小児鍼の勉強会に参加したら聴診器を買ってしまった。
東京スキンタッチ会主催で鈴木信先生の小児鍼のzoom勉強会に参加してきました。
前半は米山式小児鍼の使い方や、実際の治療の動画を見せてもらったりと小児鍼の魅力について、後半は診察について、じっくりとお話を聞きました。
米山式小児鍼はイチョウ葉のような形をしています。イチョウの葉のように広がった方は肌を撫でるように使い、根本の細い尖った方は肌にツンツンと接触させて使います。先生は治療では接触する使い方のみで、鍼は金属製ではなく、使い捨ての「米山式かっさボード」を使っているとの事です。
使い捨ての利点として、衛生的であることと、使い終わった鍼を患者さんにプレゼントできることがあります。お母さんなど家族の方には撫でる使い方をお話しして、家でやることをすすめていますが、実際にやる人は少ないですが、子供のおもちゃになったり、鍼をみると再び治療に行こうという気になることもあるみたいで、鍼治療のPR効果もあるみたいです。
私は鍼はやはり金属製で、プラスチック製の使い捨ての鍼には抵抗がありましたが、今回の話を聞いて、使い捨ての鍼もありかなと思ってしまいました。
後半では、いかに診察が大切かという話をお聞きすることができました。
子供への施術では、病気の診断以外に保護者への説明が大切です。
鍼灸に不慣れな保護者には、脈診などの東洋医学的な診察だけでは、何をやっているかわからず不安。
まして、小児鍼の施術はどんな鍼、どんな流派だろうが数分で終わるものです。
そこに信用を高めるためには、何のために、どんな方法で、どう判断するかをきちんと、通じる言葉で説明することです。診察は施術以上に保護者に鍼灸の信用をアピールする機会なのです。
鈴木先生は
*子供の動き、声の調子など、子供全身をよくみる
*目の色、眼瞼結膜充血、貧血状態などを目をみる
*頸部、顎下のリンパ節の触診
*扁桃・咽頭の発赤のために口腔内の視診
*聴診器による聴診
*腹部の打診
*触診
*検温
を2分ぐらいで行っているそうです。
特に腹部打診と聴診器、リンパ節の触診を大切にしているようです。
腹部打診は治療前後の変化は保護者にも実感でき、治療効果の納得に一役買っています。
リンパ節を触診していれば、リンパの腫れを察知し、これからの発熱などを告げることができ、鍼によるドーゼオーバーによるものと区別することができます。
さらに、聴診器。鍼灸師では聴診器の扱いを学校などで教わる機会がなく、使うことに躊躇するかもしれません。
聴診器を当てることで、心臓や喘息などの呼吸の状態だけでなく、腸の動きなども知ることができます。特に小さな子供の疾患で怖い腸閉塞の疑いなどを知る手掛かりになります。
もちろん、東洋医学的な脈診など診察法で、多くのことを知ることができる方もいると思います。
鍼灸師同士でしたら、腹診だけでこんなこともわかった、あんなこともわかったと言えば、すごいと尊敬の眼差しを向けられるかもしれません。でも東洋医学を知らない保護者の方々にとってはどうでしょうか?腹診をして、なおかつ聴診器を当てて、言われたことと、どちらが納得できるでしょうか?
お医者さんだって、腹診を行って、疑いがあったら、エコーを撮ったりと、レントゲンを撮ったりと、複数の検査を行うことで確信に近づきます。
そういうことを考えると、鍼灸師として使える道具は限られていますが、感覚だけに頼るではなく、使える道具を活用することも大事です。
聴診器を学ぶ機会がないと言っても、今ではYouTube等で簡単に学ぶこともできます。
そんなわけで、今回の小児鍼の勉強会のzoomを閉じた後、そのまま、検索して聴診器の購入ボタンを押してしまいました。
鈴木先生は小児鍼は米山式しか使ったことがないそうですが、他の小児鍼を使っているのなら、それでも構わないそうです。ただ、聴診器などを用意して、保護者の方に納得してもらえる、小児鍼を行う治療院が一つでも増えることを願っているとの事でした。