#12 🎞️📷rollei35S その1

2024年7月20日 04:57

私が今所有しているフィルムカメラで1番好きな物はどれか？
そう聞かれると、迷いなくこのカメラが好き！とrollei35Sを手に取るだろう。初めて買ったフィルムカメラと言うのもあるけれど、その後に使ったフィルムカメラと比べてもコンパクトなサイズに必要な機能が全て入っている感じが物凄く好きなのだ。
このカメラを世に出した方には感謝すると共に、物凄く頭の良い人なんだろうな、と人柄を想像してしまう。

おそらく人気なカメラだと思うので、解説記事も多いと思うのだが私なりに紹介記事として今夜もダラダラ書かせてもらおうと思うのでお付き合いして頂ける方はそのまま読み進めて貰えたらと思う。
また、最近ではローライ35を元にしてローライ35AFというカメラの製作発表もされているようなので、これを機にどんなカメラなのかを振り返るのもいいと思う。

カメラ単体の使い方だけが知りたい場合は、目次から「rollei35Sの使い方」まで飛ばして頂きたい。

Voigtlanderから

以下は私が調べた限りの簡単な物である。
詳細を書きすぎると長くなり過ぎるので、気になるところだけの抜粋とさせてもらう。

Voigtlander（フォクトレンダー）と言えば以前紹介した、株式会社コシナが発売しているレンズのブランドになるのだが、実はこれは元々は別の企業で使われていたブランドの商標をコシナが許可を得て使用しているのである。
その大元となるのは1756年に、オーストリアで創業された光学機器メーカーで、実験用レンズや拡大鏡、主にオペラグラス等販売をしていたようである。
※オペラグラスとは、劇場観賞用の双眼鏡である。
1849年頃から、ドイツの方に支店を設けたり移転する。その後はいろいろとある中でカメラやレンズの製造を行うのである。
その後は最終的には以前に紹介したツァイスイコンに吸収合併されるのである。
（軽く調べただけなのだが、”日本製の安くて良いカメラ”に押された事もツァイスイコンとの吸収合併への要因となっているかもしれない）

ツァイスイコンに吸収されるまでの間に発売したレンズにつけられていた名前として、カラースコパーとカラーヘリアー(1949年発売)、ウルトロン（1950年発売）、ノクトンとアポランター（1951年発売）等がある。
これらは、現在のコシナからも同名のレンズが出ている。コシナさんのこういう粋なところは物凄く良いなぁと個人的は思う限りである。先人に敬意を払ったロマンのあるメーカーなのだと思う。

その後として、企業としてのフォクトレンダーは無くなったのだが、商標としては後述するrollei（以下、文章中はローライと記載）の手に渡り、ローライが倒産（1981年）した後にドイツのプルスフォトの手に渡る。途中から、プルスフォトとリングフォトの共有名義となる。

そこから、1999年にコシナが商標使用権を貰えた事で現代に繋がっていくのである。
ちなみに、ドイツのプルスフォトについては調べてもよくわからなかったが、どうやらカメラメーカー等ではなく流通業者のようである。

フォクトレンダーとは、コシナ公式

あと、ここまで書いてから気付いたのだが、コシナさんのホームページにも綺麗にまとめられていた物があったのでリンクを貼っておく。気になる人は熟読すると良いだろう。

rolleiとは？

ローライの名前に辿り着くまでに長くなったが、ローライは1920年に創業されたドイツのカメラメーカーである。
最初の社名はフランケ•ハイデッケ社となると思われる。(Franke & Heidecke GmbH ）
先ほどフォクトレンダーの話をしたのは何故？と言う声が聞こえてきそうではあるが、ローライの創業者の中にフォクトレンダーを退社したパウル・フランケという方が居たからである。
フォクトレンダー社から独立したという感じだろうか？
こういう繋がりがあるのは個人的には外せないところなので長々と書かせてもらったという訳だ。

二眼レフフィルムカメラの元祖として有名なローライフレックスを作ったのもこの会社である。
ローライフレックスは1929年に発売されている。いつかは手にしたいカメラではあるが未だに高い価値も持っていて中々手が届かない。

