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デザイナーこそ物販をしよう!
私はプロダクトデザイナーとしてクライアントワークを行う傍ら、テラリウムや珍奇植物フィギュアを製作し、自身のECサイトやイベントで物販を行っています。
クライアントワークと並行して物販を続ける中で、「デザイナーこそ物販をするべきだ」と強く感じるようになりました。
なぜなら、デザインを“作る”だけでなく、“売る”という経験を積むことで、デザイナーとしてのスキルが飛躍的に向上し、仕事の幅が広がるからです。
クライアントの気持ちを理解し、クリエイティブの地力を上げ、営業力やマーケティングスキルまで鍛えられます。 さらに、収益の柱が増え、フリーランスとしての安定性も増します。
本記事では、デザイナーが物販を始めるべき理由を、私自身の経験をもとに解説します。
序章:なぜデザイナーに物販が必要なのか?
デザイナーとして仕事を続けていく上で、単に「良いデザインを作る」だけではなく、「売れる仕組み」を理解することが求められます。デザインはそれ自体が商品として機能することもありますが、ビジネスの視点を持たなければ、クライアントの真のニーズを理解することが難しくなります。
デザインだけではなく「売る」視点を持つべき理由
デザインは単に美しさや機能性を追求するだけではなく、最終的に「売れる」ことが重要です。たとえば、パッケージデザインや広告バナーを制作する際、最終的に商品が売れるかどうかを考えた設計が必要になります。
実際に自分で物販を行うことで、商品の販売プロセスや消費者の購買心理を深く理解できます。どのようなデザインが売上につながるのか、どのようなターゲット層に刺さるのかを体感できるため、より実践的なデザインスキルを磨くことができます。
クリエイターがビジネスを学ぶ重要性
デザインのスキルがあっても、それを活かして仕事を得るためには、ビジネス的な視点が欠かせません。物販を通じて、価格設定、原価計算、プロモーション戦略など、ビジネスにおける重要な要素を実践的に学ぶことができます。
また、実際に商品を販売することで、クライアントの立場に立って考えられるようになります。クライアントがどのような視点でデザインを発注するのか、どのような要素が重要視されるのかを理解することで、より本質的な提案ができるようになります。
物販を始めることで得られるメリットとは?
物販を始めることで、デザインスキルの向上にとどまらず、さまざまなメリットを得ることができます。
クライアント視点の理解: 実際に自分が売り手の立場になることで、クライアントが求めるデザインの本質を理解できる。
収益の多様化: デザイン業務だけでなく、物販による副収入を得ることで、安定したキャリアを築ける。
営業スキルの向上: 商品を販売するためには、自らアプローチし、営業活動を行う必要があるため、営業力が磨かれる。
マーケティングの実践: どのようなプロモーションが効果的かを実践的に学び、デザインに活かせる。
ネットワークの拡大: 物販を通じて知り合った人脈が、新たなデザイン案件につながることも多い。
物販を始めることで、デザイナーとしてのスキルを一段階引き上げることができます。デザインとビジネスの両方を理解することで、より価値のあるデザイナーへと成長できるのです。
第1章:物販をすることでクライアントの気持ちがわかる
デザインを依頼する側の視点に立てるようになる
物販を経験することで、デザインを依頼するクライアントの立場を深く理解できるようになります。デザイナーは普段、クライアントの要望を受け取る側ですが、物販では自らが「売る側」となり、どのようなデザインが求められるのかを実体験できます。
例えば、自身の製品のパッケージや販促物を作る際、「見栄えが良い」だけではなく「売れるデザイン」であることが重要になります。クライアントがなぜデザインに細かく注文をつけるのか、その背景にある売上やブランド戦略の重要性を実感できるのです。
価格設定や在庫管理など、クライアントの悩みを実感できる
物販をすると、価格設定や在庫管理といったビジネスの実務にも直面します。デザインを依頼するクライアントは、コストと売上のバランスを考慮しながらデザインを発注しています。そのため、デザイナー自身が物販を経験することで、クライアントが抱える課題や悩みをよりリアルに理解できるようになります。
