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第5話: ユリの新しいプロジェクトの不安

夜のコワーキングスペースには、しっとりとした秋の空気が漂っていた。

ユリは、今日も新しいプロジェクトの資料を広げて、
何度も何度も見直していた。

彼女は初めてリーダーを任されたプロジェクトに対する
不安とプレッシャーで押しつぶされそうになっていた。

「大丈夫かな…私にこんな大きなプロジェクトを任せて、本当に大丈夫なんだろうか?」ユリは心の中でつぶやきながら、
緊張で手が震えているのを感じた。

その時、のぶが彼女の隣に座り、穏やかな笑顔で声をかけた。
「ユリ、なんだか緊張しているみたいだけど、どうしたの?」

ユリは一瞬戸惑ったが、ため息をついて
「実は、新しいプロジェクトのリーダーに任命されて…責任が重すぎて、
もうどうしていいかわからなくなってるの」と正直に打ち明けた。

のぶ は頷きながら、
「それは大変だね。でも、完璧を目指す必要はないんだよ。
まずは今できることから始めてみよう。
ユリ、今の君にできることは何だと思う?」と優しく問いかけた。

ユリはしばらく考え込み、ふと顔を上げて
「まずは、チームのみんなに感謝を伝えることかな。
みんなが支えてくれているからこそ、
私はリーダーとして頑張れるんだと思う」と答えた。

のぶ は笑顔で
「それは素晴らしい考えだね。感謝の気持ちを伝えることは、
チームの結束力を高めるし、
みんながより良い結果を出すための原動力になるよ」と言った。

ユリはその言葉に励まされ、プロジェクトの進行に不安を感じながらも、
チームに感謝の意を伝えるメールを送ることにした。

「みんな、いつも支えてくれてありがとう。
私一人ではこのプロジェクトを進められないけど、
みんなと一緒ならきっと成功させられると信じています。」と
いう言葉を添えて。

翌日、チームからの返信には
「ユリさんがリーダーでよかった」
「一緒に頑張りましょう」と
いった温かいメッセージがたくさん返ってきた。

それを読んで、ユリは涙ぐみながらも、
心の中に新たな自信と決意が芽生えた。

日々のプロジェクトの進行は順調とは言えなかったが、
ユリはチームと一緒に問題を一つ一つ解決していった。

会議のたびに「ありがとう」と感謝の気持ちを伝え、チームの士気を高めていった。その結果、プロジェクトは少しずつ形になり始めた。

数週間後、ついにプロジェクトが成功裏に完了した。
クライアントからも高評価を得て、
チーム全員が喜びと達成感に包まれていた。

ユリはプロジェクトの打ち上げの席で、皆に向かって言った。

「本当にありがとう。みんなのおかげでこのプロジェクトが成功しました。私一人では絶対にできなかったことです。」

その夜、コワーキングスペースに戻ったユリは、
のぶに感謝の言葉を伝えた。

「のぶさん、ありがとう。
あなたがいなかったら、私、どうしていいかわからなかったと思う。
でも、あなたのおかげで私も成長できた気がします。」

のぶは微笑みながら
「それはユリが頑張ったからだよ。
でも、やらかし名人の仲間入りをしたいなら、
まだまだ道のりは長いぞ」と冗談を言った。

ユリは笑いながら
「ありがとう、のぶ。あなたのおかげで、私もやらかし名人になれるかも」と答えた。その瞬間、全員が大笑いし、緊張感が一気に和らいだ。

その夜、ユリは窓の外に広がる夜景を眺めながら、
自分の心が少しずつ変わっていくのを感じていた。

完璧である必要はない。大切なのは、今自分ができることを精一杯やること。それを教えてくれたのぶとチームに、心から感謝していた。

「これからも、やらかしながら成長していこう」と
ユリは静かに心の中でつぶやいた。

そして、また新たな挑戦に向けて、
ゆっくりと歩みを進める決意を新たにしたのだった。

※この物語はフィクションであり、
    登場する人物や団体、場所はすべて架空のものです。
    実在の人物や出来事とは一切関係ありません。


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