第2話:ランチタイムの悲劇
「今日のランチはどこにしようかな~」
ひかりはスマホを片手に、オフィス街を歩いていた。
朝からミスなく順調に進んだ仕事に気を良くし、
今日は少し奮発して新しいカフェを開拓しようと決めていた。
「おっ、ここ良さそう!」
ひかりの目に留まったのは、レンガ造りの可愛らしいカフェ。
ガラス張りの店内からは、美味しそうなコーヒーの香りが漂ってくる。
「よし、ここに決めた!」
ひかりは意気揚々と店内に入り、メニューを手に取った。
色とりどりの写真が並ぶページを眺めながら、
ひかりはどれにしようか迷っていた。
「どれも美味しそうだなあ。
でも、せっかく新しいカフェに来たんだし、
いつもと違うものを頼んでみようかな」
ひかりは、普段は選ばないような、少し冒険的なメニューに目をつけた。
それは、「スパイシーチキントマトカレー」。
写真を見る限り、食欲をそそる一品だ。
「よし、これにしよう!」
ひかりは店員さんを呼び、自信満々に注文した。
「スパイシーチキントマトカレー、お願いします!」
数分後、運ばれてきたのは、真っ赤なスープにチキンが浮かぶ料理だった。
「あれ?カレーじゃなくて、スープ?」
ひかりは首を傾げた。
メニューの写真とは少し違うような気がするが、
もしかしたらこれがこの店のスタイルなのかもしれない。
ひかりは恐る恐るスプーンを口に運んだ。
「か、辛い!これ、カレーじゃなくてトムヤムクンだ!」
ひかりは慌てて水を飲んだ。
口の中は火を噴くように熱く、汗が噴き出してきた。
「やっちまったー!注文、間違えた!」
ひかりは心の中で叫んだ。
メニューをよく見たら、確かに
「スパイシーチキントマトカレー」の隣に、
「スパイシーチキントムヤムクン」と書かれていた。
「小さくやらかせ」
ひかりは再び「やらかし名人7か条」を思い出した。
今回は小さなミスで済んだが、大きな失敗につながる可能性もあった。
「でも、これも経験だ。
トムヤムクンも意外と美味しいし、まあいっか!」
ひかりは開き直り、トムヤムクンを完食した。
ランチタイムの0小さな悲劇だったが、
ひかりにとってはこれもまた、
楽しいミスアドベンチャーの一つとなった。
「今日のブログネタもゲットだぜ!」
ひかりは心の中でガッツポーズをした。
※この物語はフィクションであり、
登場する人物や団体、場所はすべて架空のものです。
実在の人物や出来事とは一切関係ありません。