舐めている。


やっと涼しくなってきた9月。


3年生2学期の始業式。3年間で1番長かったであろう校長先生のありがたいお話を聞きながら、少し居眠りをする。高校生になって人の話を聞くことが下手になった。
暑苦しい体育館を出て教室に戻り、この学校で過ごすのもあと半年か と教室を眺めた。
ここでは今までのことを少し懐かしがって、そしてこれからの人生について少しだけ書いてみる。
あと少しで一限が始まる。人生初ブログだ。



今私が通ってる高校の学科は他の高校には無い「特殊なカリキュラム」がある学科で、今は基礎医療を学んでいる。この高校を選んだきっかけは「私立高校で受験が早く終わるから」なかなか情けない。そして舐めている。

そんな生半可な理由で選んだこの高校とは、気がつけばあと半年ほどでおさらばだ。
高校を卒業出来ることは嬉しいし、解放される気分でもあるが、制服を着られなくなるのはどこか心細い。今までの私は、身に纏う制服に色んなものから守られていたんだな、とふと感じる。

入学前は少し荒れている学科で有名だと聞いていたけれど、入学してから分かった。それは私たちの上の代の先輩の話だったのだろう。私たちの学年の授業を担当していた先生たちはいつも「本当に優秀な学年だ」と褒めてくれていた。まあたしかに、いじめなんて話も聞いたことはなかったし、優しい子も多かったし割と本当に優秀な学年だったのかもしれない。


そんな環境の中で私はというと、長年拗らせ続けてきた人見知りを見事に大発揮してしまい3年間過ごしたこの学校で友達と言えるほどの友達を作ることが出来なかった。
まあこんなもんだ。私の人生。
凹んでいるとかそんなことはなくて、私にはこれくらいが丁度いいのだ。満足している。

私は元々大人数で群れるのが苦手だし、高校生らしい恋愛なんてものにも無縁だ。無縁というよりは、自分から遠ざけてしまう。恋愛が得意ではないのだ。そんなこんなで私は今、中学生の頃に思い描いていた高校生ライフとは遥かにかけ離れた高校生ライフを送っている。
それでもそんな日常の中でもたまに、本当にたまに、数少ない友達と呼べるのかも怪しい関係のクラスメイトと駅前のスイーツを食べに行ったり、映画を見に行ったり、あとは海で1と7の風船を持って写真を撮ったり…なんてことは勿論出来なかったけれど、私の心の速度にとってはそれなりに丁度いい3年間を過ごせた気がする。



そう、そして始業式の次の日に指定校会議の結果報告があった。
私は4年制大学を志望していた。結果は合格だった。私の学科は「特殊なカリキュラム」を組んでいるせいで、同い年の子たちが今年受けるであろう共通テストは受けられない。受けられないというより歯が立たない。医療を学ぶ代わりに、世界史や化学などの教科を取っていないからだ。
自分で言うのもなんだが評定はそこそこあったし、風紀もそこまで乱さずに3年間過ごしてきた。「まあ、通るだろうな、指定校」という感じだった。また舐めている。



進学先の大学は、栄養学を学べる大学で管理栄養士養成校として有名だ。いや、間違えた。有名ではない。
この大学を選んだ理由は「大学に受かればあと4回夏休みが出来るから」だ。正直大学に行けるならばどこでも良かった。またまた舐めている。
約500万の奨学金を背負って春から4年間大学に通うのにも関わらず、こんな理由でいいものか。まあいいだろう。高校も浅はかな理由で選んだ私だったがそれなりにきちんとした高校生活を送れたのだから。きっと大学生になってもそれなりに、たまに心を病みながら乗り越えていくだろう。私はそんなもんだ。




根拠の無い未来への期待をペラペラ語るのもそろそろ終わらせないと。あと少しで一限の母性看護が終わる。

授業中に人生初ブログを書くなんて、本当に舐めている。


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