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Inventor / ダイナミックシミュレーション / 概要および基本原則

動きのある設備・機械で、より良い設計を行うのに便利なダイナミックシミュレーションの使い方について説明します。


概要

想定している読者について

動きのある機械の設計で仕様を決めるのに、以下の事で悩んだ経験はある機械設計者を対象とした記事です。

  • パワーのあるアクチュエータ(モータやエアシリンダなど)を使うと、購入品コストが上がる。

  • 不用意に軽量化すると、強度・剛性に問題が生じる。

  • 正確に力や反力・重量・剛性の計算をするには、時間が掛かる。また、その計算結果の正しさを証明できない

Inventor の ダイナミックシミュレーション(DS)の機能を使って、これらの問題を解決する方法を紹介します。

DSの機能は、大変に高機能で、いろいろなことに応用ができるのですが、反面、機能を理解するのが大変です。そのために、挫折する人が多いです。

そこで、この記事では、DSの概要を理解していただくことにまずフォーカスします。DSを使うために、最低限必要な点に絞って、説明をします。

シミュレーションとは?

さて、シミュレーションとは何でしょう?

シミュレーションと同じような意味合いで、アニメーションエミュレーションという言葉があります。それらの違いについて、AIにまとめてもらったのが次の内容です。https://chat.openai.com/

  • アニメーション(Animation):

    • アニメーションは、静止画像を連続的に表示することで、動きを表現する技術やプロセスを指します。一連の静止画像(フレーム)を高速で切り替えることにより、動きが生まれます。アニメーションは主に映画、テレビ番組、ビデオゲーム、ウェブコンテンツなどで使用されます。アニメーションは、手描きアニメーション、コンピュータグラフィックス、ストップモーションなど、さまざまな技法で作成することができます。

  • シミュレーション(Simulation):

    • シミュレーションは、現実世界の動作や現象をコンピュータ上で再現することを指します。シミュレーションは、実際の物理的なシステムやプロセス、または抽象的なモデルを利用して行われることがあります。シミュレーションは、科学、工学、医療、ビジネスなど、さまざまな分野で使用されます。シミュレーションは、特定の条件やパラメータを変化させることによって、システムの挙動や結果を予測したり、理解したりするために利用されます。

  • エミュレーション(Emulation):

    • エミュレーションは、あるシステムやデバイスを別のシステムやデバイスでソフトウェア的に再現することを指します。つまり、ある特定のハードウェアやソフトウェア環境を模倣して別の環境で実行することです。エミュレーションは、レトロゲームのコンソールやオペレーティングシステムの古いバージョンなど、既存のシステムやデバイスを再現するために使用されます。エミュレーションは、オリジナルのシステムと同じ動作や機能を提供することを目指しています。

アニメーションは静止画像を連続的に表示して動きを表現する技術です。シミュレーションは現実世界の動作や現象をコンピュータ上で再現し、システムの挙動や結果を予測・理解するために利用されます。エミュレーションは既存のシステムやデバイスを別の環境で再現し、同じ動作や機能を提供することを目指します。

アニメーションは、物理的にあり得ない、動きをさせることができます。フェイクと書いたのは、そういう意味です。

エミュレーションは、同じ動作や機能を再現します。 シミュレーションは、予測・理解を目的とします。 アニメーションのように嘘ではありません。 が、エミュレーションのように同じように再現するわけではないという事です。

Inventorのダイナミックシミュレーションですが、ダイナミックシミュレーションキネマティクスの手法をつかっています。

ダイナミックシミュレーションキネマティクス(Dynamic Simulation Kinematics)とは?

