、感想会出席者の梗概のみ感想を書きます。
とはいえ今回は「梗概」ではなく「ラストシーン」を書くことが課題なので、感想はお話とかではなく「かっこよさ」「本編への期待」を3段階評価で書きます。「かっこよさ:2」は「かっこいい!」、「本編への期待:2」は「楽しみ!」みたいな感じです。
普段の感想は、もう少し作品のポテンシャルを客観的に考慮するようにしているのですが、ラストシーンしかないので今回は評価はかなり主観です。
あと、僕はこの課題って「当該の美術作品をその場面に出す」のかと思っていたのですが、そうではなく、「当該の美術作品を描写した文章をラストシーンの場面にする」ということだったんですね。これは勘違いしていました。他の人の提出作を読んでいて気づきました。というのも、かっこいいラストシーンが多かったからです。だってかっこいい絵を選んでいるのだから、そのかっこいい絵が頭に思い浮かぶラストはそりゃかっこいい場面になるよね。
そういう意図の課題だったのだと、さっき気づきました。失敗失敗。
そんなこんなで感想です。
01「Family Tree」中野伶理
https://school.genron.co.jp/works/sf/2019/students/msx001/3964/
かっこよさ:1
本編への期待:3
いま気づきましたが、「かっこよさ」の評価は選んだ作品が僕にとってかっこよく見えるかどうかに大分左右されますね。「Xmas Tree in a Living Room in Levittown, Long Island」はクールなかっこよさはありますけど、ぱっと見のインパクトみたいなものがないので「2」に。本編への期待は、「この家の家族たち、登場しない登場人物たちはどこへ行ったのだろう。延々と続く虚構の幸福を置き去りにして。」という末文が好きなので「4」に。この二文で、本編で語られるものがかなり明確にイメージできるのでよかったです。僕の想像と全然違う可能性もあるけど。
場面描写もクールでよかったです。
02「光子美食学」稲田一声
https://school.genron.co.jp/works/sf/2019/students/17plus1/3952/
かっこよさ:1
本編への期待:1
単純にこれは好みの問題で、僕が好きな系統の絵や話ではないので「2」です。本編読んだら全然評価変わる可能性高いです。でも絵のチョイスは渋くて良いなと思いました。
読みなれない文章だったので1200文字だけだと僕には描写の良さが判断むずかしかったです。
03「聖域」藤琉
https://school.genron.co.jp/works/sf/2019/students/aphelion/3955/
かっこよさ:2
本編への期待:2
「ネブカドネザル」がかっこよかったです。ネブカドネザルが二人になるのも面白かったです。本編で弟くんがすっごい頑張るんだろうな、と思うとおもしろそうに感じます。弟くん、すっごい苦労して頑張ってほしい。
兄のヤバさの伝わる描写とか面白かったです。
04「夜は奇妙な青い空」夢想真
https://school.genron.co.jp/works/sf/2019/students/dreamshin/3944/
かっこよさ:2
本編への期待:1
「星月夜」はかっこいいですよね!それを描写したらそりゃあかっこよくなりますな。課題にストレートに応えているのでは。ただ話はなんかうまく完結していないようにも見えるので、期待は「1」です。
05「年輪」よよ
https://school.genron.co.jp/works/sf/2019/students/happanoko/3999/
かっこよさ:1
本編への期待:2
絵が渋いので、かっこよさは低め。「若さと老いその価値のバランスを崩」す話は読んでみたいので、楽しみにしています。
描写としては、絵の一部(人体)だけしか描写されていなかったと思うので、絵の空間も描写したら、絵のかっこよさがもっと文章に呼び込めるのではないかという気はしました。
06「暗闇のなかの盲目の男」武見倉森
https://school.genron.co.jp/works/sf/2019/students/kateiumashi24/3976/
かっこよさ:1
本編への期待:2
ジャコメッティの作品は文句なしにかっこいいのですが、本文であまり「像の男」の対物描写がなかったので、この点数に。「像の男」を眺めている人物の描写のほうが文字数多いくらいなのは、課題の応答としてはバランスが悪かったのでは。
オチとしては好きな雰囲気なので本編は普通に期待です。
07「美神像の誕生」渡邉清文
https://school.genron.co.jp/works/sf/2019/students/kiyo/3951/
かっこよさ:1
本編への期待:1
ミロのヴィーナスのかっこよさを活かした描写が最後だけしかなかった気がして、それは勿体ないような気はしました。バカSFには期待せざるをえないですが、本文からはまだ読み取れないので「1」で。
08「エンドレス・ステアケース」黒田渚
https://school.genron.co.jp/works/sf/2019/students/kurodanagisa/3950/
かっこよさ:2
本編への期待:2
面白かったです。というのも、ラストシーンの書き出しが小説の冒頭のようにも読めるので、この分量でもショートショートっぽく読めたので。でもエッシャーのだまし絵を歩くだけの小説というのも面白そうで読んでみたいので、本編への期待も「2」にしました。
ラストでAIが寝てしまうのがいいですね。負荷試験がうまくいったのか失敗したのかが、読者の判断にゆだねられている感じがしたので。
09「Plutonic? Plastic!」安斉樹
https://school.genron.co.jp/works/sf/2019/students/recolored/3991/
かっこよさ:1
本編への期待:3
前回講義の打ち上げで「オフィーリアはネギラーメンなんですよ!」と豪語していて、まったく何を言っているのかわからなかったのを思い出しました。ネギラーメンに似ているという、それこそだまし絵のような解釈を聞いても、「この解釈はいったいどこに繋がっているんだ…?」という疑念が尽きませんでした。提出作品を読めばなにかわかるかと思いましたが、やはりわからなかった……一体どういうことなんだってばよ……。
そういう感じで本編がとても読みたい気持ちは強いです。一方で、黒田さん同様にこの場面だけで話の始まりから終わりまで描かれているように思えて、本編がまったく想像がつかない……本編を読めば、ネギラーメンのことを僕は知ることができるのだろうか……ネギラーメンとは、一体……。
10「祝福」松山徳子
https://school.genron.co.jp/works/sf/2019/students/tokuko55/3973/
かっこよさ:2
本編への期待:1
なんかかっこいい……!でも本編がどんな話なのかはよくわからない。でもこういうラストシーンに向かう物語は美しそうですね。課題の応答として正しい気がします。
11「トランスフォーメーション」揚羽はな
https://school.genron.co.jp/works/sf/2019/students/yamato2199/3990/
かっこよさ:2
本編への期待:2
SF小説のラストっぽい!と思いました。出会いから別れまで描かれる物語というのは、普通に読みやすそうな形式でいいなと思いました。選んだ絵画も、SFに紐づけられるともう昔の早川文庫とかの表紙とかに見えてきますね(笑)
ラストシーンも、きっとここに至るまでにこの家族の間でいろいろな時間が流れたのだろうなと思わせる感じでよかったです。
※お名前間違えて書いてしまいすみませんでした…(訂正済み)
■雑感
という感じで、これで感想会の課題作品は全部です。かっこいいラストシーンだけ読むのも楽しいですね。
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