例えば、「このデザインにすることで製造コストが上がってしまう」「在庫リスクを減らすためにシンプルなデザインが求められる」といった視点を持つことで、より実用的で説得力のあるデザイン提案ができるようになります。
「自分が発注する側」になったときに学べること
物販を経験することで、デザイナー自身が発注者の立場に立つことができます。例えば、自身の商品撮影を外部のカメラマンに依頼したり、ECサイトの構築をプログラマーに発注したりする場面が出てきます。
この経験を通じて、「発注する側が求めること」や「納品物に期待するレベル感」を体感することができます。結果として、デザインを依頼された際に、クライアントが本当に必要としていることを的確に把握し、より適切な提案を行えるようになります。
第2章:クリエイティブの地力が上がる
物販を行うことで、デザイナーとしてのスキルが確実に向上します。なぜなら、商品のデザインから販促物の制作、ブランドイメージの統一など、デザインの領域を広げる実践的な機会が増えるからです。
商品パッケージ・販促物・ブランドデザインを自作できる
物販をする際、単に商品を作るだけではなく、その商品を魅力的に見せるためのパッケージや販促物、ブランドデザインが必要になります。
例えば、以下のようなデザインを実際に自作する機会が増えます。
商品パッケージ:購買意欲を高めるパッケージデザイン
販促物(チラシ・ポスター・POP):イベントや店舗でのプロモーションツール
ECサイト・SNS投稿用のビジュアル:オンラインでの販売促進に不可欠
ブランドロゴ・カラー設計:統一感のあるブランドイメージを作る
これらのデザインを自分で手がけることで、クライアントワークとは異なる総合的なデザインスキルが鍛えられます。
実案件とは異なる自由な表現の場を持つことでスキル向上
クライアントワークでは、依頼主の要望や企業のブランドガイドラインに従ってデザインする必要があります。一方で、物販ではデザイナー自身がすべてを決定できるため、自由な表現が可能になります。
トレンドを反映した実験的なデザインを試せる
好きなテイスト・ジャンルで制作できる
デザインだけでなく、コンセプトやストーリーを考える力が身につく
このように、自由度の高いデザインを実践することで、デザイナーとしての個性を伸ばし、スキルの幅を広げることができます。
実際に「売れるデザイン」を作る経験が得られる
物販を通じて、単に「良いデザイン」ではなく、「売れるデザイン」を作る視点が身につきます。自分がデザインした商品が実際に売れた時、「なぜ売れたのか」「どうすればもっと売れるのか」を考えるようになります。
視認性の高いデザインは売れやすい
ターゲットに刺さる色・フォントの選定が重要
購買心理に基づいたレイアウトの工夫が必要
こうした経験を積むことで、デザインの目的が「単なる装飾」ではなく、「売上に貢献するツール」であることを実感できます。この視点は、クライアントワークにおいても非常に役立ち、結果的にデザイナーとしての評価を高めることにつながります。
第3章:物販が新しいデザインの仕事を生む
物販を通じて得られるメリットは、デザインスキルの向上やビジネス感覚の習得だけではありません。実際に自分の商品を販売することで、新たな人脈が生まれ、新しいデザインの仕事につながる可能性も大いにあります。
物販を通じて知り合った人がデザインを依頼してくれる
物販を行うことで、これまで接点のなかった業界や人々と知り合う機会が増えます。イベント出展やオンライン販売を通じて商品を見た人が、「このデザインを気に入ったので、自分のブランドのロゴもお願いしたい」といった形でデザインの依頼につながることがあります。
実際に、
物販イベントで知り合ったショップオーナーから、店舗用のポスターやチラシの制作依頼が来る
ECサイトで商品を購入した顧客が、自社のWebデザインを依頼してくれる
企業の担当者が、商品デザインを見てブランドビジュアル制作を相談してくれる
といった形で、物販を通じてデザインの仕事が生まれるケースは少なくありません。
実績として提示できるポートフォリオが増える
デザイナーとして物販をすることで、自分のポートフォリオに新たな実績を加えることができます。特に、
商品のパッケージデザイン
ブランドロゴや販促物
ECサイトやSNSのビジュアル
といった、実際に市場で使われるデザインを制作する機会が増えるため、実績としての説得力が増します。
「自分の作品」として自由に制作できるため、デザインの方向性を自由に決められることも大きなメリットです。これにより、自分の得意なジャンルやデザインスタイルを打ち出しやすくなり、今後のクライアントワークに活かすことができます。
