#36 📷 私の好きなフィルムシミュレーション　FUJIFILM 富士フイルム

2024年9月25日 03:20

FUJIFILMのカメラを使っているならば、やっぱりここの話はしておきたいと思うのがフィルムシミュレーション。
フ”イ”ルムシ”ュミ”レーションは言い方が間違いだ、とか細かく言うつもりは無いけれど、一応読み方も気にしてはいる。
例えば接客営業をして、お客様の名前を間違えるのが失礼なように、メーカー様が悪戦苦闘して作った機能であるならば敬意を払いたいというのが私のスタンスであるからだ。
とは言っても、強制するわけでも押し付ける訳でも無いので同調は求めてはいない。
一応で一言を記事に添えるのみである。
実際は、一文字間違えているから何かがあるかというと、そこまでではないのだから。

という訳で、私がX-PRO3で使っているフィルムシミュレーションのレシピを記載する~~だけの記事となる~~ので興味がある方は読んで頂けたらと思う。
ついでに、FUJIFILMのカメラを使った事を無い人や使っているけどあまり意識したことが無かった人へ向けて私なりにフィルムシミュレーションは何なのかも”簡単に説明”できればと思う。

単純にフィルムシミュレーションのレシピだけが知りたい方は、目次より飛んでいただけたらと思う。

①フィルムシミュレーションとはなんなのか？

私が思うフィルムシミュレーションの所感

私はカメラを趣味として楽しんでいるけれど、最初はデジタルカメラから始めた。（幼少期に”写るんです”を使った事はあるが、趣味としてではない）
つまり、35mmフィルムを撮影シーンや撮りたいイメージに合わせて選ぶなんていう事はした事が無かったのである。なのにも関わらず、FUJIFILMのXシリーズのカメラからカメラ趣味を始めたのでフィルムシミュレーションと言われてもピンとはこなかったのである。

選んだ瞬間にファインダー内の色味が変わり
どう変わるのかがすぐにわかるようになっている

フィルムシミュレーションという名前が付いているけれど、これはいわゆる”プリセット”だったり”フィルター”と呼ばれるような物と同じ機能である。
他社ミラーレスで言うところの、クリエイティブルックやピクチャーコントロールのようなもので、撮影シーンに合わせて切り替える機能というのが本質である。
何もFUJIFILM特有のモノでは無い。
では、何故そんな機能にフィルムシミュレーションという懐古じみた名前を付けているのだろうか？

それは、フィルムメーカーとして長年色作りをしてきたFUJIFILMならではの拘りだろうと私は思う。
カメラの機能としての画像処理の切り替え、では無く、あくまでフィルムカメラでのフィルムを選び入れ替える所作としたい、ということなのだろう。
つまりは「人物撮影は人物撮影モードにしよう」というところを「この人を撮るならこのフィルムじゃなきゃダメだ」という形にしたのだと私は思っている。
あんまり上手い文章では無いがわかってもらえたら嬉しい限りである。

35mmフィルムとの関係

名前は違うが参考にしたのは
この系統かなというフィルムシミュレーション
パトローネの色は写真の出来上がりの色味を示唆している

フィルムシミュレーションは、昔のフィルムをシミュレーションした（ここでは、再現したの意味と捉えていいだろう）とよく言われるのを耳にしている。
それは、正解なのかもしれないが厳密に言うとそういう訳ではない。

例えば、アスティアというリバーサルフィルムがある。アスティアというフィルムシミュレーションがある。
この２つで撮った写真が同じ色味になるかというとそうでは無いので、そこを指摘する人もいるかもしれない。
フィルムを再現しきれて無いではないか、とやや嘲るような言葉もあるだろう。
もちろん、レンズやフィルムとデジタルセンサーだからという違いからきている違いでもある。

実際は、アスティアというリバーサルフィルムで目指した色味を、再現したのがフィルムシミュレーションである。つまりどういう事なのかと言うと、アスティアは人物撮影に向けたフィルムだったから、FUJIFILMにとって人物撮影用に仕上げた色味にアスティアという名を冠しているという訳なのである。
それは、フィルムの再現では無くて、フィルムの時に目指した表現の再現なので、実際のフィルムの色味と違うのは当然という訳だ（目指すところは同じなので似てはいるが）

