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第2話: ユリのキャリアの迷い

夜のコワーキングスペースには、心地よい秋風が吹き込んでいた。

ユリはいつものようにカフェオレを片手に、
仕事のことを考えながらテーブルに座っていた。

最近、彼女の心には何か満たされない思いが渦巻いていた。
大手企業での仕事は安定しているものの、
日々の業務に対する情熱が薄れていることに気づいていた。

その夜、のぶがいつもの元気な声で部屋に入ってきた。
「おーい、みんな!今日はどんなやらかしをシェアしてくれるんだい?」と
冗談を飛ばす。
ミカとサエが笑顔で応じる中、ユリは少し沈んだ表情で彼を見つめていた。

のぶがユリの顔を見て、
「どうしたんだい、ユリ?なんだか元気がないように見えるけど」
と優しく尋ねると、
ユリはため息をつきながら答えた。

「実は、最近仕事に対するモチベーションが全然なくて…。
毎日が同じことの繰り返しで、
何のために働いているのかわからなくなってきたの。」

ミカが「ユリさん、それって結構深刻な悩みですよね。
何か他にやりたいこととか、
考えたことありますか?」と
心配そうに尋ねる。

ユリは首を横に振り、
「それが、特にこれといってやりたいことも思いつかなくて…。
ただ、今の仕事に満足していない自分がいるってことだけはわかるの」と
答えた。

サエも共感を示し、
「私も子育てと仕事の両立で悩んでいるから、
その気持ち、すごくわかるわ」と言った。

のぶは少し考えてから、穏やかな笑顔で言った。

「ユリ、もしあと1年しか働けないとしたら、何をする?」

その質問に、ユリはハッとし、思わず立ち上がった。

「私、アートの道に進みたい!」と、突然叫んでしまった。

ミカとサエは驚いて目を見開き、のぶも目を丸くした。

しかし、次の瞬間、ユリは照れくさそうに笑いながら
「なんてね、ちょっと言ってみただけ」と肩をすくめた。

彼女の突飛な発言に、全員が大笑い。

笑いが止まらないミカが
「ユリさん、びっくりしましたよ!でも、
少し本気っぽく聞こえましたけどね」と
冗談を言うと、ユリはさらに笑いながら
「そう?もしかしたら、本当にアートの道も悪くないかもね」と返した。

笑いが一段落した後、
のぶが 真剣な表情で言った。

「冗談でも、そうやって自分の気持ちを表現することって大事なんだ。
ユリ、本当にアートの道に進みたい気持ちがあるなら、
それを真剣に考えてみるのもいいんじゃないかな?」

ユリは少し考え込んで、
「確かに、アートには昔から興味があったの。
でも、そんな夢みたいなことを本気で考えるなんて、
恥ずかしくて」と言った。

サエが優しく微笑んで、
「恥ずかしいなんてことないよ。
自分の気持ちに正直になることが一番大事だと思う」と励ました。

その夜、ユリは帰宅後、ふとアートに関するウェブサイトを検索してみた。

昔から好きだったイラストやデザインの作品を眺めているうちに、
自分の中に眠っていた情熱が再び燃え上がるのを感じた。

「本当にこれがやりたいのかもしれない…」と、
彼女は心の中でつぶやいた。

翌日、ユリはのぶに会いに行き、
「のぶさん、私、アートの勉強を始めることにしました。
今すぐ仕事を辞めるつもりはないけど、
新しいスキルを学んで、自分の可能性を広げてみようと思います」と
決意を伝えた。

のぶは微笑んで、
「それは素晴らしい決断だね。自分の夢を追いかけるのは、
いつでも遅すぎることなんてないからね」とユリの肩を叩いた。

その日から、
ユリは仕事の合間を縫ってアートのオンライン講座を受講し始めた。

新しいことに挑戦することで、彼女の表情には少しずつ生き生きとした輝きが戻ってきた。彼女は自分の未来に対する新たな希望を胸に抱き、再び前に進むことを決意する。

コワーキングスペースの窓から見える夜景は変わらないが、
ユリの心には新しい光が差し込んでいた。

それは、彼女が自分自身を再発見し、進むべき道を見つけた証だった。

※この物語はフィクションであり、
    登場する人物や団体、場所はすべて架空のものです。
    実在の人物や出来事とは一切関係ありません。


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