コミュニティや市場での認知度が高まり、指名される機会が増える
物販を続けることで、コミュニティや市場での認知度が高まり、デザイナーとしてのブランド価値が向上します。例えば、
物販イベントの出展を繰り返すことで、業界内で名前が広まる
SNSやECサイトを通じて、自分のデザインに共感するフォロワーが増える
他のクリエイターや事業者とのコラボレーションの機会が生まれる
こうした積み重ねによって、「この人にデザインをお願いしたい」と指名される機会が増え、デザイナーとしての仕事が自然と増えていきます。
物販は単なる副業ではなく、デザインの仕事を広げる大きなきっかけとなるのです。
第4章:物販が収益の柱になる
デザイナーにとって、物販は単なる副業ではなく、安定した収益の柱になり得ます。特にフリーランスのデザイナーにとっては、クライアントワークだけに頼るのではなく、複数の収益源を持つことが重要です。
フリーランスにとって「複数の収益源」を持つ重要性
フリーランスのデザイナーは、案件ごとの収入に依存しがちですが、物販を取り入れることで安定したキャッシュフローを確保することができます。
クライアントワークは繁忙期・閑散期の波があるが、物販は比較的安定した収入を生む
物販を続けることで、デザインスキルを活かした「自分の商品」を持てる
収益の柱を増やすことで、クライアント依存のリスクを軽減できる
物販を始めることで、フリーランスとしての経済的な安定感が向上し、より自由な働き方が可能になります。
労働時間に依存しない収益モデルを作る
デザイン業務は基本的に時間の切り売りになりがちですが、物販は自動的に収益を生む仕組みを構築することが可能です。
オンラインストアの活用:ECサイトを開設し、商品が売れるたびに収益が発生する
デジタルコンテンツ販売:テンプレートやフォントなどのデジタル商品を販売し、継続的に収入を得る
プリントオンデマンド(POD):Tシャツやステッカーなどを作成し、注文が入るたびに印刷・発送される仕組みを活用する
これにより、デザイン業務の合間でも収益が発生するビジネスモデルを構築することができ、より効率的な働き方を実現できます。
小規模でも継続できれば安定した副収入に
「物販を始めても最初は売れないのでは?」と不安に感じるかもしれません。しかし、小規模でも継続することで、徐々に安定した副収入になっていきます。
最初は少額でも、月に数万円の収益を得られるとフリーランスの安定性が増す
売上が伸びれば、デザイン業務と並行してさらに大きな事業に育てることも可能
長期的に考えることで、デザイナーとしてのブランド価値も向上する
例えば、月に1万円の利益が出る物販を5つ持てば、月5万円の安定収入になります。デザイン業務だけでは補えない収益を物販で補うことができるのです。
第5章:営業スキルが身につく
デザイナーにとって、物販は単なる販売活動ではなく、営業スキルを鍛える絶好の機会です。多くのデザイナーは営業を苦手とする傾向がありますが、物販を通じて自然な形で営業力を鍛えることができます。
物販には営業活動が必要 → デザイナーが苦手な営業力が鍛えられる
物販を成功させるためには、単に商品を作るだけでなく、販売戦略を考え、顧客にアプローチする必要があります。例えば、
SNSを活用して商品の魅力を発信する
イベントや展示会で顧客に直接アピールする
ECサイトの商品説明文を魅力的に作成する
こうした活動を通じて、デザイナーが避けがちな営業の基礎を学ぶことができます。自然と**「どうすればお客様が興味を持ち、購入につながるか」**を考える癖がつき、結果的にデザインの提案力も向上します。
顧客との直接のやり取りが増え、コミュニケーション力向上
物販では、顧客とのコミュニケーションが不可欠です。
直接対面する販売イベントでは、商品の説明や購入相談を受けることが日常的に発生する。
オンライン販売でも、顧客からの問い合わせ対応やアフターサポートが求められる。
こうしたやり取りを重ねることで、デザイナーとしてのヒアリング力や提案力が鍛えられます。
特に、クライアントワークでは「クライアントのニーズを正しく把握すること」が重要になりますが、物販を通じて多様な顧客と接することで、相手の意図をくみ取り、適切な提案をするスキルが向上します。
物販での経験がそのままデザイン案件の営業にも活かせる