物体やロボットなどの運動を解析するための手法です。具体的には、物体やロボットの関節やリンクの動きをモデル化し、運動方程式に基づいてシミュレーションを行います。具体的には、物体やロボットの関節やリンクの動きをモデル化し、運動方程式に基づいてシミュレーションを行います。

この手法では、物体やロボットの形状、質量、関節の可動範囲、摩擦などのパラメータを設定し、初期条件(位置、速度)を与えることで、物体やロボットの動きを予測することができます。シミュレーションでは、時間の経過に伴って物体やロボットの位置や速度が計算され、現実の運動に近い結果を得ることができます。

ダイナミックシミュレーションキネマティクスは、機械工学やロボット工学などの分野で広く利用されています。例えば、自動車のクラッシュテストやロボットアームの動作解析などに応用されます。また、実際に物体やロボットを試作する前に、シミュレーションを行うことで、設計や制御の改善を行うこともできます。

ダイナミックシミュレーションキネマティクスは、物体やロボットの動きを数値的に解析することができるため、設計や制御の評価や最適化に役立ちます。また、物理的な制約条件や衝突検知、摩擦などの要素も考慮できるため、現実の運動に近いシミュレーション結果を得ることができます。これにより、物体やロボットの運動特性や挙動を詳細に理解し、性能向上や安全性の確保に寄与することができます。

ダイナミックシミュレーション(DS)を使うメリット

電卓やエクセル、計算プログラムと比較して、図のようなメリットがありmす。

ダイナミックシミュレーション(DS)を使うメリット
  • 質量や慣性モーメントの計算が不要

    • 機械設計で、運動に関する計算をするときには、質量や慣性モーメントを求める必要があります。力やトルクを求めるには、質量や慣性モーメントをが必要だからです。

    • Inventorのダイナミックシミュレーションでは、「質量や慣性モーメント」を設計者が計算する必要はありません。
      3次元モデルのマスプロパティから、自動的に計算されるからです。

  • 条件変更が容易

    • 3Dモデルにどのような動きをさせるのかの設定が出来れば、あとは、様々な条件でシミュレーションができます。

    • モデルの形状を変更したり、力や変位などをダイアログボックスで編集したりしたのち、シミュレーションを実行すれば、その条件でシミュレーションされます。

  • 変位・速度・加速度・モーメントなどの値を時間軸で確認できる

    • 手計算では、通常は、一番条件の悪いタイミングを予測して、その状態での力やトルクを計算します。

    • Inventorのダイナミックシミュレーションでは、例えば、直動シリンダの往復のどのタイミングが一番条件が悪いのかを、時間軸で確認ができます。

基本原則

基本原則 1: ニュートンの運動の法則

ダイナミックシミュレーションの基本原則は、ニュートンの運動の法則です。

ニュートンの運動の法則
第一法則(慣性の法則):
 物体は外力が加わらない限り、静止または等速直線運動を続ける。
第二法則(運動方程式):
 力は物体の質量に加速度を掛けたものと等しい関係にある。F = m × a
第三法則(作用・反作用の法則):
 物体Aが物体Bに力を及ぼす場合、物体Bも同じ大きさの反対向きの力を物体Aに及ぼす。

https://chat.openai.com/
  • 力 = 質量 × 加速度

  • トルク = 慣性モーメント × 角加速度

基本原則 2: ダイナミックシミュレーションは時間を分割する

  1. DSは、動きを時間軸で細分化し、その時間軸ごとに先の運動法則にしたがい運動の計算をします。

  2. その結果に基づき、モデルを移動・回転します。

  3. そのモデルの新しい姿勢に基づいて、1の運動の計算を行います。それを繰り返します。

構造解析はモデルを分割し、分割した微小モデルごとに計算を行います。同じように、ダイナミックシミュレーションは時間を分割します。分割した微小時間での動きを計算します。ある時間でのモデルの姿勢の微小時間後の姿勢を計算し、それを繰り返します。

基本原則 3: モデルは剛体

どのような形状であっても、モデルの変形は考慮されません。したがって、ゴムやバネの様に、大きく変形するモデルを扱うことはできません。

リアルな世界では、どんな物でも、衝突をした時に変形しますが、ダイナミックシミュレーションでは、変形しないものとして計算されます。

※ 概要および基本原則 終わり

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