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3月9日

先日、卒業式があった。
わたしは2階でビデオ撮影係。
2階は埃まみれで狭くて、何だか疎外されてる感じがして、悲しかったナ

入場。晴れやかな女性担任の袴、セーラー服の襟カバーは外します、学ランは第一ボタンまで留めます、数多の祝電、見慣れない教員のスーツ(少し萌える)、巨大な花、緊張で呂律が回らない教頭、知らない見たこともない来賓のおじさん、最もなことを言う校長の祝辞、涙を堪える担任の呼名、名を呼ばれてもやっぱり返事をしない生徒、声を震わせて歳月を振り返る答辞

卒業式だ。

義務教育を終えた子どもたちは、何だか少し大人に見えた。
義務教育を終えた保護者たちは、何だかとても寂しそうに見えた。


2階からぼーっと卒業式を眺めては、「やっぱりいいな」なんて、思います。そして、思い出す。

今でも忘れられません。

中学校の卒業式で歌った『3月9日』を。

卒業式の3日前、わたしが大嫌いだった女が
「先生に向けて『3月9日』を歌おう」と提案した。
わたしは彼女が大嫌いだったから、「だるいな」としか思わなかった。クソ女。

歌詞が配られただけの、ぶっつけ本番。
集合写真で必ず前に寝転ぶ系男子の「ちょっとまったー」から始まるサプライズ。さむい。

学年の先生たちがわたしたちの前に並ぶ。

歌詞を見ながら、とにかく歌った。

ふと前を見ると、担任が泣いていた。わんわん泣いていた。大人の男が嗚咽しながら泣く姿を初めて見た。

瞳を閉じればあなたがまぶたのうらにいることで
どれほど強くなれたでしょう
あなたにとってわたしもそうでありたい
『3月9日』レミオロメン


心が震えた。

と同時に、一番いてほしかった、側で送り出してほしかった存在がその場にいないことが途端に悔しくなった。

泣いた。涙が溢れた。止まらなくなった。
もはや、歌えなかった。担任と同じくらい泣いていた。止められなかった。内緒でつけたマスカラは全て流れた。


そんなことを思い出した。
そんなことを思い出していたら、いつの間にか涙が溢れていた。そして、卒業式は終わった。

職員室に帰ると、対面の2階で待機していた先生に「案外涙もろいんやね」と言われて、(めちゃ見てるやん、気持ち悪)となった。

涙のわけは他人にはわからないネ

この歌を聴くと、この光景と感情がぶわっと蘇る。
追憶の引き金であり、わたしの大切な思い出。

中学生、卒業おめでとう。

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