手持ちで他のローライとして、110フィルムカメラA110
コンパクトさとデザインの融合が凄い。

そして、ローライ35と呼ばれる高級コンパクトフィルムカメラは1967年頃に発売される。

1971年に、フォクトレンダーの商標権を購入して、1981年に倒産してしまった。というのがローライについての簡単な紹介となる。

実はカメラを購入する時にもだいたいは調べて知っていたのだが、今回調べ直して1982年にローライフォトテヒニーク（Rollei Fototechnik GmbH)として再生していたとの文を見つけた。
2004年からはRollei GmbHとなっているようだ。

rollei35について

135mmフィルム（以下、35mmフィルム）に対応したレンズが交換できない、コンパクトフィルムカメラである。
とにかくバリエーションが多く、搭載されているレンズが違う、LEDに対応している、測光機構が違う、〇〇周年記念モデル、等がかなり多い。

rollei35のバリエーション

下記はWikipediaや、季刊クラシックカメラNo.18を参考に書いてみたものになる。
参考画像も貼りたかったが、著作権に詳しくないのと、ローライ35のフリー画像を探すのができないので文章のみでの説明とさせてもらう。

もし所持している方が居て、画像を提供してくれる方がいるのであればコメント頂けると嬉しいです。

①rollei35(1966年)

レンズは40mmf3.5が搭載されている。
ただし、下記の2パターンある混在しているようだ。
カールツァイス　テッサー40mmf3.5
シュナイダー　　クセナー40mmf3.5
写りの違いについては私の手元に無いので言及はしない。
製造国がはドイツの部品をシンガポールで組み付けシンガポール製と、自製品としてのシンガポール製とドイツ製の物という3パターンがあり、ドイツ製の物の方が価格が高い傾向にある。

性能に差はないと思うけれど、詳しいところまではわからなかった。

露出計を搭載しており、使用には電池が必要である。
カラーはブラックとシルバーが存在する。
アクセサリーシューとフィルム巻き戻しクランクレバーは、カメラの底面に付いている。

また、ローライ社50周年モデルとしてゴールドカラーも存在する。(1970年)

②rolleiB35(1969年)

レンズがカールツァイスイコンのトリオター40mmf3.5に変更されている。
露出計がセレン光電池となり、電池が無くても使用出来るようになっている。精度は、無印の方がいいと思われる。
スローシャッターも廃止。
立ち位置としては、レンズや露出計等にコストダウンを施した無印の廉価版というところだろうか。

③rolleiC35(1969年)

rolleiB35から露出計を省いた廉価版となっている。
おそらく1番機能が省略されているのではないだろうか？

④rollei35S(1974年)

レンズがカールツァイスのゾナー40mmf2.8に変わっている。ただし、ローライにて製造しているゾナーでローライ社独自のコーティングである、HFTコーティングをしているようだ。
詳しくはわからないが、反射防止のマルチコーティングとの事。

ローライ社60周年記念モデルとしてゴールドモデルが存在する。(1979年)
通常はブラックとで、遅れてシルバーモデルも発売されている。(1979年)
また、444台限定でプラチナモデルも発売されている。(1986年)ただし、プラチナモデルにはSの刻印は無い。

⑤rollei35T(1976年)

初代rollei35の復刻版で、レンズはテッサー搭載のみとなっている。
無印との見分けが付くようにTが付いたと思われる。

⑥rollei35LED(1978年)

rolleiB35の露出計をセレン光電池からSPD式に変更したもの。SPD式とは、フォトダイオード式と呼ばれる物の１つで、半導体素子を使用した露出計だ。
測光素子がシリコンフォトダイオードの物を指す。
余談だが、同じフォトダイオード式でもガリウムヒ素フォトダイオードはGPDと呼ばれるらしい。

⑦rollei35TE(1980年)

rollei35Tから、ファインダーの中で露出状態が確認出来るようになったもの。

⑧rollei35SE(1980年)

rollei35TEから、レンズがrollei35Sと同じゾナーのタイプになったもの。

⑨rollei35クラシック(1991年)

