まどを開けた

MacBookのうえでクモを殺した。
別に偽善とか可哀想とかそういう心ではなく、シンプルに虫を殺すのが嫌なので、いつもはティッシュでつかんで外へ逃がしている。けど、何故か今回は殺してしまった。銀色のMacBookの上で。

知らない街の匂いが好きだ。パンがやける匂い、洗濯物の匂い。どこでだって嗅げるし、きっと嗅いだことのある匂いなのに、初めて嗅ぐ匂いに感じる。

匂いの記憶というのはなんだか不思議だ。弱いようで、強い記憶だ。私は夏の夕暮れに、誰かの家から匂ってくるシャワーの匂い(石鹸なのか、シャンプーなのか、お湯なのか) が好きだ。これは音も含めてになってしまうんだろうが。高校の時の駅までの帰り道、夏場は決まってその匂いがした。いい匂い! というほどのものではないが、なぜかその時間帯に嗅ぐその匂いは鮮烈な記憶として残っている。

この匂いを嗅ぐと思い出すことがある。という匂いを誰もが持っているのかもしれない。それはある意味残酷なまでに忘れられない。音や映像なんかより、もっと根強い記憶なのかもしれない。不思議だ。

ベタだけど、各家庭の夕ご飯の匂いは心地いい。そこに、生活がある。そして今日の夕ご飯に思いを馳せる。私にも生活がある。しあわせだ~。

2020.5.10

ぴ、

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