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製図道具の思い出(3)

刷毛

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機械製図でにCADを使うようになって久しい。
刷毛の使い道を知らない人が多いと思うので説明する。

ほとんどの人は、消しゴムのカスを掃うのに使うのだと思っている。そういう使い方をする人も多いだろうが、それは違う。

線を引いたときに生じる鉛筆やシャープペンシルの芯の粉を掃うために刷毛を使う。線を濃く書くために力を込めると、芯の一部が粉上になって紙の上に散り落ちる。この鉛筆の粉を刷毛で掃いて落とすのだ。それを怠ると、手が汚れる。

「製図道具」でWEB検索をしたとき、どなたかが、「手が汚れるので手袋を使います。」といった書いているのを目にした。手が汚れないようにするのが先だと思う。

手を汚さないで線を引く方法。

手元をスケールの上に軽く乗せ、手先を安定させる。
そして、線を引き、文字を書き入れる。
一通り書き終わったら、手元を離しスケールを少し下に移動させる。
次に刷毛を使って鉛筆の粉を落とす。同時に、書いた内容に間違いがないか確認をする。
この繰り返し。
紙を触らないので手は汚れない。刷毛で常に掃いているので紙が汚れることもない。

思い込みがあるかもしれないが、汚い図面を書くものは設計も下手。図面を開いたときの第一印象が悪くなる。CADになると、どれも見栄えだけは良い。ちゃんと読図をしないと設計の巧拙がわからないようになった。

勾配定規

勾配定規

斜めの線を書くときは、ドラフターのスケールを回転させる。たしか15度ごとにロックできた。使用する角度は30度、45度、60度がほとんどだから普通の三角定規の出番は実はあまりない。

代わりに愛用したのが勾配定規だ。

機械製図で面倒なのはテーパ部の作図だ。面取りとか管用ネジなど、長い線ではないが作図個所は多い。その時に勾配定規を使用する。目盛を合わせれば45度にも30度にもできる。テーパは軸対称形状なので、反対側のテーパを書くときは、定規を回転させれば良い。その時、ネジの頭をつまみ代わりにできるのが大変に便利。

ドラフターのスケールは長い線を引くには良いが、短い線を連続して描くのには向いていない。三角定規に比べれば取り回しが重くて、作図位置をきめるのにちょっとだけ時間が掛かる。線の数が多いとこれば馬鹿にならない。

ステッドラー社のものが良いと聞いて買ったが、間違いなかった。いまだにガタがないし、固定用のネジも大丈夫。最近は、ほとんど使う機会がないから壊れないかもしれないが。

円定規

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円や円弧を書くのは円定規、コンパスは円定規に無いような大きな円・円弧を書く時に使っていた。直径がさらに大きくなる場合は、アール定規を使う。アール定規とは、円の一部分だけ(円弧)の定規だ。今、アール定規で検索するとアクリル板のものがヒットするが、当時は木製だった。自動車の溶接治具を作っていた頃のものらしい。

今回、Webで「円定規」を検索したが、色も形も変わっていないのにびっくりした。まだまだ使う人は多いようだ。CADを使えばよいのにと思う。

R3よりも小さい円弧(隅アール)は定規を使うのも面倒だったのでフリーハンド。慣れてくるときれいに書けるようになる。

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