復刻モデルだが、底面に配置されていたアクセサリーシューが天面に移設されたもので、様々なカラー展開がされている。
ゴールド、プラチナ、ブラックメタル、チタン等のモデルが存在する。
レンズはrollei35Sと同様のゾナータイプとなっている。
rollei35Sに天面アクセサリーシューを追加したモデルという方がわかりやすいかもしれない。

⑩rollei35royal(1996年)

専用の木製ケース入った、限定モデル。
クラシック同様アクセサリーシューが天面に来ており、レンズはゾナータイプとなる。
今回調べ直していて初めて知ったモデルで検索したら海外のオークションサイトで画像を見つけたのだが、確かにロイヤルと言った感じである。
海外サイトという事もあるので、リンクはあえて貼らないので、気になる人は調べてみて欲しい。

⭐︎rollei35AF

番外編だが2024年7月現在まだ発売されていない復刻版のカメラである。
制作が発表されており、メールアドレス登録をしたら情報を時たまに送ってくれる形となっている。
形を見たところ露出は自動でオートフォーカスも搭載しているようだが。
ダイヤルの表記を見ているともしかしたら、マニュアルで露出は決められないのではないだろうかと私は危惧しているところである。

ちなみに、本家ローライ製ではなく、香港のカメラメーカーであるMiNTという企業が作っているようで、ローライ社からのブランド使用権は得ているとのこと。

取り上げた記事のリンクを貼っておく。

rollei35Sについて

長くなったがここから、私の持っているrollei35Sについて書いていこうと思う。
基本情報として、シャッタースピードは下記の通り。
B,1/2,1/4,1/8,1/15,1/30,1/60,1/125,1/500,(秒)
絞りは下記の通り。
2.8,4,5.6,8,11,16,22
ISO感度のダイヤルは下記の通り。
25,50,100,200,400,800,1600
撮影可能距離は0.9~無限遠

露出計はカメラ天面に付いていて、オレンジの丸い針に白い針が入るようにシャッタースピードと絞りを調整するようにする。
露出計の電池は、本来は水銀電池のPX625という物らしいが、現代で使うのであれば互換性のある電池を使用するのがいいだろう。
確かこれだったと思うのでリンクを貼っておく。
一応購入は自己責任でお願いします。

外観　

ハーフカメラを私は持っていないのだが、ハーフカメラよりも小さく本当にポケットに入ってしまう。
この小ささの中に必要な機能が全て詰まっているのは素晴らしい。
それでいてデザインもかなり良いと思う。

この圧倒的な小さい感。
フィルムとは言え、フルサイズのレンズが
付いてこのサイズなのだからすごい。

すべてのモデルに共通するのかわからないが、
ファインダーは逆から見ると一応自撮りが
できるように反射する。

使い方

①電池の入れ方

裏蓋のロック解除スイッチをスライドさせる。そうすると裏蓋（ボトムケースと呼ぶべきかもしれないが今回は裏蓋と呼称する）が取れるので、電池室の蓋をコインで回して開ける。

電池と蓋
フィルムが無い時にしか交換出来ない構造になっている。
コンパクトさの為に仕方ない部分。

②フィルムの入れ方

写真の通りフィルムをセットする。
フィルムのベロは、差し込んだ後にダイヤルを回して少し張った方が良いと思う。
私は装填に失敗した事が無いのでそこまで難しく感じないが、初めての場合は戸惑うかもしれない。
以前紹介したPENTAXMEsuperと違いスプールの差し込み口が2箇所しか無いので、それと比べると難しいと思う。

フィルムをセットする。
フィルムのベロを差し込んだら、指で押さえてるダイヤルを
回して少しフィルムを張るといい。
また、フィルムの上下に空いている穴とギアのトゲトゲが合っているか確認する事。

フィルムがセットできたら裏蓋を閉める。裏蓋のロックもかける事。
そのは、全面のISO感度ダイヤルでフィルムの感度に合わておく。

左のASAダイヤルを回してISO感度を設定する。
これを設定していないと露出計が正しく使えない。
右のフィルムのタイプを選ぶダイヤルは、メモ程度なので
あまり気にしなくてもいい。

