多くのトレーダーが抱く、AI・アルゴ・機関投資家という幻想。それに関する事実とは
1.AIだ!アルゴだ!機関投資家だ!といって騒ぐ投資家たち
相場に関わっているとよく、
「この急激な値動きはAIの影響によるものだ」
「アルゴが次々連動して売りを呼び、相場を下げている」
「機関投資家の強烈な買いで、個人投資家の逆指値が刈り取られた」
こんな類の発言をよく見聞きする。
「どうせAIやアルゴ、機関投資家には勝てない」
「生身の人間がトレードしてもどうせ無駄なんだ」
と、それを勝てない理由に置いたりもする。
でも、本当にそうだろうか?
実際、AI、アルゴ、機関投資家などが相場に多大な影響を及ぼしているという事は確かだろう。
例えばフラッシュボーイズというという本が以前に流行り、その実態を詳しく垣間見ることができた。
(超高速取引:HFT=High Frequency Trade、に関しての本)
また特に板取引のある商品では、板の動きや歩み値から、AI等の兆候が感じられることもある。
機関投資家の動向については、データが見れるモノもあり、その取引日や取引量と、相場の動きがリンクしているようにみえることもある。
なので最初「 」で示したような意見は決して間違っているワケではない。
しかし、正しいとも言えない。
それなのに多くのトレーダーが、半ばAI、アルゴ、機関投資家という存在を過剰に意識し、ある時の値動きがそれらの暗躍によるものだと妄信してしまっていることが多いように思う。
「別に間違ってないならいいじゃないか」と思えるかもしれない。
しかし、もし現実に起きていることと自分の認識が、乖離していればいるほど、トレーダーとして勝てる確率が低くなってしまう。
妄想や幻覚に近しいものを可能な限り排除し、より現実に近い認識をすることが大切だと思う。
2.では事実はどうで、AI等についてはどのように考えればよいのか?
ここでは、以下の質問に答えてみてほしい。
「ある日の日経平均株価が、9時46分~9時47分にかけて、38,491円から38,524円に上昇した。この正確で詳細な理由は何か?」
これに答えるにはどうすればいいか?
答えるための方法は1つしかない。
《その日の9時46分~9時47分までに生じた、日経平均の価格に影響を及ぼす全ての買い注文と売り注文、そしてその理由を正確に把握すること》
全てなので、世界中のあらゆる個人、あらゆる機関投資家、あらゆるシステム、あらゆる証券会社の情報を正確に把握する必要がある。
注文時間や注文量も含め正確に把握し、注文を出しだ理由を、その全員に確認しないといけない。
これでようやく、初めて日経平均が9時46分~9時47分にかけて38,491円から38,524円に上昇した実際の理由を確認することが出来る。
と、これを見てわかるように、そんなことは世界の誰にもできない。
ただ1つの指標の、たった1分のできごとさえも。
しかし上の質問に対して、詳細さを省けば一言で正確に答えを出すことが可能だ。
その答えは
「9時46分~9時47分にかけて、日経平均株価の価格を33円上昇させる程度に、買いの方が多かったから」
それだけ。これは明確に事実といえる。
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ここまで読んでわかるように、
ある金融商品の価格が変動している正確な理由を知るなどという事は世界の誰にもできないということになる。
ということは当然、それがAIやアルゴ、機関投資家の影響だという事も誰にも断定できない。
それが影響した可能性がある、というにすぎない。
トレードするときは、幻想・幻覚に近いあらゆる思い込みを排除して取り組むことが、勝つための1つの要素となる(これが簡単なようで、難しい)。
価格を動かしている原因を、AIやアルゴ、機関投資家のせいだと決めつけてしまうと、思い込みを元にしてトレードしているようなものになってしまう。
これは結果に悪影響を及ぼしやすい。
実際のところは、AI等の影響かもしれないし、そうではないかもしれない、というだけだ。
そして明かな事実は、価格が上がれば買いの方が多く、価格が下がれば売りの方が多いということだけになる。
それ以上の事は知りようがない。
このように、あくまでシンプルに考えてトレードしていくことで、結果にも良い影響をもたらせてくれると思う。
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