第8話:新たな一歩
「おはよう、ひかり。顔色悪いけど、大丈夫?」
山田さんの心配そうな声に、ひかりは無理やり笑顔を作った。
「大丈夫だよ。ちょっと飲み過ぎちゃっただけ」
昨晩は、友達との飲み会で、ついつい飲み過ぎてしまった。
おかげで二日酔いがひどく、頭がガンガンする。
「無理しないでね。何かあったら言ってね」
山田さんの優しい言葉に、ひかりは少しだけ心が温かくなった。
「ありがとう、山田さん」
ひかりは、自分のデスクに戻り、パソコンの電源を入れた。
メールをチェックすると、一通の新着メールが届いていた。
差出人は、なんと田中さんだった。
「えっ、田中さんから?」
ひかりは、驚きと期待で胸が高鳴った。
急いでメールを開くと、そこには、
「桜井さん、先日はこちらこそありがとうございました。
またお会いできたら嬉しいです。
よろしければ、今度ランチでもいかがですか?」
と書かれていた。
「ランチのお誘い…?」
ひかりは、信じられない思いでメールを読み返した。
田中さんは、ひかりのことを忘れていなかったのだ。
「やったー!」
ひかりは、思わずガッツポーズをしてしまった。
周りの同僚たちが、驚いたようにひかりを見たが、
そんなことはお構いなしだ。
「一晩寝たら立ち直れ」
ひかりは、自分のモットーを改めて実感した。
昨日の失恋の傷心は、もうどこにもない。
「よし、今日は一日頑張ろう!」
ひかりは、やる気に満ち溢れて仕事に取り掛かった。
田中さんとのランチの約束が、ひかりに新たな活力を与えてくれたのだ。
仕事帰りに、ひかりはルンルン気分でデパ地下に立ち寄った。
「田中さんとのランチ、何を着て行こうかな」
ひかりは、鏡の前で色々な服を試着した。
いつもは適当に選んでいた服も、今日は真剣だ。
「よし、これに決めた!」
ひかりは、新しいワンピースを手に取り、レジへ向かった。
小さな失恋から立ち直り、新たな一歩を踏み出したひかり。
彼女の小さなミスアドベンチャーは、これからも続いていく。
※この物語はフィクションであり、
登場する人物や団体、場所はすべて架空のものです。
実在の人物や出来事とは一切関係ありません。