Inventor / ダイナミックシミュレーション / 構想設計で活用 (2)
引き続き、構想設計の時にダイナミックシミュレーションの機能を活用する方法を説明します。
移載装置の構想設計での活用
7. 出力グラフ
出力グラフを使って、速度、駆動力などの情報を取出します。
位置
出力グラフのブラウザから、標準ジョイント→平面→位置フォルダを開きます。P[3] P[2] にチェックを入れると、図の様な位置の推移グラフが表示されます。グラフの上の数値は、時間ごとの位置を表しています。
※ 曲線になっているのは、ジョイントプロパティの強制モーションの設定で、緩和曲線を選択しているからです。
速度
出力グラフのブラウザから、標準ジョイント→平面→速度フォルダを開きます。V[3] V[2] にチェックを入れると、図の様な速度の推移グラフが表示されます。
加速度
出力グラフのブラウザから、標準ジョイント→平面→加速度フォルダを開きます。A[3] A[2] にチェックを入れると、図の様な加速度の推移グラフが表示されます。
駆動力
出力グラフのブラウザから、標準ジョイント→平面→駆動力フォルダを開きます。A[3] A[2] にチェックを入れると、図の様な駆動力の推移グラフが表示されます。
※ グラフが見づらくなるので、他の要素のチェックを外しています。
F = M x a (駆動力=質量×加速度)なので、加速度のグラフと同じ形になっています。数値欄には、駆動力の最大値が表示されています。最大値を見つけるには、コンテキストメニューの「最大を検索」を使用します。
ただし、この結果には、エンジンブロックの自重が入っていません。自重の影響を見るには、外部荷重として、重力を有効にします。
シミュレーションを再度実行したのち、出力グラフを確認します。駆動力に自重の影響が加味されていることが分かります。
自重を考慮すると、最大駆動力は、開始0.5秒後に20669.5 N となることが分かります。
8. 設計検討
必要な駆動力を基に、設計の検討を行います。駆動力に見合ったアクチュエータを選定します。
実際のアクチュエータでは、この例のような「速度が滑らかに変化する」よりは、「スタートとストップの時以外は等速度」という動きをします。
この動きを表すのに、強制モーションの設定で「曲線型傾斜」を「直線型傾斜」に置き換えればよいように思いますが、それだけでは実際には正しくシミュレーションできません。初速が0にならないからです。最初から等速度になるので、加速度が0となり、駆動力も0になります。(重力は除く)
正しくシミュレーションをするためには、強制モーションの設定で、加速区間と減速区間を新たに追加し、そこを滑らかにつなぎます。
この設定でシミュレーションをすると、位置と速度の出力グラフは以下のようになります。
加速度と駆動力の出力グラフは以下のようになります。
駆動力の最大値は、283685 N となります。より大きな駆動力が必要だとわかります。
データセット
シミュレーション実行までのデータセット、223 D51_DS 03 Lift and Traverse 04.iam は以下のファイルにあります。Inventor 2024 バージョンです。
役に立った!という記事にはチップをお願いします。チップは大変に励みになります。