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墜落少女 番外編
部屋に飾ってあった
百合と霞草。
自分たちの存在を知らせるかのように
甘くて濃厚な強い香りを辺り一面に漂わせていた
大きく毒々しい中に優美さを備えたそれは
私が目指す理想像そのものに見えた
そしてそれを立てるかのように
それの周りには小さい花が散りばめられていた
その何とも言えない
美麗なシルエットに、
打ちひしがれた私が心ごと奪われるのに
そう時間はかかるはずもなかった
今思うと百合に込められた花言葉を
知らぬうちに感じとって
共感していたのではないかと思う
百合の美しさに呑み込まれてしまいたい
くだらないことを考えながらも
来世に期待しておこう
とより強く腹を括っていた
泥だらけのこの人生、
どうか最期だけは清らかなままで。