![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/154016627/rectangle_large_type_2_7ad484f747b31f5de726e7682bf371df.png?width=1200)
第6話:恋の予感
「あれ、もしかして桜井さん?」
仕事帰りのひかりは、聞き覚えのある声に足を止めた。振り返ると、そこには爽やかな笑顔の男性が立っていた。
「田中さん…?」
ひかりは、相手の名前を思い出すのに少し時間がかかった。
田中悠斗、数ヶ月前に取引先の会社で一度だけ会ったことがある人だ。
「覚えててくれて嬉しいです。
偶然ですね、こんなところで会うなんて」
田中さんは、少し照れたように笑った。
ひかりもつられて微笑む。
「本当ですね。
田中さんも、この辺りでお勤めなんですか?」
「ええ、そうなんです。
桜井さんは?」
「私もです。
今日は、ちょっと寄り道して帰ろうと思ってたところなんです」
「そうなんですね。
もし良かったら、一緒にコーヒーでもいかがですか?」
田中さんの突然の誘いに、ひかりは少し驚いた。
しかし、彼の優しい笑顔を見て、断る理由が見つからなかった。
「はい、ぜひ」
二人は近くのカフェに入り、向かい合って座った。
仕事の話や趣味の話、最近あった出来事など、話題は尽きなかった。
田中さんは、ひかりの話に真剣に耳を傾け、時折優しい笑顔を見せた。
「桜井さんって、本当に面白いですね」
田中さんの言葉に、ひかりは少し照れた。
「そんなことないですよ。
田中さんこそ、聞き上手で話しやすいです」
二人は、時間を忘れて話し続けた。
カフェを出る頃には、すっかり夜になっていた。
「今日はありがとうございました。とても楽しかったです」
ひかりは、田中さんに笑顔で言った。
「こちらこそ、ありがとうございました。
また、機会があればぜひ」
田中さんも、笑顔で答えた。
別れ際、田中さんはひかりに名刺を渡した。
「もし良かったら、連絡してください」
ひかりは、名刺を受け取りながら、胸が高鳴るのを感じた。
これは、もしかして…恋の予感?
家に帰ったひかりは、ベッドに寝転がりながら、
今日の出来事を思い出していた。
田中さんの笑顔、優しい言葉、そして名刺。
「もしかしたら、私にも春が来るのかも…」
ひかりは、顔を赤らめながら、そう呟いた。
小さなミスアドベンチャーの中に、突然訪れた恋の予感。
ひかりの心は、期待と不安でいっぱいだった。
「これは、ブログに書いたら読者さんに怒られちゃうかな…」
ひかりは、そう思いながら、眠りについた。
※この物語はフィクションであり、
登場する人物や団体、場所はすべて架空のものです。
実在の人物や出来事とは一切関係ありません。