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Inventor / ダイナミックシミュレーション / Box and Plate 1 / ジョイント

「ジョイント」は、ダイナミックシミュレーションを使う上で、とても重要な概念です。Inventorの拘束にもジョイントという機能があり、概念はよく似ていますが、違うところもあります。

Box and Plate という簡単なアセンブリを例に、一番基本のジョイントである「空間的ジョイント」を使って、ダイナミックシミュレーション (DS) の基本を説明します。


Box and Plate

STEP 1 :  START

図は、ボックスとプレートの2部品のアセンブリモデルです。プレート部品を基準とし、ボックス部品を DS を使って動きを与える手順を消化します。

Box and Plate 01.iam

2部品とも固定拘束されています。
この状態で、ダイナミックシミュレーションを開始します。環境タブから、ダイナミックシミュレーションを選択します。

ダイナミックシミュレーションの開始

ダイナミックシミュレーションが開始され、ダイナミックシミュレーション要のタブが新規に表示されます。

ダイナミックシミュレーションのリボンメニュー
ダイナミックシミュレーションのブラウザ

2部品はともに固定状態にあります。この状態では、部品に自由度がないので設定ができません。

STEP 2 :  ボックスの固定拘束を削除

次に、ボックスのコンポーネントの固定拘束を解除します。

Box and Plate 02.iam

これで、ボックスは、Inventor で、自由に移動回転できます。ドラッグすると自由に回転、移動して姿勢を変えることが出来ます。

しかし、ダイナミックシミュレーションを開始しても、2部品とも固定フォルダに入ったままです。

ダイナミックシミュレーションで、動きを与えるには、2部品の間に関係が必要で、それがジョイントです。

STEP 3 :  空間的ジョイントの挿入

ジョイントというと、メイトやフラッシュ、回転など、2部品が、物理的につながっていなければいけない、という思い込みがあると思います。 アセンブリ拘束が、モデルがばらばらにならないように、コンポーネントの自由度を規制するものだからです。

ダイナミックシミュレーションのジョイントは、そうでは無く、2部品の間に関係を持たせるものです。部品が離れていても構わないジョイントもあります。

ジョイントには、Inventorのジョイントと同様に、いろいろな種類のジョイントがあります。ここでは、一番条件のゆるい「空間的ジョイント」の挿入を行います。

空間的ジョイントのダイアログボックス

以下が手順です。

  1. 2部品固定の状態でダイナミックシミュレーション環境に移動します。

    1. 環境タブからダイナミックシミュレーションを実行します。

    2. 固定フォルダに配置されていて、ダイナミックシミュレーションの設定が出来ない状態です。

  2. 次に、ボックスの固定構想を外して、ダイナミックシミュレーション環境に移動しますが、まだ、固定のままです。

  3. ジョイントを挿入します。

    1. 空間的ジョイントを挿入し、プレートとボックスの間にジョイントを挿入します。ダイアログボックスの指示にそって行います。

    2. 固定側のコンポーネント上の基準面を選択、続いて、基準点と、X軸の方向を指示します。

    3. 同様に、動作側のコンポーネント上の基準面を選択、続いて、基準点と、X軸の方向を指示します。

  4. 挿入が終わると、ダイナミックシミュレーションのブラウザの表示がかわります。

ボックスが可動グループに配置され、標準ジョイント:空間的1が作成された状態。
Basic Model Skeleton 03.iam

ボックスをドラッグをすると、自由に移動回転します。移動と回転が同時に出来て、Inventorのドラッグとはちがう動きだとわかります。

STEP 4 :  空間的ジョイントの編集とプロパティ

ブラウザ上でジョイントを選択し、コンテキストメニューを表示します。ここでは、編集とプロパティの説明をします。

編集を実行すると、ジョイントの設定時と同じ画面が表示され、内容を修正することが出来ます。

ジョイントを編集

プロパティを実行すると、図のダイアログボックスが表示されます。

空間的ジョイントのプロパティ

自由度のタブが6から1まであることがわかります。

ドラッグをすると、自由に移動回転したのは、このジョイントには自由度が6個あるからです。

自由度が多くあると、機械の振る舞いとしてはよろしくありません。 なので、実際のダイナミックシミュレーションでは、自由度をコントロールを制限して使います。

ちょっとした裏技 1

ダイナミックシミュレーションを開始したり、Inventorに戻ったりすることが多くなります。いちいち、タブを切り替えるのが面倒くさくなります。その時は、リボンメニューをカスタマイズし、Inventorのアセンブリタブに、ダイナミックシミュレーションのリボンを追加すると良いです。

リボンメニューをカスタマイズ

ちょっとした裏技 2

ドラッグして移動回転した後、元の位置に戻したいですが、簡単ではありません。そこで、コンポーネントを原位置に再配置するルールを iLogic で作りました。

Dim Base_Plate_1 = Components.Add("Base Plate:1", "Base Plate.ipt", grounded := True)
Dim Box_1 = Components.Add("Box:1", "Box.ipt")

動画

空間的ジョイントの挿入までの動画を用意しました。以下のリンクからダウンロードしてご覧ください。

データセット

Box and Plate の 01-03 各アセンブリのデータセットへのリンクです。適当なフォルダに解凍して、プロジェクト Box and Plate.ipj を使って、開いてください。

※ ジョイント(1)終わり

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