例えるならば、昔のテレビゲーム等のキャラクターを現すドット絵は(例えばスーパーファミコンのドラゴンクエストとか)、イメージとなる2Dイラストを目指していて、本来はドット絵にしたい訳ではなく技術的にそうなってしまった訳だ。
それを、最新の技術で同じテレビゲームをリマスターした場合には、イメージとなる2Dイラストに忠実で綺麗な3DCGモデルへとなっているだろう。
もし、ドット絵が最初から目指している物ならば、どれだけ最新の技術を使ったとしても、3DCGモデルではなくてより鮮明なドット絵が出来るはずだ。
それは、ドット絵が目指す所ではないからである。
この例えで言うイメージした2Dイラストが目指すべき色味であり、それを再現しようとしたドット絵がフィルム、3DCGモデルがフィルムシミュレーションとなる。
上手い例えではないかもしれないけれど、なんとなくでわかってもらえたらと思う。
あとは、フィルムよりデジタルが優れている、という考えではなく、例えとしての文章なので一応注意書きとしておく。

なので、フィルムシミュレーションにはそれぞれテーマがあると思うのだけれど、特定のフィルムの名前を冠してあったとしてもそのフィルムの再現ではないというところは覚えていて頂けたらと思う。
詳細はこちらの動画を見てもらった方が早いかもしれない。
全部見て頂けたら嬉しいと思うけれど、忙しい方は③だけを見て頂ければと思う。

フィルムシミュレーションをオフにする方法

フィルムシミュレーションは面白いのだが、オフにしたい。他社カメラから来た場合や、FUJIFILMを使ってみてすぐの場合は、画像処理が掛かっていない自然な色が良いという気持ちも有るだろう。
でも、見出し詐欺にはなるが、フィルムシミュレーションをオフにする事は出来ない。
けれど、Pro Neg.HiとPro Neg.Stdというフィルムシミュレーションが測色に近いと言うインタビュー記事もあるので、オフにしたいという気持ちをお持ちの方は、このフィルムシミュレーションをベースにしてみてはいかがだろうか？
測色に近いということは、そのままの色に近いという意味合いでいいと思うので。

ちなみに、うんちくを垂れてはみたが私は試した訳ではないので責任は取れないという保険は掛けさせてもらう。
検証してみたい気持ちもあるけれどなかなか時間が取れなかったり、カラーチャートを使用したりした綿密な検証をするような技術を持ち合わせていないので。

フィルムシミュレーションだけではないFUJIFILMのJPEG

JPEGと言うと、撮影したデータをカメラに内蔵された画像エンジンにて処理されて絵が完成するわけなのだが、それらにはパラメータを変更できる機能が各メーカー共通してあると思う。
ただし、どこまで変更できるのかはメーカー毎に違う。
FUJIFILMは、撮った写真を後から調整するというデジタルカメラとしての考え方より、撮った写真はその場で完成するというフィルムカメラに近い考え方をしている。（自家現像をしない、一般ユーザー目線での話だとは思うが）
なので、JPEGに関する設定項目が多く同じカメラでも人それぞれの個性が出しやすい様に思う。
(あくまで、JPEG撮影のみで他メーカーと比べて)
写真を編集するよりは撮る方に時間を割きたい、写真を撮るのは好きだけど編集は苦手、という人にはオススメである。

余談だけれど、最近は他社もJPEGにも力を入れているような気がしていて、ライカもLeica Q3からライカルックを搭載していたり、ルミックスもリアルタイムLUTを搭載していたり等、編集しなくてもいい色味を出す事がトレンドのようにも思う。
プロユーザーはともかく、ライト〜アマチュアユーザーであれば編集しなくても良い写真が撮れるならそっちの方が良いのは明白だろう。
そういう意味では、FUJIFILMの考え方は一歩先を駆けていたのかもしれない、と私は思う。

