愛 3年 荒木将嵩
平素よりお世話になっております。
横浜国立大学体育会サッカー部副主将の荒木将嵩です。
まず初めに、日頃より弊部を温かくご支援いただいておりますスポンサーの皆様、ならびにOB、保護者の皆様に、心より感謝申し上げます。皆様のご支援があってこそ、我々の活動が成り立っていることを深く胸に刻み、部員一同努力を惜しまず精進してまいります。引き続き、ご支援ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
「自分はなぜ副主将を選んだのか」
今シーズンはそんなことをよく考えた。
2022年5月。
おそらく、チームを牽引する存在に憧れを抱き始めたのはこんなにも初めだったと記憶している。入部当初でまだ自分の立ち位置が不安定だった時期、自分の目に映る首脳の姿は、ただただカッコイイと思った。誰よりも声を出し、時には厳しい言葉でチームの足並みを揃え、ピッチ内外での自分の姿をガラッと変えられる。そんな存在になりたい、自分もそう思われたい。これが一番はじめのきっかけだと思う。
2022年10月。
代替わり後には、スタメンを任せてもらえるようになった。首脳を目指すことをぼんやり意識し始めたこの頃、一年後にその立場を得るには、それ相応のサッカー力(さっかーりょく)が必要だと思っていた。なぜなら、自分には周囲に働きかける頭脳もないし、人一倍熱い想いを持っているわけでもない。どうすれば首脳を任せてもらえるか。どうすればみんなに信頼され、引っ張っていくことを許してもらえるか。その唯一の方法が、試合に出て結果を残すことだと思った。自分が思い描く首脳の姿とは、ピッチ内の自分のプレーと姿勢でみんなを引っ張っていくことだと考えた。
2023年3月。
前監督との面談をきっかけに、首脳としての役割について本格的に考えるようになった。首脳はこうあるべきで、そのためには今からこういったモチベーションでチームに働きかけなければいけない――。多くの言葉を交わしたが、それを自分が実践できるのか、不安な気持ちが大きかった。明確な行動指針が自分の内で定まらないまま、リーグ戦が始まってしまった。
2023年10月。
学習院大学で行われた関東大学サッカーリーグ東京・神奈川最終節。チームは1-2で敗北。関東3部の結果次第による降格圏内という順位が確定した。しかし、この日を結果だけで語るのは寂しいと思う。観客席には、懐かしい顔ぶれが揃い、思い出すと温かい気持ちなるような光景が広がっていた。アウェイにも関わらず、少なくない人数の関係者が会場に足を運び、当代の横国サッカー部がいかに愛されていたかを物語っていた。その景色を作り上げたのは間違いなく組織のトップ、首脳陣のふるまいの結果だろう。一年後、自分たちもこうありたいという目標が、はっきりと見えてきた気がした。
そうして、期待と不安を胸に抱えながら、副主将になった。
さて、始めの問いに戻るが、自分はなぜ副主将を選んだのだろうか。
始めはその存在のかっこよさに憧れ、自分なりの首脳像に目指して努力し、不安を抱えながらも、他人に愛されるチームをつくりたいという思いで選んだ。副主将を選んだ理由は、時の流れとともに少しずつ変化していった。
では、今シーズン終盤を迎えた今、なぜ選んだと言うのだろう。
チームを愛するために選んだ。
これが今の自分の答えだと思う。
二部練。朝早く来ること、自分のカテゴリーのあとに残ってサポート、指導することは別に嫌じゃなかった。
責任ある立場にあるにも関わらず、それっぽく役割を果たすことはできてしまった。
でも、なによりも嫌だったのは、そうしてなにも嫌と思わず、与えられた役割をただなんとなくこなし、淡々と過ごす日々と自分自身だった。
いまでも後悔する。
どうしてもっと早くに向き合わなかったのか。
どうして自分からなにも言わなかったのか。
かつての首脳に二度、同じことを言われて、やっと目が覚めたような気がした。そうして視点を変えてみると、これまでとは全く違う景色に見えた。
他カテゴリーの練習を見ていると、日々変わろうとしている選手や、その姿に触発されて奮起する選手がいた。週末の試合で結果を残すと、自分のことのように嬉しく思った。
リーグ戦に出場し、長谷工ユニに袖を通す重みが変わった。応援の声が、以前よりはっきりと耳に届くようになった。
こんな言葉でしか表現できないのが苦しいが、たしかに自分の中でチームへの気持ちが固まったと思う。こんなにも大好きなチームを、自分が引っ張っていくことを許してくれるチーム全員に心から感謝したい。願わくは、こんな大好きなみんなと、結果という形で喜びを分かち合いたい。
関東大学サッカーリーグ東京・神奈川最終戦 vs 芝浦工業大学
10月20日(日)12:45キックオフ
@横浜国立大学フットボール場
この一年間の集大成。
最高の舞台を整えてくれたチーム全員に感謝し、
自分の持てる力のすべてを出し尽くし、
最後の最後まで死ぬ気で戦うことを誓う。
横浜国立大学体育会サッカー部副主将 #14#9荒木将嵩