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あなたへ

今日はあなたが大好きなお花を買いましょう。

5月の第2日曜日、お花屋さんの前を通ることが辛かった。キラキラ弾ける笑顔を振り撒きながら、時には悩みながら、カーネーションを選ぶキミたちが憎くて仕方なかった。

あの日の「いってらっしゃい」が忘れられません。「いってらっしゃい、気をつけてね。今日も素敵やで」そう言ってくれたあの言葉とあの悲しそうな微笑みが忘れられません。

毎回、手紙の最後を締め括る「長生きしてね」があなたにとってはプレッシャーだったのかもしれないね。

「ごめんね、頑張るね」
いつも顔を歪ませながらあなたの口から吐き出される懺悔のような言葉。
それにいつも上手く返答することができなかった。
今なら、「もう頑張ってるんやから無理せんでいいよ」と寄り添えたのかもしれない。

「離れ離れになってごめんね」
そうやって謝ってほしい。
「今日も素敵やで」
そうやってもう一度抱きしめてほしい。

わたしの時間はいつまでも止まったままで、それなのに周りの時間はいつまでも動き続けていて、1人取り残されてしまったみたい。同じところをずっとぐるぐる回って暗闇で彷徨い続けているみたい。


言いたいことも伝えたいことも話したいことも山ほどあるのに、この思いはどうしたらいいんだろう。

毎晩、あなたが好きだった月を見つめていると、声が聴こえてくるようで、少し安心します。

さいごのさいご、孤独にしてしまってごめんなさい。
一緒にいってしまいたい、と何度も思ったけれど、やっぱり私は生きることを諦めきれなかったから、もうちょっと頑張ることにしたよ。

いつもありがとう。
今年も来年もこれからもずっと、今日という日には花束を贈ります。

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