③レンズの沈胴

普段レンズ鏡筒は沈胴されている為、撮影の時には伸ばす必要がある。
ゆっくり先端を持って、レンズを引き抜こう。
引き抜き切ったら最後は回してロックしておこう。

レンズを沈める時は、シャッターチャージをしておく必要があるので巻き上げればーを引いてシャッターチャージしておく。
シャッターボタンの横にある小さい銀色ボタン（ロック解除ボタン）を押しながらレンズを回して、ゆっくり押し込む事。
レンズ沈める際にロック解除ボタンを押さずに無理やり回したり押し込んだりして壊れてる個体が多い様なので、ここはかなり注意した方がいいと思う。

フィルム巻き上げレバーはここまでしか動かない。
コンパクトゆえに耐久性は低いと思うので、
優しく巻き上げよう。
無理に巻き上げると中のギアが欠けたり割れてしまう。

④露出計の見方

文章より、写真で見るのがわかりやすいだろう。
シャッタースピードダイヤルと、絞りダイヤルを動かすと、オレンジの針が動くので白い針に合わせる事。
絞りダイヤルは下部に銀色のロック機構があるので無理矢理回さないように気を付けよう。

また、露出計の窓を指で塞いだりしてないか注意しよう。、

⑤ピントの合わせ方

ファインダーを覗きながらピントを合わせる事が出来ないので、撮りたい被写体までの距離を測り、それと同じになるようにレンズ先端のピントリングを回そう。
マニュアルフォーカスの中でも目測という極めて難しいピント合わせになる。

0.9mから無限遠での距離指標を
三角のマークに合わること。
また、三角横のF8やF15の数値はその絞りで
あればその間はピントが合うことを示している。

目測については、私は感で合わせているがきちんと合わせるならば、室内撮りは物差しやメジャーを使うか、街中であれば測距アプリ等が良いだろう。
絞り込めば、だいたいの感覚でも問題無いように思う。
底面のアクセサリーシューに距離計を付けて使うのもいいかもしれない。

⑥ファインダーとシャッター

ファインダーはレンジファインダーではなく、ただの素通しガラスとなっている。
一応のブライトフレームはあるけれどパララクス補正はないのであくまで目安としかならない事に注意だ。

⑦フィルムの巻き取り方

巻き取りロック解除のスイッチをスライドさせてから、底面にある巻き取りクランクレバーでフィルムを巻き取ろう。
途中で軽くなるはずなのでそこまで巻けば後は②と同じ手順で裏蓋を開けてフィルムを取り出そう。

巻き取り時は上にスライドさせる。
この状態だとフィルムの巻き上げが
出来ないようになっていて凄く合理的だと思う。

フィルム巻き取りクランクレバーも
しっかりとした作りになっている。
真ん中には、三脚用ネジ穴と撮影枚数が表示されている。
ボケているが手前がアクセサリーシューだ。

注意点

①レンズ沈胴時はシャッターチャージ（フィルムの巻き上げ）を忘れないこと。ロック解除ボタンを忘れないこと。
これを忘れていると最悪壊してしまうかもしれない。

②電池の交換はフィルム装填時にはできないので、フィルムが入ってる時に電池が気減ると撮り切るまで交換は出来ないという事。
電池は、電池室の蓋が閉まったとしても、綺麗に入れてないと露出計が動かないので注意する事。

③ピント合わせは目測なので、慣れるまではコツがいるということ。

④フィルム巻き上げレバーは弱いので、優しく巻き上げる事。
ここも、壊れやすいので注意が必要である。

写真

データ管理がおざなりなので今手元にある分を少しだけ貼り付けておく。
フィルムはどれがどれだったのかパソコンを見ないとわからないので、敢えて書かないようにしておくが期限切れフィルムがほとんどだったと思うのでご了承ください。
あとはやはり、私自身が雑なのもあるのだけど目測のカメラで感覚で撮影しているのでピントが甘いものが多いと改めて思わされた。