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【ネタバレあり】『1917 命をかけた伝令』感想

久々のnote更新です。
そしてすっごい久しぶりに映画を観たのでその感想をば。

今回観たのはサム・メンデス監督の『1917 命をかけた伝令』。

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予告編

あらすじ

第一次世界大戦真っ只中の1917年のある朝、若きイギリス人兵士のスコフィールドとブレイクにひとつの重要な任務が命じられる。
ドイツ軍の退却に合わせ、追撃戦を展開しようとするD大隊に対し、攻撃中止命令を届けること。
D大隊にはブレイクの兄も所属しており、ブレイクはスコフィールドを連れてすぐさま目的地へと向かう。

【ネタバレあり】彼を突き動かしたものは何か

本作は多方面から評価されている。

・圧倒的なリアリティ
・全編ワンカットで撮り切った撮影技術

主にこの2つ。

確かに、この映画は監督のサム・メンデスの祖父が実際に第一次世界大戦に従軍し、伝令兵として活躍した経験をもとに作成されている。

また彼らが伝令として、味方の前線から敵地へ侵入し、その先にある味方の進軍エリアの最前線まで到達するまでの道程を全てワンカットで表現することで、彼らの息遣い、緊張感の途切れなさが伝わってくる。

しかし、私が今回感想として取り上げたいのは、
・スコフィールドを突き動かしたものは何か
ということ。

あらすじにも書いたが、今回の作戦に前向きなのは明らかにブレイクだ。

エリンモア将軍に呼ばれたのはブレイクで、それは彼が地図に強い男だから。さらには、彼の兄がD大隊に所属していることも将軍は把握しており、これも彼を奮起させるのに好都合だと考えたことだろう。

それに対し、スコフィールドは、呼ばれる必然性など特になかった。

ブレイクが呼ばれたとき、彼は「あと1人連れてこい」と言われ、その時隣で寝ていたスコフィールドを連れ立った。

ただそれだけなのだ。

もちろん、ブレイクとスコフィールドはもともと知り合いではあったようだった。ブレイクとしてはスコフィールドと共に行動することにためらいはなさそうだったし、スコフィールドもブレイクを相棒として良く思っているようだった。

しかし、それでも劇中ではお互いのことを詳しく知らなさそうな描写もいくつか出てくる。

スコフィールドがこんな死ぬ前提の作戦を頑張る理由なんてほぼないのだ。

それでもスコフィールドは何も言わずにブレイクと行動する。

もちろん、戦争中である。上官からの命令は絶対である。
作戦行動の中でも特別非人道的な部類ではないので、拒否する理由はないわけだが、スコフィールドはほとんど弱音も吐かずに行動する。

道中、弱音を吐いたのは1回だけ。

かなり序盤、ドイツ軍が捨てていった塹壕の内部に侵入し、中身をあらためていると、スコフィールドは爆薬の導線を見つける。これは危ないと思い慎重に行動しようとすると、その辺にいたネズミがその導線に引っかかり、爆発してしまう。

ここでスコフィールドはもろに爆発に巻き込まれ、がれきの下敷きになってしまう。

この時は幸いブレイクがすぐに引っ張り出してくれて、崩落する塹壕からなんとか脱出するのだが、この時だけはもう死にかけたわけだし、少し取り乱していたが、ブレイクに「じゃあ帰るか」と聞かれたら、すぐに冷静さを取り戻して「もう言うな」と牽制する。

こっからネタバレが入る。

この前後から、私は「スコフィールド死ぬじゃん~~~~」と思いながら観ていたのだが、廃棄された牛小屋でまさかブレイクが死ぬとは思わなかった。

この辺りからスコフィールドの顔つきが変わったようにも見えたが、そう考えると、やはり目の前で亡くした友人の遺志を継ぐ、というのが彼の動機になるんだろうか。

そういうことよりも、もう自分が命の危険を晒してでもやり始めてしまったことに対して、もう終わらせるまで無我夢中でただただ衝動的に動いていたに過ぎないのだろうか。

描かなくて良いのだと思うが、ここがちょっと気になった。

総評

ちょっとまとまりのない話を書いてしまったが、全体としては大変面白かった。

味方の前線を抜けて、撤退したと思われる敵地にたった2人で侵入していく緊張感。戦線が膠着していることを物語る、回収されていない死体の数々。
味方から別れた直後の敵からの狙撃や、逃れて急に逃げ込んだ地下の家には逃げ遅れた女性市民と誰の子かわからない子供。

それら一つひとつを乗り越え、やっとの思いで目的地へと到着したスコフィールドの胸にはどんな感情が芽生えていたのだろうか。。。

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