RAPiD Design for Inventor を試してみた
【ミスミ】から、「Subject: Inventorをご利用中の方へ。RAPiD Designが対応開始しました。」というメールが来たので、試してみました。
試した結果、とても便利なのが分かりました。ただ、実設計で運用するには注意が必要だとわかりました。
インストール
メール中にある、RAPiD Designの紹介ページを確認する(お申し込みもこちらから) をクリックすると、紹介ページに移動するので、そこからInventor版の申し込みをします。ログインをして、表示される申し込みフォームに入力します。指示に従っていくと、インストールできます。
RAPiD Design の起動
Inventorを起動した後で、アイコンを使ってRAPiD Design を起動します。検索画面と設計画面の二つのウィンドウが表示されます。ふたつのウィンドウが連携して、検索→Inventorへインポートをする仕組みなっています。
キャスターユニットをインポートしてみた
手始めにキャスターでトライしました。画面からキャスターの写真を頼りにクリックしていき、図でハイライトしてるキャスターを選んでみました。
トライなので、適当に型番を選んで行きましたが、実際の設計の時は仕様を確認しながら選定が進められるようになっています。分かり易くてよいです。ただし、適当にやるようはいけないようで、最後に「RAPiD DesignではCADデータを提供していない商品です。弊社ECサイトからCADデータ入手をお願いいたします。」と表示されてしまいました。全部の3Dモデルが対応しているわけでは無いようです。
別のキャスターを選択しました。こちらはOKで、設計画面の方がアクティブになり、以後は設計画面で仕様を確定します。
モデル生成をクリックすると、パラメータ確認画面が表示されます。
これもOKで先に進むと、ファイルの保管場所などのインポート方法の入力画面になります。
保管場所は、前回に入力した場所を覚えています。また、ファイル名に意味付けできるように、前と後ろにテキストを追加出来ます。部品名とメーカ名が候補に表示されるのは気が利いていると思いました。ただ、キャスタと半角カタカナが候補になっているのはちょっと可笑しい。
※ 前回に入力した場所を覚えているというのが曲者です。設計中のモデルを置いているフォルダに保存する分には問題ないです。しかし、購入品だからライブラリとして保存する場合、都度、保存先を指定する必要があります。
インポートを選択すると、新規画面が表示され、キャスターモデルがインポートされます。
アセンブリにインポートを選択すると、アクティブなアセンブリモデルにインポートされます。
設計変更をする場合は、モデル編集を使う
設計画面のモデル編集をクリックすると、アセンブリモデル中のモデルの編集が出来ます。サイズ違い、材料違いなど表示されている仕様を変更することが出来ます。新しいモデルを生成し、それをインポートあるいは置き換えができます。開いているモデルが編集されるわけではありません。少しでも仕様が変われば(手配用の型式番号が変われば)、アセンブリモデルとそのすべてのパーツが新規に生成されます。
同一ファイル名のモデルがあちこちで生成されます。ただし、購入品単位でフォルダが生成され、その直下にすべてのモデルが配置されます。Inventorは、相対パスでモデルの保存先を覚えているので、相対パスが有効なうちは問題ありません。モデルを他の場所に移動するなどすると、相対パスではファイルが見つからず、名前解決の問題が起きると予想されます。(とても怖い)
その他全般
操作は直感的にできます。普段の設計でミスミのカタログを使っているのならほとんど迷うことなく操作できるでしょう。そのまま手配につながるのも便利と思いました。
気になる点もいくつかありましたので、項目別に説明します。
プロパティ
拘束
外観と材料
ドキュメント設定
プロパティ
手配用の型番が、部品番号プロパティに格納されます。その他のプロパティは空欄です。その代わりにカスタムプロパティがあり、部品名称やメーカー名が入っています。運用でプロパティ管理している場合は、それと整合する様に、インポート後にプロパティ編集が必要です。(カスタムプロパティの名前をカスタイズは出来ますが、カスタムプロパティに限られる事、マッピングできるプロパティが限られるので、結局、後でプロパティ編集が必要になります。)
特に、部品番号プロパティは注意が必要です。アセンブリモデルとしてインポートされていても、構成する全モデルが同じ値になっています。キャスターの場合、ブラケットもローラも同じ「CHAMK-S50-U」という部品番号プロパティです。Inventorの仕様では、同じ部品番号プロパティが同じなら、それは同一部品(どんなに形が異なっていても)と扱います。したがって、図のキャスター1個は、InventorのBOM上では、2個にカウントされます。
※ 24/11/07 現在で、RAPiddesign for Inventor を起動すると、この事を注意する「お知らせ」が表示されています。(24/11/08 追記)
拘束
アセンブリモデル内のコンポーネントは最初のコンポーネントだけ原点に固定拘束されますが、他のコンポーネントには拘束が付きません。不用意に移動しないよう、あとで固定拘束をかける必要があります。可動部がある場合は、ジョイントか拘束を設定する必要があります。この点、Solidworksにはあらかじめ合致拘束が付いている分便利なのでしょう。Inventorでは、インポート後に固定拘束を付加する作業が必要です。
外観と材料
外観は「既定」材料は「一般」で設定されます。
外観は既定になっていても、生成時のボディの色(例えば、R=202, G=209, B=238)が優先表示されています。ボディの外観のオーバライドをクリアしないと外観は設定どおりに表示されません。
「RAPiD Designから入手したモデルならモデルに触れるだけで寸法や材質の変更が可能」とあるのは、誤解を招く表現と思います。
寸法の変更は、パラメータの値が変更されてモデルの寸法が編集されるのではなく、指定した寸法に合わせたモデルが生成され、生成されたモデルと置き換えをするという意味です。材質も、Inventorの材料が変更されるのではなく、型番の材質の記号が変わるという意味です。
材料が「一般」(比重=1)のままなので、モデルの質量が正しくありません。注意が必要です
ドキュメント設定
Inventor には、ドキュメント設定といって、購入品や溶接アセンブリなどのアセンブリモデルであっても単一パーツの様に扱える機能があります。購入品というドキュメント設定がしてあればよかったのですが、RAPiD Design では「標準」で設定されています。ドキュメント設定をBOMで活用している場合は、修正が必要になります。
所感
Inventorでは、プロパティやドキュメント設定は、運用の根本となる重要な事項です。この点、RAPiD Designは、適当に作っている印象を持ちました。他のWEBサイトの購入品モデルも利用している場合は、運用をよく考える必要がありそうです。
部品番号プロパティを同一にしている点、ドキュメント設定で購入品扱いにしていない点で、Inventorの運用に載せるのが難しいです。また、BOMで数量がダブルカウントされるのは致命的な問題と思いました。
※ 記事に、誤解による誤りがあるかもしれません。ご容赦ください。指摘があれば修正します。
※ 3Dfindit も同じようなサービスをしているので、RAPiD Design と3Dfinditの比較の記事を書いてみました。