参考に、私の手持ちカメラでJPEG設定を比べてみようと思う。

Leica M11のJPEG設定1
フィルムモードの項目以外は色味に関する設定というよりは
ファイルサイズ等のシステム的なものに思う

Leica M11のJPEG設定3
それぞれのプリセットから、中のパラメータを
3項目のみ調整できる

Leica QのJPEG設定
古いカメラということもあり、
撮影シーンに応じたプリセットは無い
このページにある3項目のパラメータのみ調整ができる。
最新のLeica Q3ならば設定できるパラメータは多いはずだ

X-PRO3のJPEG設定1
フィルムシミュレーションの他にも設定できる部分が多い

X-PRO3のJPEG設定2
この辺りは他のメーカーと変わらないのではないかと思う
段数に関しては、他メーカーの方が多い場合もある

X-PRO3のJPEG設定3
ホワイトバランスには、オート、太陽光等選ぶ項目の他に
シフト機能がある為、同じホワイトバランスでも
変化が与えられる
他メーカーのカメラにあるのか調べてみたが、SONYとRICOHのカメラの取説には見当たらなかったのであまり無い機能なのではないかと思う

参考になったかわからないけれど、X-PRO3の選択項目の多さがわかる。
SONYのカメラを私は持っていないのだけれど、クリエイティブルックは調べたところコントラスト、ハイライト、シャドウ、フェード、彩度、シャープネス、シャープネスレンジ、明瞭度の項目が調整できるようである。
他社メーカーも少くはないのだが、FUJIFILMは撮って出しに特に力を入れているというのがわかるだろう。

FujiXWeeklyというアプリ

フィルムシミュレーションが、往年のフィルムを模した物ではないと話はしたが、それとは別としてフィルムの色味を再現したいという人達は多い。
フィルムカメラで撮った写真が何故魅力的なのかこの記事では語らないけれど、
FUJIFILMのJPEGならば、撮って出しでフィルムの再現が出来るのではないか？
撮って出しでフィルムの再現が出来るのであれば、撮影体験がフィルムカメラの感覚に近付くのではないか？
そういう風に考える人は多いようだ。
その集大成が、FujiXWeeklyである。
各々がフィルムを再現してみた設定を”レシピ”として作例とともに残してくれているので、好きな色味や昔使っていたフィルム等があればぜひ参考にしてみてほしい。
アプリの方が使い易いので、私のオススメはこちらである。

②X-PRO3で私がよく使うフィルムシミュレーションレシピ（2024年9月現在）

完全に前置きが長くなってしまったのだけれど、それぞれの設定をメモがわりに置いておこうと思う。
基本は先ほど紹介した、FujiXWeeklyのレシピを元にしている。微妙に設定を変えたところもあるかもしれないし、変えていないかもしれない。
正直覚えていないので、そこら辺はご理解頂けたらと思う。
以下は撮って出しとなる。
Litというアプリの関係上、焦点距離はフルサイズ換算のものとなる。
また、一部HDR撮影をしているので、ダイナミックレンジが通常のシングルショット撮影と異なる上に画角が多少クロップされているものもある。

1.kodak portra 6400 +1

FujiXWeeklyよりレシピを取ってきて多少アレンジを加えたものだったと思う。
日中の写真としてよく使う。

元ネタであろうフィルムも貼っておく。
感度はそれぞれで選んでもらえたらと思う。

2.classic color

Youtubeのショート動画で流れてきたフィルムシミュレーションに少しだけ変更点を加えたものだったと思う。

kodak portra 6400+1
~~レンズはたぶん、APO-LANTHAR 35mmF2.0VM~~
追記レンズはc-summicron 40mmf2.0

この２つは、その時の環境光の具合で使い分けている。
似ているようで、少し違うのがわかるだろうか？

3.fujicolor nph 6400+1

こちらもFujiXWeeklyよりレシピを取ってきて多少アレンジを加えたものだったと思う。
なんとなく古いネガの写真という感じがして好きである。
ただ、けっこう使う場面は選ぶという印象だ。
暗めで撮った方が面白いかもしれない。

4.cinestill800t 6400+1

こちらもFujiXWeeklyよりレシピを取ってきて多少アレンジを加えたものだったと思う。
夜のスナップの写真としてよく使う。
同名のフィルムは使った事がないのだが、いつか使いたい。
Hironさんという方のYoutube動画を見てからフィルムが気になり、フィルムシミュレーションで名前を見つけたので使ったところお気に入りになった。
日中では、青くなってしまうので要注意だ。

