プロローグ: 出会いと新たなスタート

夜の山口県周南市。

瀬戸内海を望むビル9階にあるコワーキングスペースには、
蒸し暑さが残る9月の風が吹き抜け、
窓の外にはコンビナートの明かりが美しく輝いている。

その夜、4人の新たな出会いが、
ここで始まろうとしていた。

ドアが開き、最初に入ってきたのは18歳のミカ。
高校3年生で、進路に悩んでいる彼女は、
このコワーキングスペースのイベントを知り、
少しでも新しい刺激を求めて参加してみた。

「ここで何かが変わるかもしれない」と、
そんな期待と少しの不安を胸に、
彼女は一歩一歩、
スペースの奥へと進んでいった。

次に現れたのは27歳のユリ。
地元の大手企業に勤めているが、
今の仕事に対するモチベーションを失いつつあり、
自分のキャリアについて深く考え始めている。

彼女は軽く汗をぬぐいながら、
「なんだか今日は蒸し暑いわね」
と一人ごとを言いつつ、
周りを見回しながら席を探した。

そこへ、35歳のサエが登場。
二人の子どもを育てながら仕事をしている彼女は、
家庭とキャリアの両立に苦しんでいる。

少し遅れて到着したサエは、笑顔で挨拶しながら
「いやー、今日は子どもたちをおばあちゃんに預けてきたから、
ちょっとだけ自由になれた気分よ」と、
少し安堵した表情で話した。

最後に姿を現したのが45歳の のぶ。
「やらかし名人」を自称する彼は、
フリーランスのコーチ兼ビジネスアドバイザー。
彼はその独特なキャラクターで、
失敗を恐れず挑戦する姿勢を他者に伝えている。

彼が自己紹介の際に
「やらかし名人」を名乗ると、
ミカが思わず吹き出しながら
「なんでそんな恥ずかしい称号を自ら名乗るんですか？」
と突っ込むと、
場が一気に和やかになった。

のぶ は笑いながら、
「いやぁ、失敗も人生の一部だろ？だから、やらかしも名人級になると、
自慢できるんだよ」と
冗談を飛ばすと、

ユリが「それって、ただの開き直りじゃない？」と笑い、
サエも「でも、そういうポジティブな考え方、嫌いじゃないわ」
と同意する。

笑いが広がる中、4人の距離は一気に縮まった。

「さあ、せっかくだから、
みんなでお互いのやらかしや悩みをシェアしてみようか」と
のぶ が提案し、全員が頷く。

ミカがまず口を開いた。

「私、進路が決まらなくて焦ってるんです。
周りの友達はどんどん決まっていくのに、
私だけ取り残されてる感じで…」と、
苦笑いを浮かべながら話すと、
ユリが「それ、私も分かるわ。
私も仕事で何を目指してるのか分からなくなる時がある」と
共感する。

サエは「私なんて、
子育てと仕事のバランスが取れなくて…
時々、全部投げ出したくなるの」と
ため息をつく。

のぶ は「そうだね、
みんなそれぞれのやらかしや悩みがある。
でも、それを話すことで見えてくるものもあるんだよ」
と微笑みかける。

ミカが
「じゃあ、
私たちで『やらかしクラブ』を作って、
お互いにサポートし合うのはどうですか？」と
提案すると、ユリが
「いいね、その名も『やらかしクラブ』！
毎週集まってお互いのやらかしを笑い飛ばして、そこから学んでいこう」と乗り気になる。

サエも
「そうね、ここで話すことで、
少しでも気が楽になるなら、
それもいいかもしれないわ」と
笑顔で賛同する。

こうして、偶然の出会いから生まれた
「やらかしクラブ」。

それぞれ異なるバックグラウンドを持つ4人が、
互いの悩みや失敗をシェアし合い、
成長していく物語が、
今まさに始まろうとしていた。

雨上がりの夜空には星が輝き、
彼らの新たなスタートを祝福しているかのようだった。

※この物語はフィクションであり、
    登場する人物や団体、場所はすべて架空のものです。
    実在の人物や出来事とは一切関係ありません。