プロローグ & 第1話:朝のドタバタ劇
プロローグ
都会の片隅、小さなアパートの一室。
窓辺に置かれたノートパソコンの画面には、
空白のドキュメントが開かれている。
カーテンの隙間から差し込む朝の光が、
部屋の主、桜井ひかりの顔を照らす。
彼女は深呼吸をし、キーボードに指を置いた。
「よし、今日も一日、小さなミスアドベンチャーの始まりだ!」
ひかりは自称「やらかし名人」。
毎日何かしら小さなミスをやらかし、それをネタにブログを書いている。
彼女のブログ「都会の小さなミスアドベンチャー」は、
ひかりと同じように、都会で小さな失敗を繰り返しながらも、
前向きに生きる女性たちに人気だ。
ひかりのモットーは、「やらかし名人7か条」。
これは、彼女が数々の失敗から学んだ教訓をまとめたものだ。
今日も、ひかりの小さなミスアドベンチャーが始まろうとしていた。
第1話:朝のドタバタ劇
「もうこんな時間!?」
桜井ひかりは、けたたましく鳴り響く目覚ましのアラームに飛び起きた。
時刻は午前7時30分。普段ならとっくに家を出ている時間だ。
昨晩、新作ドラマを一気見してしまったツケが、
こんな形で回ってくるとは。
「やっちまったー!」
ひかりはベッドから飛び出し、慌てて身支度を始めた。
顔も洗わず歯も磨かず、服を適当に引っ掴んで着替え、
髪をざっと束ねる。化粧なんてしている時間はない。
「やらかす前にまず受け身」
ひかりは心の中で呟いた。
これは、彼女が数々の失敗から学んだ「やらかし名人7か条」の1つだ。
今日は朝からやらかしてしまったが、まだ慌てる時間じゃない。
まずは深呼吸をして、状況を受け入れる。
「よし、落ち着け、落ち着け。まだ間に合うはずだ!」
ひかりは急いで玄関を飛び出し、駅に向かって走り出した。
しかし、都会の朝のラッシュアワーは容赦ない。
人混みをかき分け、息を切らしながら駅に着いた時には、
すでに電車は出発した後だった。
「ああ、やっぱり乗り遅れたか…」
ひかりはホームのベンチにへたり込み、大きくため息をついた。
朝から全力疾走したせいで、汗だくになっている。
おまけに、すっぴんの顔は青白い。
「最悪のスタートだ…」
ひかりは肩を落とした。
しかし、次の瞬間、彼女の口角が少しだけ上がった。
「まあ、これも小さなミスアドベンチャーのうちだ!」
ひかりはスマホを取り出し、自撮り写真を一枚撮った。
そこには、汗だくでボサボサ髪の、
それでもどこか楽しそうなひかりの姿が写っていた。
「今日のブログネタは決まりだな」
ひかりはそう呟き、再び立ち上がった。
遅刻はしてしまったが、まだ一日が始まったばかりだ。
小さなミスを笑い飛ばし、今日も一日を精一杯楽しもう。
そう心に決めたひかりは、足取り軽く駅を後にした。
都会の片隅で、今日もひかりの小さなミスアドベンチャーが幕を開けた。
※この物語はフィクションであり、
登場する人物や団体、場所はすべて架空のものです。
実在の人物や出来事とは一切関係ありません。