物販を続けていると、「自分の商品を売るための営業力」がそのまま「デザイン案件を獲得するための営業力」につながることに気づきます。
商品の魅力を伝えるスキル → デザイン提案の説得力向上
顧客のニーズを引き出すスキル → クライアントヒアリング能力の向上
価格交渉や販促戦略の知識 → デザインの価格設定やプレゼン力向上
実際、物販を通じて知り合った顧客がデザイン案件を依頼してくれるケースも多く、新たな仕事の機会が広がります。
物販は、単に収益を生むだけでなく、デザイナーとしての営業スキルを磨き、クライアントワークの質を向上させる大きなきっかけとなるのです。
第6章:マーケティングと金銭感覚が身につく
デザイナーが物販を行うことで、マーケティングや金銭感覚を実践的に学ぶことができます。デザインの仕事だけでは得られない、ビジネス視点を身につけることで、より戦略的なクリエイターへと成長できます。
「売る」ために必要なマーケティング戦略を学べる
物販では、単に良いデザインを作るだけではなく、それをどうやって市場に届けるかが重要になります。
ターゲット市場の分析(誰に向けて売るのか)
SNSや広告を活用したプロモーション
販売チャネルの選定(ECサイト・イベント・店舗など)
ブランドの確立とストーリーテリング
これらのマーケティング要素を実践的に学ぶことで、デザインを「売れるデザイン」に昇華させる力が身につきます。
価格設定や原価計算など、実務的なお金の感覚が鍛えられる
物販では、商品の原価や販売価格を決める必要があります。このプロセスを通じて、デザインにかかるコストや利益率を意識する力が養われます。
原価計算の基本:材料費・印刷費・配送費などを考慮
価格設定の戦略:市場価格・競合価格・ブランド価値のバランスを考慮
収益管理:売上・利益・経費の管理を習慣化
こうした実務を経験することで、デザインを単なる作品ではなく、ビジネスとして捉える意識が身につきます。
デザインの「価値」を数字で考えられるようになる
物販を通じて「デザインがどれくらいの価値を生むのか」を定量的に考えられるようになります。
どのデザインが売れるのか?(市場の反応を分析)
デザインによる売上の変化(効果測定の習慣化)
クライアントワークにも応用(デザインの費用対効果を説明できる)
これにより、デザインの単価設定や提案時の説得力が向上し、より収益性の高いデザイナーとしての成長が可能になります。
終章:デザイナーこそ物販をすべき理由
本記事を通じて、デザイナーが物販を行うことの意義を解説してきました。デザインを活かした物販は単なる副業ではなく、スキル向上や新たな仕事の創出につながる強力な手段です。
デザインを活かした物販の成功事例
実際に、デザイナーが物販を通じて成功した事例は多数あります。
オリジナルグッズ販売:イラストレーターが自身のデザインをTシャツやステッカーとして販売し、ブランドを確立。
パッケージデザインの展開:グラフィックデザイナーが自作のラベルやパッケージを販売し、クライアントからの依頼が増加。
デジタル商品販売:フォントやデザインテンプレートを販売し、ストック型の収益を確保。
このように、物販はデザインスキルを活かして直接収益を得るだけでなく、次の仕事につながる可能性を秘めています。
小さく始めて大きく展開する方法
物販を始めることに抵抗を感じるデザイナーもいるかもしれませんが、最初から大規模に行う必要はありません。以下のステップで、リスクを抑えながら徐々に事業を拡大できます。
小ロットでテスト販売:ECサイトやイベントで少量生産した商品を販売し、市場の反応を確かめる。
SNSを活用した認知拡大:ターゲット層に向けて商品の魅力を発信し、ブランドを育てる。
販路の拡大:売れ行きの良い商品を拡充し、ECプラットフォームや実店舗に展開。
自動化・効率化:製造・販売プロセスを整え、持続可能なビジネスモデルを構築。
「デザイナー×物販」で新しいキャリアを作ろう!
デザインスキルを活かした物販は、単なる収益手段ではなく、デザイナーとしての新しいキャリアを築く可能性を秘めています。
クライアントワークだけでなく、自分のブランドを確立できる。
営業力やマーケティングスキルが鍛えられ、ビジネスの視点が広がる。
収益の柱を増やし、フリーランスとしての安定性を確保できる。
デザイナーとしての可能性を広げるために、物販を始めてみてはいかがでしょうか?
本記事が、デザイナーとしての新たな一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。