フィルムも貼っておく。
いつかは使いたい、と思いながらまだ買えてないフィルムである。

5.CN

こちらは、みんなが好きなクラシックネガから自分なりにアレンジしたものである。
一時期クラシックネガを使わなくなっていたのだが、久しぶりに使いたくなり作ったレシピとなる。
常用できるものではないと思っているが、たまに使うと良い。

③まとめ

ここまで読んで人それぞれ思うところもあるだろう。
この記事の中でも、それは違うと思ったりする人もいると思う。
この世の物事は、正解不正、0%100%で綺麗に別れるものだけでも無いし見る立場で変わるものもある。
つまり、あくまで私のフィルムシミュレーション論であるので、参考にして自分の中に落とし込んでもらえたらと思う。

私にとってのフィルムシミュレーションを短く纏めるならば、このシーンを撮る為にこのモードにする、という普遍的な考え方から、このモードで撮ったらどんな写真が撮れるのだろうか？と、逆を行かせてくれるような機能である。
それは、シーンに合わせてフィルムを選ぶ楽しさと、新しく買ったこのフィルムだとどんな写真が撮れるんだろう、という好奇心を思い出させてくれるのである。
フィルムカメラを一度経験した方がより、フィルムシミュレーションを楽しめるのかもしれない。

フィルムシミュレーションがなくても、RAW現像でまとめて好きな色味を加えればいい。そう思う人もいるだろう。
私はなんとなく、トリミングとデジタルテレコンの関係に似ている気がしている。
撮った後にトリミングするのと、撮る時にデジタルテレコンでクロップするのも同じなのだが、撮影する時の構図の決め方やインスピレーション等、人の感性に影響するようなところで違ってくるのだと思っている。
同じようにRAW撮影で後から色味を決めるのと、JPEG設定で色味を決めながら撮るのでは、順番が違うけれどやっている事は一緒で、でも結果は違うように思うのである。
どちらが正しいとかではなく、どちらが好きかというだけなのだと思うけれど。

はたまた、どちらもしていて使い分けるのが良いのだと思う。
私も普段の日常写真はJPEGでの撮影だが、友人の結婚式のような一大イベントではRAWで撮影する。
FUJIFILMのカメラの時はJPEG撮影が基本だが、M型Leicaの時はRAWで撮影する。

そして、加えて言うとするならば撮った写真を確認した時に良い写真がそこにもう出来ている、というのはなかなか心が高揚するもので、こんな良い写真が撮れてるならもう少し撮っておこうかな、とシャッターにかける指も軽くなるのである。

フィルムカメラのような、とは言えないが
デジタルカメラにしては、撮影体験としての所作は
寄せてきていると思う

④終わり

フィルムシミュレーションレシピは、カメラに内蔵されてあるセンサーや画像処理エンジンの世代や、搭載しているフィルムシミュレーションの種類により制約があるので注意が必要である。
その代わり、数が豊富なのでいろいろ試してほしいと思う。
私も紹介したレシピに辿り着くまで他にも試しているし、これからも新しいレシピを見つけたら上書き保存していくだろう。

フィルムカメラを昔していた人であれば、廃盤になったフィルムレシピによりその写りの再現も楽しめるかもしれない。
もちろん、完璧なものではないかもしれないがレシピからアレンジを加えて試行錯誤するのも楽しみの一つである。

ちなみに、JPEGについてはFUJIFILMが一強という事はないと私は思っているので、変な偏見の元記事を書いているわけではない、つもりである。

今回はこんなところとする。
普段使っているJPEG設定を貼り付けるだけの簡素な記事のつもりがいつもの如く長くなってしまって申し訳ないところである。

読んで頂きありがとうございました。

私もまだ読んだ事はないのでオススメするのはおかしいと思うのだが、気になるのでリンクを貼っておく。
カラークロームエフェクト等の機能について詳しく知りたいとか、詳しく勉強したいと思う方には良いかもしれない。