第9章:伝説の海賊船を追え!
「わっしょい! わっしょい!」
威勢の良い掛け声と、太鼓のリズムが、
港町に響き渡る。
色とりどりの提灯が飾られ、
屋台が軒を連ねる賑やかな通りを、
法被姿の人々が練り歩く。
「すごい! これが海神祭なんだね!」
詩織は、初めて見る祭りの光景に目を輝かせ、
人混みをかき分けて進む。
杏奈は、屋台で売られている、
美味しそうな海の幸に釘付けだ。
「わぁ、イカ焼きに、
タコ飯、
サザエのつぼ焼き! 全部食べたい!」
真紀は、そんな二人を微笑ましく見守りながら、
祭りのパンフレットに目を落とす。
「…海神祭のメインイベントは、
夜に行われる『海神舞』ね。
海の神様に豊漁と航海の安全を祈願する、
伝統的な踊りらしいわ。」
「へぇ~、面白そう!
絶対に見逃せないね!」
詩織は、期待に胸を膨らませる。
その時、真紀は、パンフレットに挟まれた
一枚の古い紙切れに気づいた。
「…これは…?」
それは、古びた航海日誌のようで、
ところどころ文字がかすれて読めない。
「…なんだろう、
これ…。詩織、
ちょっと見てくれる?」
詩織は、日誌を手に取り、
真剣な表情で読み始めた。
「…これは…、もしかして…、海賊の…?」
詩織の言葉に、真紀と杏奈は驚いて顔を上げた。
「…海賊?!」
「…うん。この航海日誌によると…、
昔、この瀬戸内海に、一人の有名な海賊がいたらしいの。
その海賊は、莫大な財宝を手に入れて、
どこかに隠したという伝説があるんだって…。」
「…まさか! 宝の地図とか…?」
杏奈は、目を輝かせた。
詩織は、日誌を読み進める。
「…そして…、その海賊の船は…、
今も、この瀬戸内海のどこかに沈んでいる…、と…。」
「…ええっ?! 伝説の海賊船が、
まだ残っているって言うの?!」
真紀は、信じられないといった様子だ。
「…でも、もし本当だったら…、
すごいわね! 宝探しみたいで、ワクワクする!」
杏奈は、冒険心をかき立てられたようだ。
三姉妹は、半信半疑ながらも、
伝説の海賊船を探す冒険に出ることを決意する。
海神祭の夜、三姉妹は、アトリエ号で、
日誌に記された海域へと向かった。
「…この辺りらしいんだけど…。」
真紀は、日誌と海図を見比べながら、船を進める。
「…でも、何もないわね…。」
杏奈は、レーダーを凝視するが、反応はない。
「…もしかして、ただの作り話だったのかな…。」
詩織は、少し落胆した様子だ。
その時、アトリエ号が、突然、大きく揺れた。
「…うわっ! なに?!」
「…どうしたの?!」
「…見て! 海面が…、光ってる…!」
詩織が指差す方を見ると、
海面が、青白く光り輝いていた。
そして、その光の中から、
ゆっくりと、巨大な船影が現れたのだ。
「…あれは…!」
三姉妹は、息を呑んだ。
それは、日誌に描かれていた海賊船に、そっくりだった。
「…伝説の海賊船…!」
三姉妹は、興奮と恐怖が入り混じった気持ちで、その船を見つめた。
海賊船は、幽霊のように静かに浮かび上がり、アトリエ号に近づいてくる。
「…どうしよう…。」
真紀は、不安そうに呟いた。
その時、杏奈が、叫んだ。
「…見て! あの船…、沈んでいく…!」
海賊船は、再び光に包まれ、
ゆっくりと海中へと沈んでいった。
「…消えた…。」
詩織は、呆然と呟いた。
三姉妹は、何が起こったのか理解できず、
ただ茫然と立ち尽くしていた。
その時、真紀が、海面に浮かぶ何かを発見した。
「…あれは…!」
それは、小さな木箱だった。
真紀は、箱を拾い上げ、アトリエ号へと戻った。
「…なんだろう…。」
杏奈が、箱を開けると、
中には、一枚の古びた羊皮紙が入っていた。
「…これは…、宝の地図…?」
詩織は、目を輝かせた。
地図には、いくつかの島と、
謎めいた記号が描かれていた。
「…これは…、まるで謎解きみたいね…。」
真紀は、興味津々に地図を眺めた。
三姉妹は、再び冒険心をかき立てられ、
宝探しの旅に出ることを決意する。
果たして、三姉妹は、海賊の財宝を見つけ出すことができるのだろうか?
そして、その財宝には、どんな秘密が隠されているのだろうか?
※この物語はフィクションであり、
登場する人物や団体、場所はすべて架空のものです。
実在の人物や出来事とは一切関係ありません。