3.At the Next Corner(22nd Jul.2020)
みなさまこんばんは。
アルバム全曲解説第3夜はアルバムタイトルにもなった「At the Next Corner」。
前作「Parallel Tripper」に引き続き、アルバムタイトルは独立して考えずに、いずれかの曲タイトルから選ぼうと決めて、
曲が出揃い、10のタイトルを並べて見た時に、アルバムを通してのテーマとも重なったのが「At the Next Corner」だったのです。
そもそもこの言葉は、昔からすごく好きな響きのアルバムがあって、Jazz好きの方なら良くご存知、日本でも人気のハードバップ期を代表するドラマーArt Blakey。彼の1960年のLIVE盤『Meet You at the Jazz Corner of the World』
僕はこのアルバムの内容っていうより(いや。内容も素敵ですよ、サックスがショーターだしね。)、とにかくこの「Meet You at the Jazz Corner of the World」というタイトルの響きが好きで。
これはニューヨークにあるバードランドというライブハウスでの録音なのだけどおそらく、バードランドが世界で1番(Jazzで)Hotなスポットだぜ(そしてそこでやってる俺たちは世界最高のジャズバンドだ。)って意味も込めて、「世界一のジャズコーナーで会いましょう。」言い切っちゃうところがたまらない。
その響きから連想して生まれたのが今回のタイトル「At the Next Corner」。tsukuyomiスタイルを加えると、あまり大見栄は切らずに(笑)そして文章そのものはシンプルに、かつ意味はややアブストラクトにして受け手の想像力に委ねると、「At the Next Corner」「次の角で逢いましょう。」となったわけです。
僕のイメージは、人でも機会でも良いのだけど、必ず良きタイミングが来るからそれを(気長に)待ちましょう。という想いで付けました。
すでにいくつかのインタビューでも答えたんだけど、このタイトルが決まったのが1月の中頃、その後にコロナが大流行、なんだか今年を予期してしまったような不思議な感覚。
さて、音楽的な部分も少し。やや早めのワルツ、つまり3拍子。この曲はリズムではあまり凝らずに、コード進行とメロディーを緻密にデザイン。分数コードを多用してベースラインをグラデーションのように下降させては上昇させて、いわゆるバイオリズム。「氣」の浮き沈みを現し、良い時を待つのです。
今作のテーマでもあった「美しい旋律」。サックスとバイオリンの絡み、そしてピアノソロもバイオリンソロも、さらに良く聴いてもらうとギターのバッキングも、みんなとても美しく仕上げてくれたなぁ、と思います。アウトロはイオリ君のアイディア、どこまでも美しい時の流れが続いていくような、そんなエンディング。
聴けば聴くほどその細部の美しさが見えてきて、ヨーロッパの歴史的な建築物のような、そんな風に楽しんでもらえると嬉しい曲であり、やはりアルバムタイトルにもなるべくしてなったような、そんな大切な曲となりました。
それでは今宵はこの辺で。
オヤスミナサイ、次の角で逢いましょう。